丹生谷貴志ツイートまとめ(2012年12月)

丹生谷貴志氏の2012年12月分のツイートをまとめました。
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nibuya @cbfn

僕は「芸能人」の知人というものを持ったことがなく、正確には二人、同級生が「芸能界」に入り一人、予備校講師の頃の教え子(!)に一人。前者のうち一人は或る有名歌手のバックバンドにまで「出世」しましたが麻薬問題で消え一人は美人ではありましたが鳴かず飛ばずでたぶん諦めたのでしょう・・・

2012-12-19 10:46:46
nibuya @cbfn

一人は一時は「時の人」めいて売れっ子になりましたが、これまた一時のブームが消え、個人的スキャンダル(?)もあってか、表からは消えました。どれもそれなりに真面目な連中でしたが・・・「芸能界」というのは、平凡な見解ですが、薄氷を踏むような壊れ易さで出来ているように思ったものです

2012-12-19 10:49:10
nibuya @cbfn

三島由紀夫に『スタア』という巧い短編小説がありました・・・。三島さんは『女形』とか、ああいう「芸能もの」が意外に巧かった。ノーマン・メイラーでも『鹿の園』を特に好んだり・・・ああ、大岡さんも巧かったですね。と言うか少なくとも好んでそうした題材を書いた。「河原者」−花柳界−芸能・・

2012-12-19 10:57:16
nibuya @cbfn

全く知らなかった「クレア・キーガン」というアイルランドの女流作家の翻訳本を衝動的に注文した後に、不意に『セバスチャン・ナイト』のラスト、「取り違えた男」の名字が「キーガン」であり、ナイトを支えた女性の名が「クレア」だったことに気づく。意味のない偶然だが、しばらく、茫然とする

2012-12-21 02:34:35
nibuya @cbfn

さっき一瞬だけカンギレームに関して書いて消してしまったのですが、まあ『正常と病理』の最後の数行を読み返していて不意に「何か知れない光景」が見えたような気がしたからで、しかし今はそれを言葉まで耐えることが出来ない気がしたもので。彼とその弟子フーコーとの間で一瞬で取り交わされた光景?

2012-12-21 03:06:43
nibuya @cbfn

実は今ようやく『セバスチャン・ナイト』を読み終わった。実に三週間近くかかってしまった!ともかく、最後のパリ身向かう列車、病院に向かう過程、不意に、『断頭台への招待』と「同じように」何か知れない「同じものの変幻性」に開く速度に圧倒される。渦と反復・・・野菜人間の復讐に似た・・・

2012-12-21 03:10:49
nibuya @cbfn

ゴダールの『映画史』のようにして「一冊の本」を読むこと。或は・・・ナボコフで言えば、彼の『オネーギン』翻訳=注釈・・・まあ、これは訳す理由を見つけるのが難しい本で、たぶん、邦訳されない唯一のナボコフになるのだろう。

2012-12-21 03:15:55
nibuya @cbfn

或は沼野さんあたりは訳す計画があるのかな? しかしそうすると、一旦プーシキンの『オネーギン』を事改めてロシア語からの新訳として訳し、それを英語に訳したナボコフの異様(らしい)翻訳の意味とその異様な注釈を重ねるというややこしい本になってしまうのだろう

2012-12-21 03:19:50
nibuya @cbfn

「アノマリー」は「アノーマル」とは無関係の語で語源的には「異常」ではなくて「整地されていない凸凹の土地」とか「傾いだ場」といった意味である。だからアントニオ・ネグリのスピノザ論『アノマリア・セルヴァッジア』はネグリの意図は知らず、「未開の凸凹地」といった意味に成るべきなのだろう

2012-12-22 13:49:46
nibuya @cbfn

以前も書きましたが、大岡さんは翻訳書を読んで「再読すべし」と感じたものに関して可能な限り原書を再読するという方針を採っていた。むろん第一には時間の節約。第ニには、小説はともかく、特に理論書の場合、実際は現代日本語の能力はそれを訳す適切な概念語をついに発明するに至っていないからだ

2012-12-23 11:29:52
nibuya @cbfn

小説や絵画もそうだが、とりわけ音楽は基本的に直感的に収納可能な表出であるため、感受者はそれを構成して来た文化システムの総体への「理解」なしにそれを享受出来る。このことは慶賀すべき幸福だろうが、しかしその結果そこには感受者の根本的な怠惰が露骨に潜在してしまう。

2012-12-23 11:34:55
nibuya @cbfn

例えば「現代音楽」に関する戦後の作曲家(そしてまた批評家)の間で戦わされたまったく空虚な議論を想起すること。

2012-12-23 11:39:22
nibuya @cbfn

音楽は聴く者を必要とするがそれは「十分状条件」ではないし絶対条件でもない。音楽は「誰か」に聴かれることを渇望するだろうがその「誰か」が「人間」でなければならないわけではない。スタンダールが「Happy few」と書き付けた時、彼が「来るべきfew」を「人間」としていた確証はない

