NHKハートネットTV 2012年10月22日:シリーズ貧困拡大社会「相次ぐ若者の過労死」
44:湯浅「労働市場全体が競争的になり、過酷になっている。サービス業でも、たとえば居酒屋などで十何時間働くのが普通になっている。そういう意味では、SEに限らず、全体的な課題と考えた方が良い」 キャスター「なぜそういう状況になっているのか?」
2012-11-02 11:18:5345:湯浅「一つは非正規が拡大し、雇用情勢全体も厳しい。安定した職の椅子が少なくなっている。同じ職場で椅子を並べながら、一方で契約社員の方、非正規の方が働いている。その人たちに比べて、自分は倍の給与をもらっている。」
2012-11-02 11:18:5946:湯浅「じゃあ倍の給与をもらうだけの仕事をしているのか、と常に問われる。そういう中で、追い込まれていく。それができない自分を責めるようになっていく。そこにまたさらに、それにつけこむ会社もある。」 キャスター「それなら辞めればいいんじゃないか、という話が当然出てくるんですが」
2012-11-02 11:19:0647:湯浅「一つには、(串尾さんが)ご自身おっしゃっていたように、辞めたからといって、より良い職にありつけるという保証が何もない。労働環境の過酷さは言われなくても十分知っている。」
2012-11-02 11:19:1148:湯浅「そういう中で、『しんどいところを我慢する』のか、『辞める』か、以外に、『とどまりながら、全体の労働条件を良くしていく』ということが3つ目の選択肢としてあったし、それが筋だって言われていたんですが、」
2012-11-02 11:19:1949:湯浅「ここを担う労働組合とかが、十分その役割を果たせていない。そういうことを働く人たちも信頼できなくなっているというなかで、非常に過酷な2つの選択肢しか残っていないというのは、精神的に追い込まれる構造だと思いますね。」
2012-11-02 11:19:2650:菊池「実は最近高校生や中学生と話していると、悲しいほど現実的になっている。長男が高校1年生。友達が来て『将来、何になりたいの?』と尋ねてみると、『安定した職業につきたい』『福利厚生が整った会社に入れればうれしい』とか」
2012-11-02 11:19:3351:湯浅「社会の過酷さを若い人たちも知っているってことですよね。小学生で、将来の夢は大企業の正社員になること、と作文に書いた子がいるそうですけど、福利厚生のちゃんと整った会社で安定して働いていきたいということが「夢」になるぐらいのものになっちゃっている。
2012-11-02 11:19:4053:キャスター「IT企業に就職したものの、過酷な労働環境を強いられて、休職に追い込まれた西垣さんと、同期たち。その後どのような経過をたどるようになったのか、取材しました」
2012-11-02 11:19:5254:和哉さんが入社3年目を迎えた頃から作っていたブログが残されている。「仕事、忙しすぎます」「薬じゃ抑えきれない」。3か月の休職のあと、和哉さんは、会社を辞めるわけにはいかないと、薬を飲みながら復職した。
2012-11-02 11:19:5755:(ブログ)正直しんどいです。」「疲れてます。」「一時的な逃避でもなんでもよく何かに・・」「生きているって事を認識したいです。」「その認識方法すらわからないですが。」「結構限界です。」
2012-11-02 11:20:0356:木谷さん「ぼくはもう、西垣(和哉さん)が、基本的に働ける状態だと思ってなかったので、もうちょっとそれは(体調が)良くなってからにすべきだろうと思って言っても、『いや、俺は働く』みたいな感じのところがありましたね」
2012-11-02 11:20:1157:症状が一向に改善しないことから、より多くの薬を飲むようになっていった和哉さん。心身とも限界に達し、再び休職を申し出た。実家で休養していた和哉さんは、2か月ほどたつと会社に戻ると言い出した。
2012-11-02 11:20:1758:西垣さん(母)「私は『こんなふらふらの状態で仕事できるはずないと思うよ』って言ったんです。そしたら息子が『でもみんな同じだ』って。『みんな、うつを抱えながら仕事をしているんだから。』」
2012-11-02 11:20:2459:西垣さん「『上司にも、<この仕事はうつになるものだ。システムエンジニアは病院へ行って薬をもらって薬を飲みながら仕事をしながらうつを直すものだ>と言われたし』と。『会社に戻って体を慣らしながら治していく』と」
2012-11-02 11:20:3361:(ブログ)「自分はだめだ」「何も無い」「生きている価値が見つからない」「答えはいつまでたっても見つか・・」「何のために生きてるのですか?」
2012-11-02 11:21:0763:西垣さん「人間を使い捨てるように、考えて使っておられるから、このような状況になっていくんではないかと思います。その中で、まさに息子は、使い捨てられたんですよね。私は、でも、使い捨てられるためにこの子を生んで育てたんではありません。」
2012-11-02 11:21:2065:木谷さん「これが安定剤ですね。感情をなだらかにする」。和哉さんの同期にも厳しい生活が待ち構えていた。入社2年目でうつ病と診断された木谷さんは、その後、薬が手放せなくなった。
2012-11-02 11:21:3766:休職と復職を繰返した末、去年、会社を辞めざるを得なくなった。退職して1年半。貯金と障害者年金で暮らしてきた。しかし蓄えも底をつき、先月、生活保護を申請。生活保護にしか頼るしかなくなったことに対して、木谷さんは、会社を恨む気にはなれないという。
2012-11-02 11:21:4367:木谷さん「一緒に働いた職場の仲間たちが好きだったというのが、一番大きいところかな、と思います。」―「それは病んでしまったとしても?」―木谷さん「そう、だからたぶん、あまり会社のことを恨めないっていうか、そういう部分につながっていると思うんです」
2012-11-02 11:21:49