江戸城が風水に基づいて作られた話はガセっぽい?という話

オカルト系書籍でやたらに出てくる、「江戸は風水都市で、天海が徳川家康に進言して造らせた」という説。ところが、江戸城の第一期工事、第二期工事の責任者(本多正信・藤堂高虎)は両方共風水否定派で、家康も風水の話を聞くとキレていたという話も出て来ました。迷信の側面も強い風水説に、江戸初期の為政者が合理的に対処していたこと、江戸幕府衰退期に風水説が復活すること、西洋史や朝鮮史との比較など、色々な方からのご教示で多方面に話が広がりました。
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松平俊介(東龍) @matu2syun

だから、菊池の発言は幕府へのごますり以上のものではなかったと思うんですが、それに乗っかった連中がいたということだと思うんですよ。明治以降の五色不動の整備とかは基本的にそういうことじゃないかと。で、ちょうど都市計画に少し関わっていた天海が便利な人だったので、それをネタにした

2013-04-14 10:51:44
松平俊介(東龍) @matu2syun

いやー、この間のやつが原田実先生や大澤良貴先生からもコメントが有って大変恐縮しております。と学会の本とか、ログイン三国志とか、高校大学とよく読んだなあ。

2013-04-14 11:27:24
松平俊介(東龍) @matu2syun

本多正信や藤堂高虎が風水を信じなかった背景ですが、彼らは基本的に鎌倉新仏教の徒なんですね。親鸞が「風水を信じるな」と和讃で説いたことや道元が「女人禁制というのは言語道断だ」とタブーを否定したことを受け継いでいる。そういえば朱子学も迷信は否定しますね。羅山もそうだな。

2013-04-14 12:18:55
松平俊介(東龍) @matu2syun

天海はそういう点ちょっと微妙でして、釈尊以来の倶舎論やら、唯識学も相当やっているわけだから本人は迷信は信じていないでしょう。ただ、人の心が測りがたいことをよく知っていたんじゃないかな。だから、幕府用の寛永寺と、民間用の目黒不動を作ったのかもしれない

2013-04-14 12:20:45
松平俊介(東龍) @matu2syun

この辺り、宗教家と政治家の差かもしれませんね。テーラワーダ仏教すら魔除けは否定していないし、親鸞も魔除けとして南無阿弥陀仏を称えよといった。政治家というか、武将はそういう点、剛毅なんでしょうね。前田利家も女房のお松さんから「地獄に行ったらどうしますか」と聞かれ「鬼退治でもするさ」

2013-04-14 12:22:56
松平俊介(東龍) @matu2syun

といったぐあい。あれだな、アスリートであり武術家であり政治家というのが戦国武将ですから、自分に対する自身はスゴイんだと思いますね。そういうのが失われた後で、急に江戸城風水説が唱えられ始める

2013-04-14 12:24:19
松平俊介(東龍) @matu2syun

民俗学者の宮田登さんが「江戸の流行り神」で書いているように、江戸の寺社は経済的不安解消のためにドンドン神仏をでっち上げた。それの集大成が「江戸砂子」なわけで、

2013-04-14 12:26:00
ののまる @nonomaru116

@matu2syun そういえば朱子学一辺倒だった李氏朝鮮期も幽霊話がほとんどないそうで。その影響か、日本の怨霊ばなしを理解できない人に出会うことがあります。日本のホラー映画リメイクしてる割に。

2013-04-14 12:26:19
松平俊介(東龍) @matu2syun

それに江戸の市民が半分ネタとして群がった、それで風水説が広まったという話じゃないかと

2013-04-14 12:26:51
松平俊介(東龍) @matu2syun

@nonomaru116 そうですか、やはり朱子学の影響って強いんですね。朝鮮朱子学に比べると日本の場合は仏教や神道があったのでだいぶゆるやかなのかもしれませんね

