アベノミクスのめざす経済政策の真逆をゆく、労働規制緩和~「アベノミクスと雇用破壊」(田端博邦氏講演)

9月13日(土)に開催された「市民集会「労働の」規制緩和は私たちになにをもたらずのか?~えっ!?大阪が「残業代ゼロ」特区になるって?~」(主催:大阪弁護士会)における、田端博邦氏・東大名誉教授の基調講演「アベノミクスと雇用破壊」の内容連ツイのまとめです。
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徳武聡子 @Satoko_Tokutake

9月13日(土)開催「市民集会「労働の」規制緩和は私たちになにをもたらずのか?~えっ!?大阪が「残業代ゼロ」特区になるって?~」に参加してきました。田端博邦氏・東大名誉教授の基調講演「アベノミクスと雇用破壊」の内容を、これから連ツイします。

2014-09-14 16:45:57
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

基調講演「アベノミクスと雇用破壊」田端博邦氏:アベノミクスで景気回復や女性が輝く社会等が取りあげられ、首相頑張っているイメージ。その陰で労働破壊が進むことに世間的な注目がないのが心配である。→

2014-09-14 16:54:37
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:雇用は自身のことであり、他人に話したり議論になりにくい。しかし、雇用は非常に大きな社会問題。国民の9割は雇用労働者。雇用のルールや実情は国民の生活そのものを左右する、重要な意味を持つ。その点から雇用改革を見ると、深刻な大改革が行われようとしている。→

2014-09-14 16:57:06
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:一部のサービス業関連でバイト代が上昇し、アベノミクスの効果が出たと報道。国民のために見えるアベノミクスがなぜこのような改革をするのか。真に国民のことを考えるなら、非正規雇用をなるべくなくす、少なくとも非正規雇用の賃金を正規並みに近づけることを言うべき。だが、言わない。→

2014-09-14 16:59:00
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:一方で生活を良くする、男女平等の働き方、と言いつつ、他方で非正規は野放し。安倍政権の政策はどうなっているのか。さらに特区問題。東京圏・関西圏など全国6カ所で国家戦略特区が指定。ポイントは、広範な領域での規制緩和。→

2014-09-14 17:00:52
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:とりわけ、農業・労働・医療・教育は岩盤規制といわれるほど規制が強い。特区はこの規制を打ち破る突破口にする。全国的に規制をなくそうとすると抵抗も大きいので、まず戦略特区という形で穴を開けて、規制を解除していこうということ。→

2014-09-14 17:01:34
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:特区で日本に穴を空けて既成のない社会にする。だが既成のない社会は保たない。良識ある経済学者は、市場ルールは良質の規制が必要といっている。リーマンショックは金融の規制緩和により金融機関を野放しにした結果、世界的な大不況になった。規制緩和は自己破壊になる。→

2014-09-14 17:03:47
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:規制緩和は自己破壊。長い知恵の蓄積で規制が作られてきたのに、それを壊そうという乱暴な新自由主義的な思想が、与党政治家や官僚に広がっている。規制緩和といわず規制「改革」といい、良いことをするというイメージ付けをする。→

2014-09-14 17:05:27
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:安倍政権の課題は民主党政権下の派遣や有期雇用についての規制を壊し、小泉政権以来の規制緩和をさらに一歩進めること。国家戦略特区は、そういう規制緩和の突破口。関西でも「幅広い職種を対象に、成果に連動した新たな労働時間規制について検討する」となっている。→

2014-09-14 17:07:12
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:11日に労政審でホワイトカラーエグゼンプションの本格的な議論が始まった。特区はこの国レベルの議論以上に、もっと大胆は規制緩和を特例的に実施するもので。福岡市でも解雇の規制緩和の議論が進んでいる。全国レベルで議論される規制緩和と、特区レベルの規制緩和が同時並行的に進む。→

2014-09-14 17:09:50
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:アベノミクスをどう見るか。アベノミクスは大胆な金融政策により円安を誘導し、輸出産業が利益が上がる、これが景気回復の1つの契機といわれている。それにより安倍政権の支持率は高止まりしている。世間の最も大きな関心は景気であり、少しでも景気が良ければ支持率は上がる。異例の高さ。→

2014-09-14 17:10:22
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:アベノミクスの経済政策は、企業の収益を拡大→賃金が上昇→消費が活発→ものを作る会社でも雇用が生まれ経済が好循環、というストーリー。まず企業に有利な環境を作り出し、企業に賃上げさせるという流れ。今年の春闘は官製春闘と言われ、政府が賃上げに肩入れして2%の賃上げになった。→

