山本七平botまとめ/「各人が内心でどう思おうとそれを口にしない事が正義と信実とされた”虚構の世界”」/~天皇が”現人神”とされた理由~

山本七平著『「空気」の研究』/「水=通常性」の研究/158頁以降より抜粋引用
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山本七平bot @yamamoto7hei

1】明治の回心においては臨在感的把握の対象の転回がその転回点となった。この回心状態を一つの永続的体制と化するためには、天皇は”仏像の如き”現人神でありつづけねばならない。<『「空気」の研究』

2012-06-24 18:58:41
山本七平bot @yamamoto7hei

2】となれば、天皇が人であり、一仏教徒として泉涌寺の檀那である事をやめ、自らが人である事を、天皇は人民の為に隠し、人民は天皇の為に隠す、そして「直キコトソノ中ニアリ」の状態がつくられ、各人が内心でどう思おうとそれを口にしない事が正義と信実である一つの体制をうち建てる以外にない。

2012-06-24 19:21:26
山本七平bot @yamamoto7hei

3】言うまでもないが、天皇がただの人にすぎないことは、当時の日本人は全員がそれを知っていた。知っていたが、それを口にしないことに正義と信実があり、それを口にすれば、正義と信実がないことになる、と言うことも知っていた。

2012-06-24 19:58:24
山本七平bot @yamamoto7hei

4】一言でいえば、それを口にする者は非国民すなわち「日本人ではない」ということなのである。この原則は、簡単にいえば、自分が日本国に対して「直キ」日本人であることの自証であり、従ってこれらの言葉が「事実」でないことは、共にそれを真実として口にしている本人が一番よく知っており(続

2012-06-24 20:21:39
山本七平bot @yamamoto7hei

5】続>知っていてなおその真実だけを口にすることに意味があるのであって、それはその人が「直キ」丸紅人、「直キ」共産人、「直キ」労組員であることを示すときの原則と、同じことなのである。それ以外の意味をこの言葉はもち得ない。

2012-06-24 20:58:24
山本七平bot @yamamoto7hei

6】従って、戦前の人間は、天皇が”世界的生物学者”であると誇りにしていても「生物学者が自己を現人神と考えることはあり得ないではないか」とは言わなかった。

2012-06-24 21:21:55
山本七平bot @yamamoto7hei

7】このことが理解できなかった収容所のアメリカ人将校は、私が「日本にはモンキー・トライアル(進化論裁判)などなかった。われわれは進化論を当然のこととして受け入れ、小学校でも教えられ、モンキー・トライアルを不思議に思った」と言っても、絶対に信じなかったのである。

2012-06-24 21:58:34
山本七平bot @yamamoto7hei

8】彼は断固として、私がウソツキか日本人が狂人なのだと信じていた。「……第一、神の先祖をサルと信じたり、サルの子孫が現人神だと信じうる人間がいるはずないではないか、狂人でない限りは」と。

2012-06-24 22:21:56
山本七平bot @yamamoto7hei

9】だが、「事実を相互に隠し合うことの中に真実がある」という原則を考えれば、このことは少しも不思議ではない。ただこの問題は、”回心”後の戦後しか知らぬ人には非常に理解しにくいらしい。そして理解しにくいのはあたりまえである。

2012-06-24 22:59:00
山本七平bot @yamamoto7hei

10】それはある新興宗教団体を脱会した人に、信仰時の自分の状態が客観的に説明できないのと同じである。しかしそれは、把握の対象が一転したというだけで、その行き方の基本は、戦前も戦後も変っていないことを自ら証明しているにすぎないのである。

2012-06-24 23:21:49
山本七平bot @yamamoto7hei

11】以上の関係を一言でいえば、元来は「父と子」の間だけを規定する倫理が、臨在感的把握の対象を「父」とし、そう把握する者を「子」として、その間の関係を規定するようになった――いわば、これによって、「父と子」の関係を、あらゆる秩序の基となしうるようになったということであり(続

2012-06-24 23:58:20
山本七平bot @yamamoto7hei

12】続>それ自体としては、宗教的現象として特異な状態ではない。このような形で一つの体制がてきあがったのは、図式的にいえば、仏教的基盤に儒教的規範が結合した結果といえるであろう。そしてこの体制が、徹底的に排除していくものは、「自由」と「個人」という概念である。

2012-06-25 00:21:16
山本七平bot @yamamoto7hei

13】個人が自由に事実を口にすれば、この関係は成り立たず、教義による拘束も成り立ち得ない。従って日本では、民主主義と社会主義という言葉は受け入れられても、自由・個人という概念は実質的には排除されねばならない。

2012-06-25 00:58:12
山本七平bot @yamamoto7hei

14】そして前述のように、民主と社会は、実は、戦前から天皇制に結びつく、強固な概念だった。そして個人が自由に発言し、個人として自由に行動すれば、日本の社会は、徐々にしかし非常に冷酷にこれを完全に排除して行った。

2012-06-25 01:20:57
山本七平bot @yamamoto7hei

15】ただし本人が転向し、定められた「父と子」の関係に入りさえすれば、その集団はすぐに彼を受け入れてくれた。

2012-06-25 01:58:14
山本七平bot @yamamoto7hei

16】治安維持法のみで処刑された者が一人もいなくても、少しも不思議ではないし、また多くの人が、転向とともに有利な就職先まで世話をしてもらっても不思議ではない。改宗者はいずれの宗団でも逆に高く評価されるのだから――。

2012-06-25 02:21:22
山本七平bot @yamamoto7hei

17】さて「『空気』の研究」から「『水=通常性』の研究」まで臨在感的把握とか、空気の醸成とか「父と子」の隠し合いの倫理とか、一教師・オール3生徒の一君万民方式とか、それを支える情況論理と情況倫理とか、実に様々な事をのべてきた。では以上に共通する内容を一言でのべればそれは何なのか。

2012-06-25 02:58:15
山本七平bot @yamamoto7hei

18】言うまでもなくそれは「虚構の世界」「虚構の中に真実を求める社会」であり、それが体制となった「虚構の支配機構」だという事である。虚構の存在しない社会は存在しないし、人間を動かすものが虚構である事、否、虚構だけである事も否定できない。従ってそこに「何かの力」が作用して当然である

2012-06-25 03:21:03

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