地獄鎮守府の日常 #37~46

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白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

反撃に太腿につけた対空機銃という名のニードルガンを不知火は発射、超音速の弾が山賊を何度も穿ち、肉片に変える。 「位置がバレたかな」 <問題ないです> そんなやりとりを交わしながら、残敵の処理を行いつつ、洞窟の先から残りが来ないかを伺う。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 16:54:08
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

そして、状況が動き出す。 洞窟から高速で何かが飛び出る。艦娘の巡航形態、砲撃等の反動補正を全て投げ捨て、電磁障壁を加速に転用した状態のものが抜け出した。 不知火は即座に跳躍、次の瞬間、不知火の居た位置に砲弾が飛ぶ。 「やるわね……」 不知火が肉声で呟く。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 16:57:43
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

彼女が見下ろした先に居た艦娘、それは私の予想通り大和であった。 「嫌な予想は当たるものだ」 「あなたのカン、凄く良いですから出来れば言って欲しかったです、大和が出そうなら、と」 私の言葉に不知火が楽しげに返しながら、反重力エンジンで追撃の砲火を回避する。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 17:00:45
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

「やれるかい?」 轟音と砲声、それらを躱し地上に着地、倒壊した家屋を陰にして攪乱しつつ、不知火は大和に近づいて行く。 「この距離の大和を沈めた事なら、演習で10回ぐらいはあります」 不知火の言葉に嘘はない。この距離は通常の演習なら、夜戦の距離だからだ。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 17:07:21
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

そして不知火は再度跳躍、大和の姿を捉え、そしてありったけの砲弾とロケット弾を大和に浴びせる。 爆炎が大和を包む、だが、まだ決定打となり得るか解らない。不知火は両腰につけた拳銃を抜き取り、大和の目前の爆炎に降りる。 爆炎の中揺らめく陽の中大和はまだ生きていた。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 17:14:16
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

その巨大な艤装はボロボロになり、それでもなお生存している大和。それに対し不知火は踏みこむ。 大和もそれに対し柔術で対抗しようと絡め取るように手を伸ばすも、それらを潜り抜け。そして至近距離で殴りかかるように、顎の下や動力部に拳銃弾を何度も叩き込む。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 17:16:52
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

胸や顎の下等、装甲が脆弱な個所に的確に叩き込まれる9mm弾、それらは大和の名を穢した山賊の脳を穿ち、動力を破壊し、斃れさせる。 「最強の艦娘も、扱う『モノ』が弱ければこれですか」 倒れ伏した大和を確認し、火の中から去りながら不知火は言った。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 17:19:24
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

「作戦完了、警官隊にこれから連絡を取る、彼らがこの後制圧を行う、不知火、仲間と合流して戻るぞ」 私は焼野原となった、山賊の根城に居る不知火に指示をする。 彼女が見上げると、焼けた煙が向かう空は、既に夕暮れとなっていた。 「夕食、どうしましょうか」 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 17:22:06
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

屍の山の中、日常に回帰した不知火が呟く。 「帰る途中に考える、でいいかな?」 私も特に考えが浮かばない為、時間稼ぎの言葉を返し、そして不知火は帰路につくのであった。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-15 17:24:36

幕間

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

大和「レポート確認、不知火さんお見事です。やっぱり大和型は陸上だと砲撃支援の方が良さそうですね、巡洋戦艦程の運動性はないですし」 不知火「そうでしょうか、相手の方が自分のスペックを把握しきれず運用していた部分はあると思います。狡猾に動いてたのなら結果は別でした」 #九龍鎮守府

2014-07-15 17:47:29

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白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

「……しーれいかんっ!」 通路を歩いてると、いきなり陽炎に抱き着かれる。 「えっ!?」 後ろから忍び寄っていたのだろうか、私も驚いてしまった。 「気づかれなかった……これで五勝四敗?」 陽炎が、後ろから抱きしめて私に語りかける。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-17 15:13:49
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

彼女は私に、マンツーマンで何度も戦い方を習っている。 特に彼女が才能を現してきたのは、潜入の技法……早い話が、気配の消し方だ。 これに関しては電よりも私が優れてる、という自負はあったが、彼女は私に追いつくように、才能を表していく。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-17 15:15:57
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

「まだ仕事中なんだ、驚かさないでくれ」 「あ、うん……ごめんなさい」 陽炎が謝る。 そして彼女と私は今ゲームをやってる、どれだけ彼女が、私に気付かれないで抱き着けるか、という内容だ。 陽炎の方が言ってきた内容だが、今回は流石に気付けなかった。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-17 15:20:30
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

通路の先から足音が聞こえると、陽炎は驚いた猫のように、抱き着いた手を離れ、私の隣に立つ。 通路から出てきたのは金剛であった。 「お疲れ様デース」 金剛が頭を下げる、内容を聞かれてないだろうが、その笑みで察された気分になる。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-17 15:23:51
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

「お疲れ様です」 私も頭を下げ、そして金剛が私を横切る。 「そういうの、時と場所を選んだ方がいいと思いマース。ごちそうさまでした」 どうやら、さっきの流れは気付かれてたようだ。 すたすたと金剛が歩き去ると、陽炎の顔が真っ赤になってた。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-17 15:25:51
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

「うー……」 「金剛相手には一敗、か」 呻く陽炎にかわいさを感じながらも、私は苦笑する。 そして彼女の細く柔らかな手袋に包まれた手を、私は掴む。 「あっ」 と、陽炎が反応する。 こういう所は、恋する見かけ相応の少女だ。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-17 15:28:05
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

「まだ仕事はあるんだ、秘書艦の仕事、引き続き頼むよ」 そう私は言いながら、彼女と手をそっと繋ぎながら執務室に向かう。 人前でこういうことをされるのに、恥ずかしがる彼女は顔を真っ赤にしながらも何も言えず、手を引っ張られ私について行くしかできないのであった。 #地獄鎮守府の日常

2014-07-17 15:30:11

幕間

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

提督「なぁ陽炎」 陽炎「ん、なぁに?」 提督「このシチュー、妙に硬い繊維みたいなのがあるんだけど」 陽炎「……気付いた?」 提督「うん、何これ」 陽炎「……私の………よ」 提督「ごめん、聞こえない」 陽炎「……ひみつ、よ」 #九龍鎮守府

2014-07-20 13:05:35
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

提督「なんか不知火や陽炎が作る煮込み料理に限って妙な繊維質がある気がする……無理して聞いたほうがいいかな」 金剛「……それ、パンツを刻んで混ぜてるんだと思いマース」 提督「え」 電「ありえますね、最近軍新聞で恋人にやる呪いで紹介されてましたし」 提督「えっ」 #九龍鎮守府

2014-07-20 13:12:17
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

電「そう言えば陽炎さんってどうやって他の陽炎と区別してるのです?」 提督「不知火や叢雲と同じく、眼でも見ればまず一発でわかるさ。後は合言葉をそこそこね」 電「眼、ですか」 提督「おかしいかな?」 電「私の眼を見ても解ります?」 提督「当然」 電「……嫌な男」 #九龍鎮守府

2014-07-22 16:21:52
白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

提督「……何か問題でも?」 電「そう言う所は鈍感ですね、それとも、気取ってるのですか?」 提督「……その言葉で察した、まぁ、これまで通り頼むさ」 電「解ってますよ、この関係は嫌いじゃない、むしろこの関係が好きなのですから」 #九龍鎮守府

2014-07-22 16:29:11

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