2012-12-23 12:30:41
nibuya @cbfn

仕事柄、会議中に、時間の無駄と感じたのか「専門書」を読んでいる人に囲まれます。勉強熱心と言うべきか、しかし僕にはその光景が会議中にポルノを読んでいるのと同じに見えます。要は「快楽」のためであれば? 因に僕は会議が無意味と判断した場合可能なら帰ってしまいます。これも似たようなものか

2012-12-23 13:33:34
nibuya @cbfn

「マヤの終末論」で騒ぐなら、マヤ−アステカ暦では12月24日は「一年が死のうとする日」になります。この日以降新年明けまで一年のサイクルは危篤状態に入り、1月1日の復活の日に備え、帝国の「竃の火」は落とされます。・・・そして彼らは「新年が無事に開ける約束はない」と考えていました・・

2012-12-24 10:53:04
nibuya @cbfn

・・とまあ、これはさして特異なものではないので、「メリー・クリスマス&ハッピー・ニュウ・イヤー」という”二項”を結ぼうとする言い回しにもこの「滅び」の必然と復活の「危うい蓋然」の投影があるのは間違いありません。まあ、ともかく、そういうわけで、今日の深夜にクリティクが始まる次第・・

2012-12-24 11:14:01
nibuya @cbfn

というわけで今宵はエルンスト・ルビッチの『天国は待ってくれる』でも見てみたい気もしますが、持ってません。

2012-12-24 11:17:07
nibuya @cbfn

『菊と刀』の感想文に「敵であったはずの日本人をこれほど優しく正確に見つめようとしてくれたアメリカ人がいたことに驚きました」という一節を読んで苦笑。言うまでもなくあの本は実験的隔離におかれたサンプルを元に「飼育対象としての”日本人”」を描いた一種のマニュアルという性格を持つ

2012-12-24 12:10:06
nibuya @cbfn

飼育係が置き忘れた飼育マニュアルを読んで「自分を知る」という、一種倒錯的な感覚? ルース・ベネディクト自身は自分の著書の或る意味「仄暗い」性格を十分自覚していたので、だから彼女は自分の学生に『菊と刀』を読まないようにと提言していた・・・彼女の学者としての真摯・・・

2012-12-24 12:16:10
nibuya @cbfn

ようやく新規コンピュータに調整。微妙に操作がかわっていて戸惑いました。要はよくわからないまま使っているということです。年末だろうと特別な生活はしないので、まあ、相変わらず原稿の準備です。売れっ子(!)では有り得ませんが時々はある。どちらにしろ吉本隆明さんの言う「プロ」にはなれない

2012-12-25 02:23:33
nibuya @cbfn

福田和也が大岡昇平を評価しないという事、その感じは実はよく分かる。大岡さんには菌類が固着する或る「特異点」のような場所があると僕は思い、それを感受しない場合、実は大岡さんの小説はひどくつまらない、と僕も思う。その「特異点」は「ロマネスク」の場合は大方最後の一行に浸潤している・・・

2012-12-27 00:51:26
nibuya @cbfn

大岡さんの「エンターテイメント系風俗小説」は語るに足る「人間的陰翳」を全く欠いている。明らかに大岡さん自身それを完全に切り捨てることでそれらを書いているかのようでその身振りが気になるのだ。その結果生ずる「変に生臭い非人間性」の奇妙さ、真っ昼間に曝されてしまった風俗の廃虚のような?

2012-12-27 10:06:27
nibuya @cbfn

と、まあ、福田和也云々はさておき、いつもながら不意に、大岡さんの『雌花』『歌と死と空と』やらといった「風俗−推理?小説」を読み返し、実は僕自身それらの「エンターテイメント小説」がどうしても好きになれないとして、しかしそれでも、そこには何か気になるものがあり・・・

2012-12-27 10:19:21
nibuya @cbfn

大岡さんの「エンターテイメント系風俗小説」は語るに足る「人間的陰翳」を全く欠いている。明らかに大岡さん自身それを完全に切り捨てることでそれらを書いている、その身振りが気になるのだ。その結果生ずる「変に生臭い非人間性」の奇妙さ、真っ昼間に曝されてしまった風俗の廃虚のような?

2012-12-27 10:20:18
nibuya @cbfn

・・・そして明らかにその「明るさ」はどこか異常なのだ。どこに光源があるか不明の照明の明るさ。食事の途中で不意に人間が皆消えてしまった幽霊船のような街の「普通の真昼」の「風俗街」の飲みかけのままのグラスやらのカウンター、そこに薄っぺらなセロファンのような幽霊が二三人、といった・・・

2012-12-27 10:30:12