甲状腺検査の結果を読むために考えたこと、調べたこといろいろ(その3)

福島県の県民健康管理調査の一環として行われているこどもの甲状腺検査の第3回集計結果(2012年11月1日現在、2012年11月18日公表)http://t.co/ClISkhJL を対象地域の違いがわかるよう再集計して地域間で比較しました。 平成23年度検査分:田村市、南相馬市、伊達市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村 平成24年5-8月検査分:福島市 平成24年9月検査分:二本松市・本宮市・大玉村 続きを読む
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nao @parasite2006

まず第2回集計結果http://t.co/tSxVmaII の最初のページの検査スケジュール表で収録データの調査対象地域を確認。

2012-11-22 00:22:23
nao @parasite2006

第2回集計で新しく追加されたデータ(8/24検査分まで)が福島市での検査分だったのに対し、第3回集計で追加されたデータ(9/28検査分まで)は二本松市・本宮市・大玉村の検査分(10月上旬まで検査予定が組まれているので少し積み残しがあるはず)プラス第2回集計後に確定した福島市の分

2012-11-22 00:29:19
nao @parasite2006

第2回の集計結果が出たときは、平成23年度検査分(対象地域は警戒区域、避難区域と隣接自治体)と平成24年5-8月検査分(福島市)が別々に集計してあって地域間の比較ができたのですが、第3回集計結果では平成23年度検査分がはずされた上に平成24年になってからの検査分が合算されて(続)

2012-11-22 00:38:15
nao @parasite2006

(続き)福島市とそれ以外の中通りとの比較ができません。さらに第2回集計では平成23年度検査分と平成24年5-8月検査分の嚢胞について年齢別、男女別のサイズ分布がグラフ表示されていたのに、第3回集計ではこれがなし。

2012-11-22 00:42:12
nao @parasite2006

第3回集計結果http://t.co/ClISkhJL ではサイズ分布の数値データが公表されていないため分布グラフを描く事はあきらめて、主な集計表について合算されているH24年度のデータを5-8月分(福島市)と9月分(二本松市・本宮市・大玉村)に分割して集計し直してみました。

2012-11-22 04:40:29
nao @parasite2006

第3回集計結果ファイルhttp://t.co/ClISkhJL 2ページ目の「甲状腺検査の結果概要①」の2枚の表のうち上の方を分割集計し、地域間の比較ができるようにしたものがこちらhttp://t.co/6RsNZ8dz

2012-11-22 05:27:02
nao @parasite2006

以下いずれもH23年度(高線量地域)、H24年5-8月(福島市)、H24年9月(二本松市・本宮市・大玉村)の順です。A2判定の割合:35.3%、43.1%、39.6%。B判定の割合:0.5%、0.6%、0.5%。H24年9月検査分で初めてC判定が1人検出されています。

2012-11-22 05:33:12
nao @parasite2006

同様に第3回集計結果ファイルhttp://t.co/ClISkhJL 2ページ目の「甲状腺検査の結果概要①」の2枚の表のうち下の方(受検者全体に占める嚢胞ありと結節ありの割合)を分割集計し、地域間の比較ができるようにしたものがこちらhttp://t.co/Fgr8G4Mi

2012-11-22 05:36:37
nao @parasite2006

結節の検出率:1.01%、0.92%、0.97%。嚢胞の検出率:35.11%、43.13%、39.54%。通常の診療ではないものとして扱われる3 mm以下の嚢胞を除き、3.1 mm以上の嚢胞に限定した場合の検出率については後で述べます。

2012-11-22 05:44:31
nao @parasite2006

第3回集計結果ファイルhttp://t.co/ClISkhJL のp.4「甲状腺検査の結果詳細(H24年度検査:嚢胞について)」左上の集計表を第2回集計結果ファイルhttp://t.co/tSxVmaII のp.9の集計表と照合して分割集計http://t.co/xsHTgzKp

2012-11-22 05:55:18
nao @parasite2006

3.1 mm以上の嚢胞の検出率:16.7%、18.3%、16.9%。3.0 mm以下の嚢胞の検出率:18.4%、24.8%、22.6%。検出される嚢胞の半分以上が3.0 mm以下であり、嚢胞の総検出率の違いは3.0 mm以下の嚢胞の検出率の差で大部分説明できることがわかります。

2012-11-22 06:05:10
nao @parasite2006

(H23年度検査分の嚢胞のサイズ別検出率は、第2回集計結果ファイルhttp://t.co/tSxVmaII p.6左上の集計表に掲載されています)

2012-11-22 06:06:43
nao @parasite2006

最後に第3回集計結果ファイルhttp://t.co/ClISkhJL のp.5「甲状腺検査の結果詳細(H24年度検査:結節について)」左上の集計表を第2回集計結果ファイルhttp://t.co/tSxVmaII のp.8と照合して分割集計http://t.co/RKgLOq1r

2012-11-22 06:11:45
nao @parasite2006

5.1 mm以上の結節(B判定相当)の検出率:0.48%、0.5%、0.5%5.0 mm以下の結節(A2判定相当)の検出率:0.52%、0.4%、0.5%。(H23年度検査分の結節のサイズ別検出率は、第2回集計結果ファイルhttp://t.co/tSxVmaII p.5左上)

