竹熊健太郎先生の「どうして漫画が日本でこれほど発展してしまったのか」

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竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

どうして漫画が日本でこれほど発展してしまったのか、理由がよく分からない。浮世絵、黄表紙、絵本、そういった戯作文化が底流にある事はわかる。が、戯作のない文化のほうが少ないだろう。元々ストーリー漫画は欧米起源だし。なぜ漫画は、日本においてのみ、このような形になってしまったのか。

2013-01-03 03:09:00
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

例えばアメコミでは、シナリオ作者、ネーム(コマ割)を切る人、下絵専門、ペン入れ専門、吹き出しを書く人、文字を描く人に細かく別れている。日本は1人の作家が描くので、吹き出しは完全に「絵の一部」になっている。アメコミと日本漫画の一番の違いが実はここだったりする。

2013-01-03 03:15:44
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

アメコミのバルーン(吹き出し)は、尻尾が口元から伸びることによって、台詞がその人物から発せられた事を表し、機能は万国共通である。しかし日本の場合、バルーンも丸かったり四角かったり、震えていたりと多様。これは台詞の「感情」を表すが、私の知る限り、欧米漫画にここまでの使い分けはない。

2013-01-03 03:23:45
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

吹き出しの違いは一例だが、この違いは、明らかに(本来集団制作が前提になる)ストーリー漫画を、1人の作家が執筆することで生まれたものだろう。アメコミは、最初から分業だから、バルーンには「台詞がその人物から発せられた意味を表す記号」以上のものにはなりにくい。

2013-01-03 03:28:33
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

ただ、アメコミの作り方を模しているはずのさいとうプロ作品でも、吹き出しに関しては日本流に感じる。少なくともアメコミを読む時に感じる、あのなんとも言えない読みにくさはない。私の想像だが、これはやはり、さいとう・たかを氏自身がネームを切っているからではないかと思う。

2013-01-03 03:31:30
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

日本にもアメコミに相当するものがあった。絵物語だ。http://t.co/5bZNYhbv 左は福島鉄二「砂漠の魔王」だが、絵も内容も完全にアメコミ。昭和20年代は、手塚流ストーリー漫画と絵物語との熾烈な人気競争があった。漫画陣営が手塚でなかったら、軍杯は絵物語に渡っていたかも。

2013-01-03 03:50:51
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

「砂漠の魔王」の画像検索URLがうまく短縮できてなかったようなのでもう一度。http://t.co/c6nNgQya ちなみにこの絵物語、宮崎駿が中学生時代に熱中した作品で、「飛行石」なんてアイテムも出てきます。

2013-01-03 04:20:30
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

絵物語は昭和20年代には少年雑誌のトップ人気で、これを手塚漫画が駆逐してしまったわけだが、その秘密は、私は「絵と言葉が吹き出しを通じて融合する」手塚漫画の独特の描き方にあったのではないかと考えている。手塚漫画においては、文字も「絵」として認識するため、読むスピードが圧倒的に速い。

2013-01-03 03:55:31
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

漫画と異なり絵物語の魅力は、なんと言っても圧倒的な書き込みによる絵の密度にある。絵を絵としてキチンと描き、それに小説のような密度の文章が組み合わさるのだが、結果として読者は読み飛ばす事が出来ず、読むのに漫画の数倍の時間がかかる。漫画は、そのスピード感で絵物語に勝利したのだ。

2013-01-03 03:59:23
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

そして昭和20年代の絵物語を読むと、読後感がアメコミに極めて近いのだ。アメコミの「読み辛さ」の理由が、絵と文章をそれぞれ「鑑賞させる」読ませ方にあると気がついた時、なぜ日本で絵物語が廃れ、アメコミが流行らないのか、理由が分かった気がした。今言えるのはこれくらいです。

2013-01-03 04:04:37
兼光ダニエル真 @dankanemitsu

@kentaro666 アメコミに限った話ですが、フキダシの中身はすべて手書き(今は手書き風のフォントですが)を活用してる為に、感情の違いや雑音などのは手書きで表現するという手法がありますね。すべて手書きなのだからかなり自由度があるにもかかわらず、それを活用していないのがほとんど

