『日本人を考える 司馬遼太郎対談集』 三

再読しながら、印象に残った部分を引用中。 十二名との対談→四名を区切りとします。(三で完結) 桑原武夫(くわばら たけお) 貝塚茂樹(かいづか しげき) 山口瞳(やまぐち ひとみ) 続きを読む
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白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 桑原 いまでは当たり前の表現ですが、それまでの日常日本語に未来形はなかった。 司馬 ああ、なるほど。 桑原 昔のおじいさんなら「あすは雨がふる」といったでしょう。どうしても未来の感覚を出したければ、「あすは雨が降るはずだ」とか→

2013-03-08 09:54:47
白汀 @hakutei0528

→「あすになれば雨が降る」といういい方をした。「あすは雨が降るでしょう」など日本語ではない、と年寄連中は怒っていたし、若かったぼくも大仰に感じましたね。 司馬 はじめて聞いたなあ。そういえば明治以前は未来形がありませんね。 #日本人を考える

2013-03-08 09:54:40
白汀 @hakutei0528

桑原 誰が書いても同じ文章を民族が持つこと、それは文体に対する病的な愛読者にとっては理想でないかもしれませんが、文明というものが良かれ悪しかれそのように持ってゆく当然の帰結だと思います。日本では戦後になって、はじめてそういう状態になった。 #日本人を考える

2013-03-09 09:05:59
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 桑原 貴族主義的文化人から見ると不愉快なことでしょうが、日本という国は、フランスなどに比べて文化がずっと下まで降りてきている。だから国民の文章能力は決して低くないと思うのです。ただ、おっしゃるとおり、上の方には問題がある。→

2013-03-10 09:47:07
白汀 @hakutei0528

→フランスとは逆に、日本では国家民族を代表する政治家の談話をそのまま……。 司馬 国語教科書に載せられませんね。 桑原 日本は大衆社会になってしまって、文章も上から下まで平均化してしまった。 司馬 そうですね。 #日本人を考える

2013-03-10 09:47:19
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 桑原 ひとつの文章がひとつのことしか指していない、これは一種の機能主義的な文章ですね。いまの日本語は、もうそういうところへ来ているんですね。誰でも書けるし、あらゆることがいえる文章が確立された。→

2013-03-11 08:50:55
白汀 @hakutei0528

→これからは、そういう文章で、どういうふうに微妙な心のなかの深い問題を表わしていくか。これが重要になってくる。文章より考え方ということです。#日本人を考える

2013-03-11 08:51:13
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 司馬 話し言葉は自分の感情のニュアンスを表すべきものなのに、標準語では論理性だけが厳しい。ですから、生きるとか死ぬとかの問題に直面すると死ぬほうを選ばざるを得ない。生きるということは、非常に猥雑な現実との妥協ですし、そうして猥雑な現実のほうが、人生にとって→

2013-03-12 08:25:02
白汀 @hakutei0528

→大事だし厳然たるリアリティをふくんでいて、大切だろうと思うのですが、しかし純理論的に生きるか死ぬかをつきつけた場合、妙なことに死ぬほうが正しいということになる。“そんなアホなこと”とはおもわない。#日本人を考える

2013-03-12 08:26:11
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 桑原 いい音楽を聴き、いい小説を読み、うまいものを食う。それはそれ自体結構なことだが、それがその地方の文化を向上させることになるのだろうか。現代日本は好むと好まざるとにかかわらず中央志向的な大衆社会になっている。だから、東京とはちがう地方文化、例えば北海道や→

2013-03-13 08:00:27
白汀 @hakutei0528

→鹿児島で独特の地方文化を持つのは無理至難なのではないか。それを持ちうるのは、その地方の人々が方言で喋ることを恥としない、あえて誇りと思わなくても、少なくとも恥としないところにしか地方文化はない。それがわたしの地方文化の定義です、と #日本人を考える

2013-03-13 08:00:42
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 桑原 これは専門ではないのでよくわかりませんが、その雑誌に書いてあった通りにいえば、フランス語は保守的で、新造語もしないので、理論物理学だとか生態学とか学問の新しい領域には必ずしも適切ではない、というのです。→

2013-03-14 09:07:01
白汀 @hakutei0528

→純血であることは、ある意味で弱くなることかも知れませんね。その点、日本文化は雑種文化でしょう。純粋性においては欠けるが、生命力は強い、日本語はそういう強みをもっているかもしれません。 #日本人を考える

