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【カオス理論】2.「線型」「非線型」という言葉の比喩的な用法から来る混乱

「線型」「非線型」という言葉をメタファーとして使う思想家たちがもたらした混乱について取りまとめたものです。 カオス理論 →http://togetter.com/li/3807 1.理論から得られる哲学的な結論についての混乱① →http://togetter.com/li/3838 続きを読む
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アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

「線型」「非線型」という言葉を、いたずらにメタファーとして誤用することから来る混乱とはどのようなものなのかを見てみよう。まず数学用語における「線型」の“正しい”使い方について見てみると、これには二つの使われ方があるので、まずこちらを混乱しないように厳重に注意することが必要である。

2010-01-24 00:38:32
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

1.「線型な関数」あるいは「線型方程式」という用い方。f(x)=2x とか f(x)=-17xといった関数は線型であるが、f(x)=x^2 とか f(x)=sin xといった関数は非線型である。数理的なモデリングの言葉で言えば、線型方程式は「結果が原因に比例する」様な状況をさす。

2010-01-24 02:27:21
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

この「結果が原因に比例する」というような言葉づかいは、線型性の問題と因果性というまったく異なった問題とを混同している。線型方程式では、全ての変数が互いに比例関係で結ばれている。どの変数が「原因」でどれが「結果」かを特定する必要はないし多くの場合そのような区別は意味を成さない。

2010-01-24 02:33:14
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

2.「線型順序」という言い方での使用。これは、ある集合の元が順序づけられていて、任意の二つの元aとbについて、a<b,a=b,a>bのいずれか一つが成立することを意味する。たとえば〈実数〉の集合には自然な線型順序があるが、〈複素数〉の集合にはそのような自然な順序はない。

2010-01-24 03:41:13
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

「自然な線型順序」の「自然な」とは、a,b>0ならばab>0、a>bならばa+c>b+cが成立するという意味で、「体(たい)の構造と整合している」ということである。

2010-01-24 04:08:17
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ここからが問題である。数学用語における「線型」という言葉の使い方には二つあるということを、これまで確認したわけだが、(主として英系の)ポストモダンの思想家たちは、〈線型思考〉という表現をすることで、三つ目の用法を付け加えている。この使い方が曖昧極まりないのである。

2010-01-24 04:25:47
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

〈線型思考〉という言葉の表現に正確な定義などないが、これは大まかにいって「啓蒙主義」だとか「古典的な科学(極端な還元主義と数値化信仰を持つものとして攻撃対象になりがち)」における論理的かつ合理主義的な、旧態依然的な思考を指して言っている言葉として使われている。

2010-01-24 04:34:11
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ポストモダンの思想家たちは、この旧式の思考法に対立するものとして、ポストモダンの〈非線型思考〉を唱える。こちらも正確な定義などないが、大まかには、直観や主観的な直覚に頼って理性を越えるという方法論をさして言っているようである。

2010-01-24 04:46:44
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

注目!「古典的な科学」において、直観が何の役割も果たさないというのは誤りである。科学理論は人間の知性が生み出すものであり、実験結果にそのまま「書かれて」いるものではない。理論を「生み出す」という創造的過程において、直観は本質的な役割を果たすので、その点においてはむしろ逆である。

2010-01-24 05:00:08
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

創造的過程と違って、科学理論を「実証する(または反証する)」ための論証の過程においては、直観が明確な役割を論じるなどということはありえない。この過程にあっては、個々の科学者の主観性に依存してはならないからだ。

2010-01-24 16:46:20
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ポストモダンの思想家「カオス理論こそ、われらが〈非線型思考〉を正当化するものであり、支持しているものなのだ!(キリッ」 実際にはカオス理論だけではないが、カオス理論に限ってみればこのような主張は単に「線型」という言葉の三つの用法をごちゃごちゃにしているだけである。

2010-01-24 17:00:02
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

「ニュートン力学は〈線型思考〉であり、カオス理論こそはニュートン力学を超える革命的理論である!また、量子力学は非線型な理論の典型である!(キリッ」ぶっちゃけ、真逆である。彼らが〈線型思考〉だとレッテルを貼ったニュートン力学では、明らかに「非線型」な方程式が使われているのだから。

2010-01-24 17:18:24
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

そもそもカオスの多くの例がニュートン力学からの問題である。カオスの研究はむしろ、ニュートン力学を最先端の研究分野にしたと目されているのである。そして量子力学であるが、その基本方程式であるシュレーディンガー方程式は、純然たる「線型方程式」であり、非線型な理論の典型などではない。

2010-01-24 17:31:04
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

線型性やカオスと、「方程式の解が時間の関数として数式であからさまに書けるかどうか」ということに関連する誤解。非線型方程式を解くほうが線型方程式を解くよりも難しいことが多いが、非常に難しい線型な問題もあれば、非常に易しい非線型な問題もある。

2010-01-24 17:49:02
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

カオスが起きる為には、方程式は非線型である必要があり、かつ方程式の解が時間の関数として数式であからさまに書けるなどといったことがあってはならないのだそうだが、これだけではカオスを生成するための条件としては不十分だという。非線型な系が必ずカオスを示すというわけでもないらしい。

2010-01-24 17:57:17

コメント

Soh Ishiguro @soh__i 2010年9月29日
RT @Abraxas_Aeon: この「結果が原因に比例する」というような言葉づかいは、線型性の問題と因果性というまったく異なった問題とを混同している。線型方程式では、全ての変数が互いに比例関係で結ばれている。どの変数が「原因」でどれが「結果」かを特定する必要はないし多くの場合そのような区別は意味を成さない。
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