2014-09-14 17:18:04
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:  しかし、この好循環はうまくいかない可能性がある。今の大企業は、世界中に生産拠点と販売網を築いている。グローバル企業の収益が上がっても、企業は海外工場強化のために投資したり、証券投資したりして、国内の賃金や設備投資に回らない。→

2014-09-14 17:18:17
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:雇用改悪政策は好循環政策と真っ向から対する。賃金の低い非正規労働が増加し、大企業の賃金は上がっても国全体の賃金が伸びない。この10年、フルタイムでも賃金が下がり続けている。アベノミクスの労働政策では賃金の低下傾向が続く。国全体の経済の観点からも望ましくない。→

2014-09-14 17:22:18
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:景気回復だけでなく、アベノミクスで議論される最大の問題は「国際競争力」。企業の競争力強化のために、投資減税、事業規制の緩和と並んで雇用の規制緩和が議論される。企業の側では人件費負担は大きく、これを軽減することが国際競争力強化のために必要といわれている。→

2014-09-14 17:27:56
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:企業競争力の強化は、労働者の賃金上昇や経済上昇につながらない。政府の立場からは、企業の収益力強化は国民全体の生活上昇につながる。トリクルダウン(=溢れてこぼれる)理論。富裕層や大企業が富を蓄積すれば溢れて下にこぼれ、中所得者や低所得者に行き渡るというもの。→

2014-09-14 17:29:30
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:企業を応援して収益力を高めることは、企業のためでなく国民全体のためと政府は主張するが、本当にそうか。 企業はそうしないかも知れない。海外工場の移転や欧米などの販売市場付近の工場への投資に使うかも知れない。自動車産業では、既に国内余生さんより海外生産の方が上回っている。→

2014-09-14 17:31:51
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

@Satoko_Tokutake 【誤字】国内余生さん→国内の生産

2014-09-14 22:08:41
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:日本の大企業が収益力を強化しても富は国外に漏出し、労働者や国民が潤うことにはならない。この20年間、企業全体の収益が伸び、株主配当や経営者報酬は大きく伸びたのに、雇用労働者の賃金は低下した。政府のトリクルダウン理論は、国内から資本が自由に流出できる状態では正しくない。→

2014-09-14 17:35:35
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:もう一つの問題は審議会の構成。委員は有識者と経済界の代表。昔は労働側の代表も入っていたのに、アベノミクスの審議会では労働者の代表が入っていない。世間一般で好意的に受け止められているアベノミクスの裏で、企業負担を可能な限り軽減する改革が意図され、一部は実行されつつある。→

2014-09-14 17:36:27
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:次に雇用改革の内容だが、雇用改革を評価する基準を最初に確認する。昔は大学を卒業したら誰でも正規雇用が当然だった。しかし、今は38%が非正規、特に女性は半分以上。異常としか言いようがない。→

2014-09-14 17:37:12
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:当たり前の雇用関係は、①まず無期契約。②解雇は合理的な理由が必要。理由なく解雇できるのはアメリカだけ。どの国でも雇用を保障している。③失業したときのために、安心して失業できる仕組み。失業は自己責任ではなく社会現象として生ずるものというのがここ100年くらいの世界の常識。→

2014-09-14 17:40:24
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:④労働時間は1日8時間1週40時間。残業は本来例外的なもの。法律では、使用者は法定労働時間以上「働かせてはならない」とし、これに反すると犯罪になる。これを解除するため特別の手続が必要で、それが労使協定と割増賃金。この2つの条件をクリアしないと、残業させてはいけない。→

2014-09-14 17:42:24
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:それから⑤十分な賃金が与えられること。⑥労働者の権利が守られ、安全で快適な労働環境が保障されること。 ヨーロッパではこういう概念が標準的雇用。国際労働機関のディーセントワークの考え方は、こういった良好な労働条件をすべての労働者に提供されていること。→

2014-09-14 17:43:39
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

田端氏:日本は4割が非正規で過労死が多発、ほとんどの会社でサービス残業。こんな異常な国は世界にない。労働時間の国際比較では、日本は1700時間。少なく見えるのは、1日数時間のパートタイムも含んでいる。フルタイム労働者だけの統計では2000時間。→

2014-09-14 17:44:55