創作が史実と誤認されることについて

こないだの話(http://togetter.com/li/447545)が受けたので気を良くして、また別の話を。今度は「歴史系の創作において、創作部分はどの程度史実と認識されてしまうのか」ということに絡めてあれこれと。結論についてはお約束ということで。
200
神無月久音 @k_hisane

例えば、吉川英次『宮本武蔵』における武蔵と沢庵和尚の関係は、吉川英次が自ら言及してる通り、完全に作者の創作な訳ですが、京都大徳寺の大仙院(沢庵和尚が住職を務めたことのある寺)の案内では、それが史実と一緒くたに紹介されてたりするわけですよ。

2013-02-06 13:32:15
神無月久音 @k_hisane

【意気の道場大仙院】 http://t.co/yhmu1EaD ”沢庵漬けで広く知られた七世沢庵宗彭和尚は、紫衣事件で徳川幕府に抗弁した人であり、また書院「拾雲軒」で宮本武蔵に剣の極意を授けたともいわれています。

2013-02-06 13:32:56
神無月久音 @k_hisane

【沢庵和尚は、本当に宮本武蔵の師だったのか?】http://t.co/QqFPfWEU小説「宮本武蔵」の作者、吉川英治氏は「随筆宮本武蔵」の中で次のように記述しています。武蔵と沢庵との交渉は、まったく僕の創作で、文献には見当たらない(後略)”

2013-02-06 13:37:21
神無月久音 @k_hisane

一度世間に定着した印象は、そうそう消えない実例の一つと言えま砂。こういう評判がプラスになる創作であれば、誰が損するわけでもないので、まだ許容範囲ですけど、評判を引き下げるマイナスの創作については、なかなか扱いが難しいで砂。打ち消しの困難さはまるで変わらないわけですし。

2013-02-06 13:38:14
神無月久音 @k_hisane

実際、創作であると説明しても「しかし、絶対にそうではないと断言できないのではないか」と、悪魔の証明を求め出す人もいるわけで、そうなったらもう感情の問題ですから、どうしようもないで砂。そういう人に史実準拠の説明する際、話を拗らせないために工夫が要るわけで、手間のかかる話でアリマス。

2013-02-06 13:41:57
神無月久音 @k_hisane

「史実から見ると、この作品はここがおかしい」と言いがちな人に足りないように感じるのは、この辺が多いな、と個人的に思うところ。「史実」をひたすら並べる展開が多いので、いくら正しくても相手の納得や共感を得づらい訳で砂。それじゃあ意味がなかろうと。正しいだけでは足りないんですよ。

2013-02-06 13:45:34
神無月久音 @k_hisane

そうではなく、とにかく自説を展開して相手を屈服させたいのだ、勝てばよかろうなのだァー!というのなら話は別ですけど、そこまで来ると、もう創作がどうとか史実がどうとかは関係ないんじゃないのかと。最早「ううう人を斬りたい!(議論的な意味で)」という塩梅のデジタル辻斬りとどう違うのかと。

2013-02-06 13:47:08
神無月久音 @k_hisane

その辺については、前に書いたのをまとめてたのでこちらを。【ネット論争とデジタル辻斬り】 http://t.co/MXrGIDQh 当事者の自己認識はどうあれ、辻斬りは迷惑なのでアカンじゃろ、というとこで砂。前と重なる話ですけど。

2013-02-06 13:48:33
神無月久音 @k_hisane

前に、自己満足目的の批判のために創作を見るとかどうよ、という話をしましたが、言うだけ言えば満足するなら放置すりゃいいので別に構わんのかも、と思ったけど、そういう手合いは反応欲しさに荒らしに転じたり、粘着することが多そうなので、やっぱアカンか、と思い直したり。

2013-02-05 21:18:04
神無月久音 @k_hisane

尤も、史実を説明して「なるほど、実際にはそうなのか」と簡単に納得してもらえる場合は、そもそも対象や創作に魅力を感じてなかったり、単に聞き流されてたりすることが多々あるので、それはそれで悩ましいところなのですが。

2013-02-06 13:50:11
和泉樹林 @IzumiKibayashi

司馬センセとかの創作部分についてはにやけ顔でご高説垂れていて、いざじゃあ、平家物語や太平記の創作部分について批判して行きましょうかというと、目を三角にしたり口を尖らせたりすることはよくあること。

