第一回大罪大戦失陣営【交流フェーズ03】並べ替え

元黒(ノワール)は強欲、アヴァリーティア[ @ebleco_sin ] 元紅(ルージュ)は暴食、グラトニー[ @Hajime__sin ] 元虚(ゼロ)の憤怒、李暗愚[ @Alfreat_sin ] 元黒(ノワール)は暴食、グラ[ @meiji_sin ] 元黒(ノワール)は憤怒、イラ[ @Fiteenl_sin ] 続きを読む
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紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

『リリヤ』は、『生前』から、そう。向けられる害意に対して鈍感だった。だから目の前の男の拳が眼前に迫った時も、イラに手を引かれそれが目の前を通り過ぎた時も、呆然とただ驚いた顔で目を瞠るばかり。 「……あの」 「どう、して」 どうして。何度も抱いた疑問。 「戦いを、始めたのですか?」

2013-07-06 15:41:46
アヴァリーティア @ebleco_sin

男の拳が、虚空を切り裂いた。冗談で人に向ける速さではなかった。此処に、『空気』なんて無い筈なのに、拳が唸りを上げた。男の拳が、引き寄せられた少女の髪を、掠める。 「……そいつは、『俺のもの』だ。」 片足を、戻す仕草。男は拳に体重すら乗せていた。 「……『触れる』んだな? イラ」→

2013-07-06 15:45:22
アヴァリーティア @ebleco_sin

→ 「……『どうして』と訊いたな、『リリヤ』」 男は、イラが呼んでいた少女の『名』を、そのまま呼んだ。 「何故なら、俺が、『強欲』だからだ。欲しいから、戦う。『全部』だ。何もかもだ。その為なら、泥だって喰う。女だって殴る」 真っ直ぐな、色違いの瞳。片目は、『憤怒』と揃いの、金色。

2013-07-06 15:50:33
アヴァリーティア @ebleco_sin

「覚えておけ。我が名は『原初の強欲(アヴァリーティア)』」 男の声は、はっきりと。 「『この世界』と『そいつ(イラ)』の所有者だ」 自分が『強欲』だと名乗った。

2013-07-06 15:59:31
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

「『強欲(アヴァリーティア)』」 その名が、意味が、耳を打つ。ざわり、『私』の中で何かが動じる。その響きは、『リリヤ』の記憶にはない。けれど確かに知っている。だから問いかけたのだ。 ――けれど、まだ、足りない。気付くには。 ――私が見失っている、何か。 空いている片手を、伸ばす。

2013-07-06 16:01:35
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

届くか、触れるか、払われるか、打たれるか。 考えない。ただ、そうしたい、と思って手を伸ばす。『私』は、いつだって私の望みに対して、嘘を吐き通すことができない。 そこに、何か、 たいせつなもの が、在るような気がして。 アヴァリーティアの、『左胸』へ。

2013-07-06 16:27:21
アヴァリーティア @ebleco_sin

男は、少女の手を、拒まなかった。 男は、彼女を『敵』として認識していない。 イラがそう言ったからだ。 伸ばされた腕。『左胸』。少女の小さな掌が、『通り抜ける』。男は『世界』ではないのだから。 ――「貴方の考えそうなことですね、『強欲(greed)』」 触れたものは、『記憶』。

2013-07-06 16:52:48
アヴァリーティア @ebleco_sin

男の眼前。少女の、頭蓋。交錯する、視線。 ――「ですが、それは最早『傲慢(pride)』」 男は、少女を敵として認識していない。 もしそう認識しているのなら、既に『掌握している』。 ――「私を差し置いてそのような願いを望むなど、愚かにも程がある」 「……黙れよ、プライド」

2013-07-06 16:56:16
アヴァリーティア @ebleco_sin

「……お前が何と言おうと、俺は『全部』を望むぞ、『左眼(プライド)』」 男は、少女に顔を近付けた。それこそ、口付けでもするくらいの距離だった。 前髪が、触れる。否、それは男の額を『通り抜けた』。 「その意志さえあればいい。お前、『俺のもの』になれ。お前がイラのものなら、順当だろ」

2013-07-06 17:01:51
アヴァリーティア @ebleco_sin

眼前の『瞳』。男には『熱』が無い。『吐息』を感じない。イラとは違う。少女は、男から『存在』を感じない。 傍らの、少年の声。 男は、少女の頭に向かって上がり掛けた左腕を、下げた。 「……お前、大人になったなぁ」 少女から顔を離した男は、驚いたような声を上げた。見下ろす、色違いの瞳。

2013-07-06 17:16:39
アヴァリーティア @ebleco_sin

「……とうとう、『みんなの』分まで、食い物の勘定が出来る様になったか。それは、いいニュースだ。『帰ったら』みんなで食おうぜ、グラ?」 何故か、その言葉は、白々しいくらいに、自然と、男の口から零れていた。 「アーチェディアも喜ぶだろうさ」 転がる、声。 ――足りないものは、記憶。