2013-01-03 03:27:25
たカイまもるくん(「金魚すくいは金魚にとって救いにならない」Amazonより発売) @muromav

それは書き言葉としての日本語そのものじゃないですか RT  @kentaro666 手塚漫画においては、文字も「絵」として認識するため、読むスピードが圧倒的に速い。

2013-01-03 04:09:15
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

@muromav そうです。実は呉智英氏が、日本語の特性と日本漫画の特性を同質のものだと論じています。

2013-01-03 04:12:13
七月鏡一 @JULY_MIRROR

@kentaro666 手塚治虫の漫画はむしろ映像作品に近いですね。

2013-01-03 04:06:29
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

@JULY_MIRROR 手塚作品の目標はやはりアニメだったのでしょう。映画やアニメを見る時のスピード感を紙の上に持ち込もうとして、ああいう表現になったのではないかと僕も思います。

2013-01-03 04:28:21
山田光彦 @nimita

@kentaro666 おはようございます。養老孟司さんによれば、日本で漫画が発達した理由は、漢字仮名交じり文の読み方の特殊性にあるのではないか、とのことでした。日本人が文書を読む時、仮名を言語野で、漢字を視覚野で、それぞれ同時に処理して文書を読んでるそうです。(続く)

2013-01-03 06:37:51
山田光彦 @nimita

@kentaro666 世界の言語と比較して、これは日本語だけに特有の現象だそうで、つまり絵と文字を同時に処理する漫画という表現を、あらかじめ受け入れる素養が日本人にあったのではないか、ということでした。僕にはこの説がしっくりきました。

2013-01-03 06:40:27
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

養老さんのその説は僕も読んだことがあります。なるほどと思いましたが、もっと詳細な検討が必要かもと思いました。それだと、日本漫画好きの外国人は、どのように漫画を読んでいるのかが分かりづらいです。RT @nimita: @kentaro666

2013-01-03 06:58:02
山田光彦 @nimita

@kentaro666 私もアメコミが好きでよく読むのですが、読みづらいなと思いながら「苦労して」読んでます。推測ですけど、日本の漫画が好きな欧米人も、同じように「努力して」読んでるのかも知れませんね。日本人のように、なんの引っかかりもなくスラスラ読めてはいないのかも知れません。

2013-01-03 07:10:14
アメ子@アメコミ情報発信中♪ @ameco_bot

竹熊先生曰く、「日本の場合、バルーンも丸かったり四角かったり、震えていたりと多様。これは台詞の「感情」を表すが、私の知る限り、欧米漫画にここまでの使い分けはない」って、じゃあ、私の読んでるアメコミは何なのだろうと首をひねります。その程度のフキダシは欧米にもありますよ……。

2013-01-03 14:46:17
Eto Daisuke @castilla009

@ameco_bot 熟読してない人の意見の代表のようですな。

2013-01-03 14:48:25
アメ子@アメコミ情報発信中♪ @ameco_bot

@castilla009 日本人はアメコミを熟読してないでしょうけど、アメコミ制作側は日本のマンガを熟読してますからね。竹熊先生の「サルまん」の影響も大きかったりします♪ その辺り、あまり理解がないのが残念です……。

2013-01-03 14:55:12
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

@ameco_bot 私も見た記憶はあり、探せばあるとは思いますが、具体例と頻度を示した論考はありますでしょうか。私、日常的にアメコミを読んでませんので。自説を訂正するにはやぶさかではありません。

2013-01-03 15:02:28
アメ子@アメコミ情報発信中♪ @ameco_bot

@kentaro666 具体例というか、電子版でなんでも最新のアメコミを読めばわかることだと思います。恐怖シーンでは普通にコマが震えてたり、四角はキャラクターの思考セリフだったり、尖ったフキダシが叫び声になったりしてます。論考云々というより、すでに一般的ことです。

2013-01-03 15:07:04
推しの健康が心配なP.P @downclown99

@ameco_bot 「砂漠の魔王」が昔のアメコミそっくりなので、この文脈で語らている「アメコミ」は昔のアメコミを指しているのではないでしょうか。その頃は登場人物の語りに関して言えばほとんど変わらない気がします。もっとも、自分は初心者なので実は違うのかもしれませんが。

2013-01-03 15:00:50
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