基礎からはじめる大砲のメカニズム(閉鎖機編)

火砲の閉鎖機構についてのお話。 歴史を何となく追いつつ、隔螺式、螺旋式といった一般的なものから、ちょっと変り種の閉鎖機までざっくりと
214
前へ 1 ・・ 3 4 ・・ 7 次へ
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

@HMS_BlackPrince 興味深いです。思い返せば、戦艦の砲塔内の写真はよく見ますし、図解されることも多いですが、巡洋艦以下の砲塔内ってなかなか見たことがありませんでした

2013-05-06 00:06:57

断隔螺──蛋形隔螺(Ogival Screw)

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

回転運動で引き抜くのなら、円錐よりも円周の一部を切り取った円弧断面のほうが接触面が広く採れます。そうして作られたのがOgival Screwで、“あの”ボフォースによって1890年頃に発明されました。ボフォースってマジ神 http://t.co/i3XZalTFwT

2013-05-05 23:48:42
拡大
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

Ogival Screwは「Bofors Ogival Screw」とも呼ばれます。例によって日本語訳が見当たらず、私は勝手に「蛋形隔螺」とでも略

2013-05-05 23:56:25

緊塞 ガス漏れ対策

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

先ほどConed Screwの説明で、干渉する部分は削ってしまえばいいと言いましたが、私の知る限り恐らく最も極端な例がこちら http://t.co/HMgfeIEnKX 帝政ロシア時代の122mm M1910榴弾砲の尾栓。不安になるほどごっそり削られてます

2013-05-06 00:00:52
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ごっそり削り取られた尾栓を見ると、そんなんでガス漏れたりしないのかと実際不安になります。ここらで尾栓のガス密封策、即ち緊塞のお話もしてみましょう

2013-05-06 00:04:46

緊塞──ネジによる緊塞

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

最も単純な緊塞はネジによるものです。ネジは(理想的には)山の全てが密着していますから、隙間は存在しません。ネジ山に傷がついておらず、しっかりと閉められていれば、ガス漏れは発生しないはずです http://t.co/VZxPLcL38L

2013-05-06 00:08:40
拡大
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

先に挙げたアームストロング式閉鎖機もネジを使っていましたが、実はネジ緊塞とは若干異なります。これは確かにネジの圧力によって緊塞をしていますが、直接ガスに触れる部分は垂直式鎖栓です。y故に砲尾との接触面積はネジよりも少なく、直接ネジによって緊塞するほどの密閉度はありません

2013-05-06 00:12:31
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

尾栓の傷などから一度ガス漏れが発生すると、漏れ孔は高速で噴き出すガスによって急速に拡大していきます。場合によっては噴出ガスが砲員を死傷させたり、砲尾全体が破裂して致命的な結果を招きます。実際に英海軍のアームストロング砲は砲尾の破裂が相次ぎ、本砲の安全性は問題視されてしまいました

2013-05-06 00:15:08

緊塞──ド・バンジュ式緊塞

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

一方断隔螺式尾栓の場合は、そもそも円周の一部にしかネジが切られていないのでネジによる緊塞は期待できません。これに対する解決策が、フランスで1877年に開発されたド・バンジュ式緊塞具です http://t.co/g4WiZzyrtU

2013-05-06 00:17:51
拡大
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これは直接ガスに曝されるキノコ型の「遊頭」と、銅ないし柔らかい耐熱素材でできた「塞環」の2つの部品から成っています。発砲すると装薬から発生したガスが遊頭を押し込み、塞環は尾栓との間に挟まれて潰れて広がり、そうして砲身と尾栓の間の隙間を埋めてしまうのです

2013-05-06 00:20:43
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

塞環には変形しやすい銅製のリングが使われたこともありましたが、これは傷に弱い欠点がありました。後にはこれに替わり、樹脂をアスベストに練り込んで銅の網で覆って成形した柔軟性の高いものが用いられるようになります。現代の火砲ではより進歩した素材が用いられていそうですが、把握していません

2013-05-06 00:23:31
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

こちらは1890年代の米海軍防護巡洋艦、USSオリンピアの5インチ砲の閉鎖機です。遊頭と塞環が確認できますね。円錐でも蛋形でもない尾栓を旋回運動で引き抜くための、階段部の切り欠きにも注目 http://t.co/RdYGpfPqLF

2013-05-06 00:27:24

緊塞──薬莢による緊塞

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これ以外の緊塞方式としては、薬莢を用いるものが一般的です。これは真鍮等の柔軟性のある金属でできた容器で、中に装薬が収められています。装薬が爆発するとガス圧によって膨らみ、砲身と密着することでガス漏れが防がれるのです http://t.co/Vb3tRpUSb8

2013-05-06 00:30:27
拡大
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

先の帝政ロシアの122mm M1910や日本の38式15cm榴弾砲の隔螺尾栓にはド・バンジュ緊塞具らしきものが見えませんでした。つまり、これら火砲が薬嚢ではなく薬莢を用いることが推定できます(というより実際薬莢式なのですが)。尾栓だけ見ても色々わかるのですね

2013-05-06 00:32:04
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

次は、隔螺式以外で薬莢を用いる閉鎖機にはどのようなものがあるか見てみましょうか。もう日付が変わっちゃいましたが、まだ用意した画像を半分くらいしか紹介できてないので、ちゃっちゃと行きます

2013-05-06 00:33:13

偏心螺式閉鎖機(Nordenfelt Breech)

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

まずはNordenfelt Breech。これは見ての通り、円筒上の尾栓の中心からずれた位置に穴が開いており、回転させることで閉鎖・開放を行うものです。尾栓には点火機構も備え付けられていますが、まるごと外せるのでメンテナンス容易 http://t.co/srpeAHHwH2

2013-05-06 00:36:17
拡大
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

Nordenfelt Breechはフランスの傑作野砲75mm Mle1897で採用されています http://t.co/nZnlmvReLU これは独軍のPaK97/38対戦車砲の元になった砲として有名でしょうか http://t.co/pTFW9754MC

2013-05-06 00:38:17
前へ 1 ・・ 3 4 ・・ 7 次へ