2013-04-14 12:27:51
松平俊介(東龍) @matu2syun

どうも、矢田挿雲や荒俣宏といった、昭和中頃までの下町の知識人は、2ちゃんねるのひろゆきの「うそをうそとして見ぬく」みたいなものが知識の根底にあるような気がしますね。お二方とも面白そうにオカルトを語るけど、本気で信じてはいない、ネタだと割り切っている

2013-04-14 12:29:46
ののまる @nonomaru116

@matu2syun あとこれは聞いた話ですが、朝鮮では政治的敗者も数代後に子孫が運動して名誉回復がなされるので、怨霊化しないとか。

2013-04-14 12:31:05
松平俊介(東龍) @matu2syun

面白いのは金谷治氏が、オカルトネタを信じないが、ネタとして扱うのは朱子学だ、儒教的合理主義だといっていることですね。そういう考え方が矢田・荒俣両氏にはあるんじゃないか

2013-04-14 12:31:22
松平俊介(東龍) @matu2syun

@nonomaru116 アッ、そんなこともあるんですか…

2013-04-14 12:31:42
鏡裕之@『巨乳ファンタジー5』開発中 @boin_master

オカルトがアンチ資本主義だとするなら、江戸がどんどん資本主義的枠組みに呑み込まれていくにつれて、江戸城は風水を駆使してつくったというオカルト的説明が跋扈していったのかもしれない。

2013-04-14 12:33:28
松平俊介(東龍) @matu2syun

ところが、そういう知識の根底がある時期に消えたんじゃないかな。町のリアリティが失われたというか、ネタをネタとして楽しむんじゃなくて信じこんじゃう人が増えた。それで風水説があたかも自明のこととして扱われるに至った…ということもあるかも知れない

2013-04-14 12:34:33
松平俊介(東龍) @matu2syun

@boin_master 私もそれは同意見です。江戸風水説の初見年代がはっきりと資本主義勃興期と重なりますね。ちょうど享保の改革の後です。

2013-04-14 12:35:37
ののまる @nonomaru116

@matu2syun まあ「王女の男」にも出てきた、少年王端宗が叔父の世祖に退位させられ死に追い込まれた事件に関連して、世祖の長男が死んだときに端宗の生母の幽霊が現れた、なんて怪奇話もあるにはあるのですが、本当に少ないそうです。

2013-04-14 12:38:38
松平俊介(東龍) @matu2syun

@nonomaru116 あんだけ宮廷内で争いがあるのに、少ないんですねえ。江戸城の大奥なんかオカルトの宝庫なのに。

2013-04-14 12:40:24
松平俊介(東龍) @matu2syun

「柳営秘鑑」の菊池弥門は幕臣ですがどのくらいの禄高なのだろうか。調べても子連れ狼の斬られ役の名前としてしか出てこない。

2013-04-14 12:42:26
松平俊介(東龍) @matu2syun

困窮した武士や僧侶が江戸城風水説を捏造し、それに町民が半ばネタ的に乗っかって、昭和30~40年代まではネタだと分かっていたが、それがいつの間にか独り歩きしたというのが今のところの僕の仮説ですね

2013-04-14 12:44:13
ののまる @nonomaru116

@matu2syun まあ呪詛とかそういうのは頻繁にあったらしいので、おもてにでていないだけなのかもしれませんが。

2013-04-14 12:45:04
松平俊介(東龍) @matu2syun

@boin_master えっ、ポルノとも重なるんですか…あ、この頃は丁度春画や黄表紙本の繁栄期でもありますね。ありがとうございます。

2013-04-14 12:46:37
松平俊介(東龍) @matu2syun

@nonomaru116 表に出ないで消えた可能性もありますねえ。

2013-04-14 12:46:56
鏡裕之@『巨乳ファンタジー5』開発中 @boin_master

@matu2syun 江戸の場合はわかりませんが、西欧の場合、完璧に重なります。17世紀頃までは、ポルノは貴族にとっての限定的な発情装置であると同時に、社会批判や宗教批判の道具でした。19世紀から、批判の側面がなくなった純粋な発情装置としての近代ポルノがどんどん広まっていきます。

2013-04-14 12:48:45