『ゴリラスレイヤー ア・カインド・オブ・ダークゴリラ』#4
既にシテンノ4匹のうち2匹が屍となり、大地へと還る定めだ。しかし、赤いゴリラは表情を変えない。もし彼が人間ならば、其処に浮かんでいたのは笑顔だったであろう。(ドーモ、ゴリラスレイヤーとやら。ゴリラ・ゴリラです)赤いゴリラは手話によってそう名乗った。 23
2014-02-14 13:12:35ゴリラ・ゴリラ。それは即ちゴリラその物。何たる不遜な名であろうか。しかしゴリラスレイヤーはそれに微かな違和感を覚えた。懸命な読者の皆さんは既にお気付きの事と思う。そう、ゴリラがひとつ足りないのだ! 24
2014-02-14 13:14:42例えばゴリラ・ゲンドーソーはゴリラ・ゴリラ・ゴリラ。即ちニシローランドゴリラであった。そして、ゴリラ・ゴリラはより広い区分……ニシゴリラ全般を指す。ニシローランドゴリラはその亜種の一つなのだ。 25
2014-02-14 13:15:56だが、ニシゴリラの亜種は既に一種類しか存在しなかった。ゴリラ・ゴリラとゴリラ・ゴリラ・ゴリラの指すゴリラ集合は同一の筈だ。これが意味する所は何か。ゴリラスレイヤーはゴリラ・ゲンドーソーより伝えられしゴリラ知識を反芻する。 26
2014-02-14 13:17:07答えはひとつ。失われし亜種、クロスリバーゴリラである。その実体は謎に包まれている。外見はニシローランドゴリラとほぼ同一。生態もニシローランドゴリラに似る。だが、その個体数はニシローランドゴリラよりも遥かに少なかった。 27
2014-02-14 13:18:48そして、ニシローランドゴリラとは別の種族である。これらの情報と先程のゴリラ・ゴリラ振る舞いから得られる帰結とは。(……リアルゴリラ)ゴリラ・ゴリラはクロスリバーゴリラのリアルゴリラであったのだ!! 28
2014-02-14 13:20:46((ウホウホ……!(これは僥倖。オヌシも我が糧となれ、クロスリバーゴリラ……!!)))ナラクピテクスの強いざわめきを感じる。(ナラク、クロスリバーゴリラに弱点は無いのか!?)(((無い。力により押し通せ)))(無茶を言う!!) 29
2014-02-14 13:25:01ゴリラスレイヤーはゴリラ・ゴリラと組み合った!!腕力は互角!何たる事か!!「ウオオオォ!!」ゴリラスレイヤーはナラクピテクスの力により両腕に光を纏う!!「ギャオオオオ!!」ゴリラ・ゴリラは絶叫!しかし万力めいた力はゴリラスレイヤーを押し留める! 30
2014-02-14 13:28:23何たるゴリラ腕力!!これがリアルゴリラの力だと言うのか!?そして、ゴリラスレイヤーの敵は赤いゴリラ……いや、ゴリラ・ゴリラだけではない。パープルゴリラがまだ残っているというのに!! 31
2014-02-14 13:31:15激しいゴリラ同士の衝突!!両者は未だ余力を残している。しかし建造物は着実にダメージを受け……床が沈み始めていた。「イヤーッ!!」パープルゴリラは(自主規制)を投擲し、ゴリラ・ゴリラを援護!しかし当然その程度ではゴリラスレイヤーにダメージは通らぬ! 32
2014-02-14 13:36:15「アンギャアアアア!!」そして手を出すなと言わんばかりにゴリラ・ゴリラが咆哮する。パープルゴリラは逃亡!何たるブザマ!!だが、これによりゴリラスレイヤーの懸念事項は無くなった! 33
2014-02-14 13:40:56(ナラク……行くぞ!)(((任せよ)))ゴリラスレイヤーの輝きが一際強まる。ゴリラスレイヤーの筋肉に縄めいた筋が浮かんだ。ゴリラスレイヤーのゴリラ腕力はもはやゴリラという域に収まらぬ程に増大を遂げている。 34
2014-02-14 13:43:38「ゴリラ……殺すべし!!」ゴリラスレイヤーは組み合った状態のまま、ゴリラ・ゴリラを引き裂く様に力を込めた。「ギャオオオオオオオオ!!!」壮絶な絶叫。ゴリラ・ゴリラの両腕が引き千切られたのだ!! 35
2014-02-14 13:44:53それと同時にフルーツ・ピラーの床が限界を迎え、ゴリラスレイヤーはゴリラ・ゴリラと共に地下へ向け落下!!ゴリラスレイヤーはどうなるのか!?両腕を失ったゴリラ・ゴリラの運命や如何に!? 36
2014-02-14 13:47:23これまでのあらすじ:フルーツ・ピラーへと突入したゴリラスレイヤーはゴリラ・シテンノと死闘を繰り広げる。だが、リアルクロスリバーゴリラであるゴリラ・ゴリラとの激闘の果て、ゴリラスレイヤーは地下へと落下。どうなる、ゴリラスレイヤー!?
2014-02-15 12:05:13ゴリラスレイヤーは地下室へと着地した。……同時に落下したゴリラ・ゴリラは、コンクリ瓦礫によって圧死していた。gorilla gorilla diehliは此処に絶滅したのだ。文明がゴリラを殺す。まるでその縮図の様に。 37
2014-02-15 12:10:32「ザッケンナコラー!!」「スッゾオラー!!」ゴリラスレイヤーを銃弾の嵐が迎える。チャカ・ガンを構えた熱帯仕様クローンヤクザ達だ。(これがクローンヤクザ……)全く同じ顔をした敵を前にゴリラスレイヤーは思う。 38
2014-02-15 12:11:40これが文明の力。生命を冒涜するテックの産物。それは間違い無く人の所業だ。ゴリラと文明。本当に邪悪なのは、その何方なのか。「……ゴリラ、殺すべし」 39
2014-02-15 12:12:49ゴリラスレイヤーは己に言い聞かせる様にそう言うと、腕の力によって身体を飛ばし、クローンヤクザへゴリラフライング・キックを浴びせた。「「「グワーッ!」」」ビリヤード玉めいて吹き飛ぶ熱帯仕様クローンヤクザ。 40
2014-02-15 12:13:37そして、ゴリラスレイヤーのゴリラ嗅覚は血と硝煙以外の何かの匂いを感じ取った。これは……バナナの匂いである。「バイオバナナ製造機か?」バイクから取り外したナビゲーションシステムをゴリラスレイヤーは確認する。だが、圏外だ。アンシーとの通信も不通。 41
2014-02-15 12:15:20此処は地下であり電波が届きにくいが、原因はそれだけではあるまい。何らかのジャミングが行われている。ならば、セクトの重要施設があるに相違ない。ゴリラスレイヤーは己のゴリラ第六感に従い、地下を進んだ。 42
2014-02-15 12:16:01同地下室。ゴウン……ゴウン……と不気味な音を立てて稼働する巨大な装置、バイオバナナ培養槽には今まさに高濃度バイオエキスが供給され、生命の果実たるバナナが製造されようとしていた。 44
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