2013-03-14 09:07:21
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 司馬 不特定多数の一人に喋りかける習慣をもっていたのは、ただひとつ真宗の説教坊さんですね。ただ、その場合、一時代前までは説教に節がついておりますですね。後に浪花節の成立を刺激したように、七五調の説教節で「お同行、ありがたや、ああありがたや、阿弥陀様がどうこう」→

2013-03-15 08:09:15
白汀 @hakutei0528

→というようなことを七五調で唄ってゆくと、聴衆が涙をこぼす。キリスト教の説教とは、だいぶ違いますね。 桑原 それは日本文化を考える上で、大きな問題ですね。人を動かそうとすれば節になる。現代でも一番人心をつかんでいるのは、例えば歌謡曲の歌手かもしれませんね。 #日本人を考える

2013-03-15 08:09:38

桑原武夫(くわばら たけお)
明治三十七年生まれ。京大仏文科卒。
京大人文科学研究所長をへて京大名誉教授。
著書『文学入門』、共同研究『フランス百科全書の研究』など。

白汀 @hakutei0528

まとめました。◆『日本人を考える 司馬遼太郎対談集』 二 http://t.co/Bcxu4tqYu0

2013-03-15 08:46:43
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 司馬 おなじ官吏といっても、日本の武家政治の社会と中国のそれとは一緒くたにはできませんでしょうけれど。 貝塚 中国の政治は文人政治なんです。中国では軍人はヤクザ同様の人間なんですね。力があれば天下は取れるけど、軍人である限りは尊敬されませんよ。→

2013-03-16 09:21:02
白汀 @hakutei0528

→ですから軍人が天下をとっても、みな官僚になってしまう。政治を担当するのは、儒教的教育をうけた官吏、官僚です。ですから中世的封建制といっても、西洋の騎士や日本の武士が支配しているのとはぜんぜん違います。#日本人を考える

2013-03-16 09:21:13
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 貝塚 尊皇攘夷の本を読んでいて気がついたんですが、日本人がイデオロギーと呼んでいるものは、西洋のイデオロギーじゃないんですね。ムード的な……。 司馬 心理的な、そして気質的もしくは環境的事情かもしれませんね。 貝塚 個人的なテンペラメント、→

2013-03-17 11:26:27
白汀 @hakutei0528

→そういうものをイデオロギーと呼んでいる。向うでは、ぎっしりと論理的に構成されて、日本みたいに、明日になったらすっかり転向してしまうということはない。日本のイデオロギーは、イデオロギーと呼ぶに値せんですよ。 司馬 気分ですからね。 #日本人を考える

2013-03-17 11:26:57
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える となると、聖人たる存在が鉄砲を持てなんていうのはおかしいわけなんですね。 貝塚 だからあれは失策だと思います。鉄砲で革命ができるなんて、自分たちだけで思っていればいい。それを宣伝するのはまずい。いまの中国はまぎれもないプロレタリア独裁、独裁制の粋でしょう。→

2013-03-18 09:28:52
白汀 @hakutei0528

→ところが、大衆はそうは受け取っていない。独裁というのは、中国ではとてつもないく悪い言葉ですからね。お百姓さんたちは毛沢東は聖人だと思っている。現代中国は鉄砲で統一されたのではなく、聖人が解放してくれた、と思っている。これが最近のぼくの考え方なんです。 #日本人を考える

2013-03-18 09:29:12
白汀 @hakutei0528

#日本人を考える 貝塚 国が分れるけれど、それには地理的な事情がある。それと新教と旧教の分裂。中国にはそういう要因がなかったですね。同じ次元で食うか食われるかという対立がない。仏教も対立的な宗教ではないし、イデオロギーにも対立はない。地理的には多少あるが、自給自足の国といわれる→

2013-03-19 08:15:38
白汀 @hakutei0528

→四川省も、独立国になったのはほんの短い期間ですね。つまり、分裂を正当化するイデオロギーがないということなんです。つまり中国人は、天下は一つである。それが二つに分れているのはおかしい状態だと思っているのと違いますか。中国の文化は一つだ、この世界は一つだ、と。 #日本人を考える

2013-03-19 08:15:58
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