予防接種による死亡率の例から、第1種の過誤と第2種の過誤の違いについて

渡邊芳之さん(http://twitter.com/ynabe39)のタイムライン、ツイログを中心に、関連あると思ったツイートをまとめました。 渡邊芳之(@ynabe39)/2012年10月19日 - Twilog http://twilog.org/ynabe39/date-121019
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渡邊芳之 @ynabe39

統計的検定でいう「第1種の過誤」とは「帰無仮説を誤って棄却してしまう間違い」であり,「第2種の過誤」とは「帰無仮説を誤って採択してしまう間違い」である。

2011-08-24 07:34:59
渡邊芳之 @ynabe39

もっと普通にいうと第1種の過誤とは「関係がないのに関係があるといってしまう」「危険がないのに危険があるといってしまう」間違い,第2種の過誤とは「関係があるのに関係がないといってしまう間違い」「危険があるのに危険がないといってしまう間違い」である。

2011-08-24 07:38:03
渡邊芳之 @ynabe39

科学の方法や科学者の論理は第1種の過誤を非常に恐れる反面第2種の過誤にはひどく寛容である。「ないものをあると言ってしまうのに比べればあるものをないと言ってしまうほうがはるかによい」というのが科学者の一般的な感性だ。

2011-08-24 07:39:41
渡邊芳之 @ynabe39

津波の被害や原発の重大事故の可能性が過小評価されたのは「第2種の過誤」,いっぽう根拠のない流言を信じて行動してしまうのは「第1種の過誤」である。

2011-08-24 07:40:53
渡邊芳之 @ynabe39

(続き)科学が第2種の過誤より第1種の過誤に敏感なのに対して,先日kikumaco先生とも話したように,進化の結果として作られた人間の認知機能は第1種の過誤より第2種の過誤に敏感につくられている。

2011-08-24 08:49:53
渡邊芳之 @ynabe39

少し前に戻るけれど,統計的検定の「危険率(p)」は「第1種の過誤の大きさの指標」である。科学者はp値が十分に小さければ帰無仮説を棄却するが,そのときに第2種の過誤の大きさはとくに検討しない。

2011-08-24 08:52:03
渡邊芳之 @ynabe39

元に戻る。人間の認識は第2種の過誤に敏感なので「あるものをないと言ってしまうのに比べればないものをあると言ってしまうほうがはるかによい」と考える傾向がある。これは人類の祖先が進化してきた自然環境ではそのほうが適応的だったからだろう。

2011-08-24 08:55:03
渡邊芳之 @ynabe39

「グリニッジ天文台事件」などを例にあげるまでもなく,もともと科学的方法は「個人の知覚や認識への不信」を基礎に,人間の認知機能が持つバイアスへのカウンターバランスとして発達してきた。だから科学が第1種の過誤に「過敏」なのは当然のことだ。

2011-08-24 09:00:32
渡邊芳之 @ynabe39

戻ります。19世紀以降の世界は「第2種の過誤に敏感な人間」と「第1種の過誤に敏感な科学」との共同作業によってそれまでにない「バランスのとれた世界観」を持つようになったというのは,それほど科学に対してひいき目な見方ではないと思う。

2011-08-24 09:08:06
渡邊芳之 @ynabe39

隠し持っているかもしれないナイフを恐れるのも「第2種の過誤」寄りの思考だと思います。「ナイフを持っている証拠はない」のだから。 RT @syoryukou: 要は隠し持ったナイフより幽霊の方が怖いって事でしょうか

2011-08-24 09:09:23
渡邊芳之 @ynabe39

いまの問答でもわかるように,「第2種の過誤に過敏である」ということは多くの場合「臆病である」ことにつながる。一般に「高等な動物ほど臆病に見える」のは「第2種の過誤への敏感さ」が進化とともに育ったことを示すのかもしれない(これはちょっとトンデモ進化心理学w)。

2011-08-24 09:12:21
渡邊芳之 @ynabe39

ほとんどの人は自分で「客観的な科学的検証」ができませんから,けっきょく信じる信じないの問題になります。この問題についてはあとで考える予定。RT @dato_nw: 誰かにとっての信じるに足る足らないではなく、客観的な科学的検証では?

2011-08-24 09:13:27
まとめ 渡邊芳之ynabe39氏による一連のツイートから考察する「デマ」とは 選別は不十分です. ご自由に編集を. 追記 : 詳しくはこちらを http://togetter.com/li/178603 4167 pv 22 1
まとめ 渡邊教授(ynabe39)の「デマ」についての議論 8月25日 昨日に引き続き、今日も朝からデマについてのやりとりがあったのでまとめました。 1816 pv 5

グリニッジ天文台事件

渡邊芳之 @ynabe39

「1796年グリニッジ天文台で天文学者マスケラインが天体の通過時刻の観測が常に遅れるキンネブルック助手を解雇したがのちにベッセルが観測者ごとに時間観測に個人差があることを発見した」という逸話のソースを調べているんだが心理学関係の書籍以外に全然見つからない。

2011-12-08 15:20:35