2012-11-22 06:21:22
nao @parasite2006

こうやって見て来ると、H23年度(高線量地域。具体的には田村市、南相馬市、伊達市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村)、H24年5-8月(福島市)、H24年9月(二本松市・本宮市・大玉村)の間に目立った地域差があるとは言えないと思います

2012-11-22 06:29:07
nao @parasite2006

今年4/26の第6回福島県「県民健康管理調査」検討委員会の配布資料http://t.co/1mBvF0Cm p.14に掲載されている実施計画によれば、甲状腺検査は「原則として、3月時点(主として18日)での環境放射線量の高かった市町村順に検査を実施する」ことになっており(続く)

2012-11-22 06:34:46
nao @parasite2006

(続き)2011年11月版の航空機モニタリングによる東日本の空間線量率、土壌セシウム濃度マップhttp://t.co/DkhdSwI4 p.28の地上1 mの空間線量率地図を見ると、H23年度の調査対象地域の空間線量率はH24年の対象地域に比べてはるかに高い事がわかりますが(続)

2012-11-22 06:53:10
nao @parasite2006

(続く)この歴然たる線量の差に対応するような甲状腺検査結果の地域差は、これまでの集計結果を見る限り出ていないと言っていいでしょう。

2012-11-22 06:56:38
nao @parasite2006

第2回集計結果http://t.co/tSxVmaII の最初のページの検査スケジュール表と福島県立医大の放射線医学県民健康管理センターHPの甲状腺検査コーナーにある検査日程http://t.co/p7vcJgd7 を照合すると、検査は奥羽山脈の東の麓を北から南に進んで(続)

2012-11-22 07:16:34
nao @parasite2006

(続き)県内での奥羽山脈の南端に近い泉崎村、西郷村、白河市のスケジュールが間もなく完了し、人口の多い郡山市(北端の福島市と南端の白河市の中間に位置)の検査が来年3月まで引き続き予定されています。年明けからはヨウ素剤が独自配布された三春町でも検査が始まります。

2012-11-22 07:19:05
nao @parasite2006

福島県の甲状腺検査は最新鋭の超音波検査装置を使い、通常の診療ならないものとして扱われる大きさ3 mm以下の嚢胞、結節まで検出して記録しているため、この結果を過去の医学論文に報告されている超音波検査結果(たいてい3 mm以上を検出と判定している)と比較する時には注意が必要です。

2012-11-22 07:28:23
nao @parasite2006

たとえばチェルノブイリと長崎でこどもの甲状腺の超音波検査を行い結果を比較した2001年の論文http://t.co/2hphjdkf の検出判定基準は「5 mm以上」。今回の結果をこの論文と比較するなら、嚢胞も結節も5.1 mm以上に限定して検出率を比較しないと意味がありません。

2012-11-22 07:47:06

チェルノブイリ事故後の被災地域で行われた甲状腺の超音波検査の様子をこのスライドhttp://t.co/surBzld3 のp.14でご覧いただけます。この写真の検査装置は笹川プロジェクト(1990-2001)の最初期に使われたものと思われますが、プローブと患者さんの首の間に水の層を置いて検出感度を高めています。超音波の周波数は3-3.5 MHzで当時の検出判定基準は「直径5 mm」。
これに対し、福島県の甲状腺検査で現在使われている超音波検査装置(同じスライドのp.13の写真)は周波数12 MHzの超音波を使用し、プローブにゼリーを塗ってから皮膚に当てています。使う超音波の周波数が高いほど、細部まで精密な画像が得られます。

同じ直径5 mmの病変の検出と言っても、装置の性能ぎりぎりの5 mmと1 mmや2 mmの病変でも検出できる装置で楽々と検出する5 mmでは、同じ患者さんを同じ検出判定基準で検査しても検出率に差がつくことは想像に難くありません。

チェルノブイリ事故後の被災地域での甲状腺の超音波検査結果(1991-1996年。1986年の事故から5-10年後に相当)は一応こちらhttp://bit.ly/TnE2Sj でご覧いただけます。ここでは嚢胞の検討は行っていません。ただしこれを今回の福島の結果と比較するときには、上に述べたように現在の技術が当時のチェルノブイリで使えれば検出率がさらに上がっていた可能性があることに加え、@PKAnzug さんがこのまとめhttp://bit.ly/S9opOW のコメント欄で指摘しておられる通り、分類基準の違いにより福島の結果では結節の検出率が通常の研究よりも過大評価されている可能性を頭に置いてデータを読む必要があることにご注意下さい。

nao @parasite2006

5.1 mm以上の嚢胞の検出率(H23年度、H24年5-8月、H24年9月の順):2.5%(970/38114)、2.6%(1106/42060)、2.4%(384/15780)。2001年長崎論文http://t.co/2hphjdkf の結果は250人検査してゼロ。

2012-11-22 08:03:50

(↑すみません、「長崎では嚢胞ゼロ」は正しくありませんでした。引用論文の表2には嚢胞(cyst)は出ていませんが、本文記述を見ると長崎のこども250人中2人から嚢胞性変性(cystic degeneration)と単一の甲状腺嚢胞(single thyloid cyst)が検出されたとあります。従って長崎のこどもからの嚢胞検出率は2/250 x 100 =0.8%となります)

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