2013-02-06 15:08:17
神無月久音 @k_hisane

批判のためだけに知識を蓄えるというのは薄ら寂しいもんで砂。@Izumi_asato 司馬センセとかの創作部分についてはにやけ顔でご高説垂れていて、いざじゃあ、平家物語や太平記の創作部分について批判して行きましょうかというと、目を三角にしたり口を尖らせたりすることはよくあること

2013-02-06 15:21:12
神無月久音 @k_hisane

自己満足(それも他人をこき下ろして満足する類の)以外に動機がないと、そういう他人の穴を突くことに特化した歪な知識の持ち方になるってのはありま砂。きっかけは別になんでもいいし、知らないことはある程度仕方ないにせよ、そこから広がりがないのはなんとも不毛で砂。

2013-02-06 15:26:53
原田 実 @gishigaku

文学作品で史実以上にリアリティがある創作部分が含まれているというのはその作者の凄さを示すわけだから貶すために史実との違いをあげつらうというのも創作を史実だと言い張るのもおかしいわけで。 @k_hisane @Izumi_asato

2013-02-06 15:32:46
神無月久音 @k_hisane

創作として面白ければ、面白いと評価すれば済む話ですし喃。史実と違うことが作品の評価を下げる理由になるのも変な話ですし。@gishigaku 貶すために史実との違いをあげつらうというのも創作を史実だと言い張るのもおかしいわけで。@Izumi_asato

2013-02-06 15:45:13
神無月久音 @k_hisane

例えば、「影武者徳川家康」で裏柳生が出てきて殺したり殺されたりしたり、秀忠と宗矩の暗黒ブラザーズが「その方、父御は好きか」「大嫌いにござる」とか愉快コントしたりするわけですが、それに対し、「裏柳生などは実在しないのだから、この作品はクソ」とかいうのはおかしかろうという話。

2013-02-06 16:05:18
神無月久音 @k_hisane

無論、何を面白いと思うかは人によるわけですから、俺が面白いと思うからこれは面白いんだ、というのはまた別の問題になるわけですが、ともかく、面白いと感じたのであれば、史実と違ってようがなんだろうが、ベネ(よし)と言えばいいのでアリマス。俺が面白いと感じたことは嘘ではない、という訳で砂

2013-02-06 16:08:10
神無月久音 @k_hisane

半面、作中の創作である部分については、どれだけ売れてようが面白かろうが、創作であることは覆らない訳です。「みんな知ってるからそっちを史実と言ってもいいのでは」というのは、「みんなそう言ってるから1+1は3にしよう」というのと同じで、数の問題じゃないんだと。

2013-02-06 16:13:50
和泉樹林 @IzumiKibayashi

@k_hisane @gishigaku 物語としての歴史と、史実としての歴史は、お互い住む世界が違うのかもしれませんね。たとえ野球場でサッカーをしても、サッカーならサッカーで勝負しなければならない。サッカーに野球のルールで文句を言っても、誰も聞いてくれない。そこが野球場でも。

2013-02-06 16:42:20
神無月久音 @k_hisane

ですね。使う素材が同じなだけの別物と見るのがいいかと。両方楽しんでもいいわけですから、無理に片方の理屈だけでゴリ押すこともなかろうと。 @Izumi_asato 物語としての歴史と、史実としての歴史は、お互い住む世界が違うのかもしれませんね。@gishigaku

2013-02-06 16:57:12

なんとここで実例が

どちらかというと、

まとめ 創作に対する史実からの批判について 歴史もの創作作品周辺でよくある「史実からの批判(所謂”実際には○○は…”)」ですが、これについて一つ思ったことを。まあ、当方も人のこと言えないので自戒も込めて。 41192 pv 421 43 users 8

の類の話ですけど、流れ的にはこちらなので、こちらに。

神無月久音 @k_hisane

「柳生一族の陰謀」のAmazonのレビューを見てたら、こんなのがあって驚愕したり。【柳生一族の陰謀:豪華キャストの荒唐無稽映画(評価:☆1つ):小谷野敦】http://t.co/IdKXQCVq5s

2013-04-21 02:34:15
神無月久音 @k_hisane

【レビュー内容抜粋】 「冒頭いきなり、元和九年に徳川秀忠が死んだとくる。実際に死んだのはそれから九年後で、どうつじつまを合わせるやら」 「宗矩のやり方に怒った十兵衛が家光の首を切ってしまっておしまい。これ、どうやって史実とつなげるんだ。あまりの阿呆らしさに声もない」

2013-04-21 02:38:24