2013-07-06 17:20:06
ワイマックス @nigayuki_sin

炎が、緩やかな木の葉へと変わる。木の葉が身を包む――これは故郷の山の葉だ。 ルクスーリアが正面にいない。それは、そうだ。 「つまりは、二度目の死を迎えた訳だな」 「幻は死に、今度こそ本当に、獄中での死を迎える事実は揺るがない  だが、一つ得たのだ。ワイがこの胸筋に抱く炎」

2013-07-06 17:52:08
ワイマックス @nigayuki_sin

息を全部吐き。 「これは、人間の……カルタゴの戦士に勝るとも劣らぬだけの栄誉を得た  大罪の大戦で、この小罪は……筋肉のままに、ワイを嗤った者より遙かに充実した生命を得たのだ  筋肉と語らうだけの日々が、筋肉として、戦士として戦った日々を勝ち取った  ……ワイが人生の勝者だぞ」

2013-07-06 17:55:39
ワイマックス @nigayuki_sin

「どうだ!!筋肉は、ついに男の大願をなしあげたぞっ  実弟(アルテン・ワイマックス)よ!ワイはお前と並ぶ戦士だ。紅がラースに仕えた努力のマッスルと、カルタゴのハンニバル将軍に仕えた神マッスル!  いずれも負けて劣らぬではないか!さあ、マッスルの漢唄を始めよう」

2013-07-06 17:58:37
ワイマックス @nigayuki_sin

歌い終わると座り込む。 身体が繋がっているのを、Z指定というフレーズで不思議と理解できた。 指がいくつか欠損していたが、まあ星空の星になったのだ。少しぐらい特長があったほうが人々に覚えてもらえるだろう。 「この小罪はな、《執着》という筋肉星だ」 地面に向かって説明してみせた。

2013-07-06 18:02:40
アヴァリーティア @ebleco_sin

男は、伏せていた瞳を見開いた。 足りないものは記憶だとは言ったが、どう考えても今のモノローグは間違っていた。何か致命的に座標のずれた世界が混線した。畜生、筋肉め。後で覚えていろ。脳裏にノイズが奔る。 ――「……足りないものは、記憶」『許さないぞ筋肉』 落ち付け、『記憶』落ち付け。

2013-07-06 18:40:46
アヴァリーティア @ebleco_sin

――『……だいたい、その時に「あんな顔」してたタイショーが言えた台詞じゃあないと、俺は思うがね』 よしよし、こういう感じだ。危ない危ない。今思い出したかったのはこういう奴だ。危うく変なノイズに記憶を引き摺られる所だった。 「……アーチェディアも」 男は、周囲の虚空を見回した。

2013-07-06 18:51:10
【アーチェディア】 @klown_sin

@ebleco_sin ――その『記憶』は、酷く、朧気だった。

2013-07-06 19:12:24
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

@ebleco_sin 手のひらが『記憶』を通り抜けた。『私』が生まれる以前の『原初の傲慢』と『原初の強欲』の姿が、声が、有様が、押し寄せる。 この世界に時間が存在しているかは不明だが、膨大な記憶の奔流から立ち戻るまで、しばらくかかったように思う。目の前、触れそうな位置に、顔。→

2013-07-06 19:01:28
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

→前髪が、その膚をすり抜ける。手が胸をすり抜けたように。私はそこに、彼の存在を確かめることはできなかった。 ――『私』を、望むのか。『強欲』であった私が、『強欲』たる資格を失った原因。ただひとつ、不要だと思ってしまった『私』を。 「わたくしは、弱い」 死に際の言葉を繰り返す。→

2013-07-06 19:01:40
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

→「お会いしたいと思っておりました。ただ、このような形では望んでおりませんでしたけれど」 私が望んでいたのは、『あちら側』での邂逅。死して後では、微笑みもぎこちなく。 「……失われることに、わたくしは耐え切れない」 「アヴァリーティア様、あなたは、痛くはありませんか?」

2013-07-06 19:01:46
アヴァリーティア @ebleco_sin

@HeNotShe_sin 「……痛いさ」 ふいと、離した顔。虚ろな視線の少女は、ゆっくりと言葉を紡いだ。男は、視線を合わせないままに、少女の問いに答える。 「……そりゃ痛いに決まってる。泣きそうだ。割に合わねぇ。喚き散らして閉じこもってた方がマシなんじゃねぇかとも思う。でも→

2013-07-06 19:08:56
アヴァリーティア @ebleco_sin

→ 「……でも、俺には『それ』しか無い」 顎の下に、掲げた、右手。指輪。宝石の中、其処には、確かに『黒』が在る。 「……お前はどうする? 『其処(イラのなか)』で縮こまって怯えて過ごすか? 考えるのが怖いなら考えなくていい。俺はお前が欲しい。何も考えずに、『お前』を俺に寄越せ」

2013-07-06 19:15:07
紅の強欲にしてIraのLilja @HeNotShe_sin

@meiji_sin 『記憶』に触れて『私』を取り戻したから、私は少年が誰であるかも思い出した。敵意を向けられて、笑み返し。 「お名前を伺っても構いませんか? 『黒』ではその機会もないままでしたから。……ごめんなさい、わたくしは、あの時に唱えた願いを叶えることができませんでした」

2013-07-06 19:09:39
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