《パウロ・フレイレ「被抑圧者の教育学」を読む》のメモ

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tu-ta @duruta

「被抑圧者の教育学」の難しさ、3つの要因で易しくも…難しくも…。1、著者の事情、フレイレはこれがたんなる読書の所産ではないというが、その背景にはおびただしい読書行為…思想的文脈。第三世界の思想家であるということは、その思考の言語が、欧米の知的世界と無縁であることを意味しない(続く

2010-12-28 03:35:39
tu-ta @duruta

2、読者の側の事情 1で述べたような「言語」を共有している読者にはそれほど難解ではないはず。また、そうでなくても「これは自分のこと」と直観できる読者も世界には少なくない。しかし、日本の大学生にに難しい。彼らと教室で読もうとはしてこなかった(さらに続く

2010-12-28 03:36:09
tu-ta @duruta

3、著者と読み手の関係の問題  この本は2で述べたように「直観」できる読者を確信しており、そのことが非常に重要なのだが、この本で直接語りかけているのは民衆と呼ばれる人びと自身ではなく、かかわろうとしている知識人。だからアカデミックサークルの言葉もでてくる(前掲書37p)

2010-12-28 03:36:53
tu-ta @duruta

パウロ・フレイレは、主観性をぬきにして客観性をとらえることはできない、と、この本のいたるところで強調…両者はダイナミックに相互作用…現実は、それにたいする主体の働きかけの如何によって、違った展開を示します。人間が動きはじめれば、世界もまた動きはじめます。(前掲書49p)

2010-12-28 03:43:05
tu-ta @duruta

「その非人間化は存在論的な可能性としてではなく、歴史的現実として、われわれのまえに広がっている」とフレイレ…「非人間化のその圧倒的な広がりを見て、人は、人間化などということがはたして実現可能なのか、と自問する」とも。(続く

2010-12-28 03:47:37
tu-ta @duruta

「人間を非人間化するシステムとして、私たちの社会は作動…さまざまな形態の「教育」もまた、そのシステムの一環であると言わねばなりません」と里見さんは書き、その非人間化の広がりの前で私たちは無力感を感じニヒリズムに陥り、「現実」への順応が起こりそれが再生産されるという、48-49p

2010-12-28 03:53:15
tu-ta @duruta

人間化とは…いまおかれている状況と向きあい、それに問いを投げかけ、それを変えていく主体になっていくこと…非人間的状況それ自体は、人間がそれに働きかける主体に、つまり人間になっていくたたかいの跳ね板でもあるという意味で、希望のことぶれにも転化しうるものとしてとらえられ49-50p

2010-12-28 03:59:33
tu-ta @duruta

http://twitter.com/#!/duruta/status/19467437992841216 に引用した部分を読んで、現在、反中国や排外主義を主張して街頭に出てくるようになった人もまた、彼らなりに「いまおかれている状況と向きあい、それに問いを投げかけ(続く

2010-12-28 04:02:31
tu-ta @duruta

続き)それを変えていく主体になって」いこうとしているのではないかと考える。問題は向きあい方の深度なのかもしれない。反中国や排外主義を主張することが問題の解決策になりえると彼らは考えているのだろう。その中身にどう切り込めるかが問題なのだと思う

2010-12-28 04:06:54
tu-ta @duruta

「抑圧し、搾取し、虐げる人びとは、力をもっているからといって、抑圧された人びとを、そして自分自身を、解放できるわけではない。被抑圧者の無力さから生まれる力だけが、両者をともに解放するに足る強さをもちうるのだ」パウロ・フレイレ 《「被抑圧者の教育学」を読む》54pから孫引き

2010-12-28 04:10:55
tu-ta @duruta

「この教育学(ペタゴジア)は、被抑圧者が個人として、また集団として、人間性をとり戻すその不断のたたかいのなかでかたちづくっていきものであり、けっして彼のためではなく、彼とともに創出していかなければならぬ教育学なのだ。(つづく

2010-12-28 04:17:49
tu-ta @duruta

続き)そこでは、抑圧とその原因が、被抑圧者の省察の対象になる。この省察によってかれらは、必然的にみずからを解放するためのたたかいへと向かっていくだろう。(ほんとかよ)そして、このたたかいのなかでペタゴジーはつくられ、つくりかえられていくのだ(前掲書65pから孫引き)

2010-12-28 04:22:45
tu-ta @duruta

ある段階では、被抑圧者は抑圧者のなかに「人間」のモデルを見出す…。抑圧から解放へと状況の変化がすすんでいる革命のさなかにおいてすら、この現象は露頭してくる。…革命に参加している被抑圧者の多くは、かつての社会体制の神話を…刻印されているために、革命を私的な革命に転化しようと68p

2010-12-28 04:29:15
tu-ta @duruta

里見さんが『被抑圧者の教育学』を読み直すきっかけは、教育基本法の改定だった。そもそものそれは人を国家の道具として育て、使い捨ててしまった戦争の記憶への反省から生まれたのに、その改定で、人間としての生の実現よりも愛国心の涵養のほうが教育の主要な目的にされてしまったという。80p

2010-12-28 04:39:04
tu-ta @duruta

解放の大義にコミットすると称し、なおかつ民衆と心を通じあうことができず、かれらを無知蒙昧の徒と決めつけているとすれば、その誤りは悲劇的である。(つづく

2010-12-28 04:47:34
tu-ta @duruta

民衆に近づきつつも、しかし一歩ごとに逡巡し、一歩ごとに疑惑にさいなまれ民衆へのあれこれの違和感を表明して、彼の基準で相手を律しようとしている者は、じつのところ、己れの出自にあいもかわらず恋々としているのだ。《「被抑圧者の教育学」を読む》92-93pから孫引き ゲバラを思い出した

2010-12-28 04:49:09
tu-ta @duruta

フレイレの預金型というコンセプトは、一方で文化帝国主義や外発的近代化への批判と直結していますが、その一方で、そうした構造を変革しようとしているはずの社会運動が、じつは変革しようとしている当の構造をなぞってしまっていることへの批判も内包《「被抑圧者の教育学」を読む》117p

2010-12-28 04:53:47
tu-ta @duruta

《「被抑圧者の教育学」を読む》で、里見さんは境毅著《『モモ』と考える時間とお金の秘密》を紹介。モモの「時間とはすなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそって…」の「生活」は「いのち」と訳すべき、に同意する

2010-12-28 05:26:05
tu-ta @duruta

続き)でも、「生活がやせほそる」というフレーズも捨てがたいと思う。『懐かしい未来』に都会に住んでる姉は時間を節約するためのガスがあり自動車もあるが、いつも時間が足りないと言っている、というようなくだりがあったのを思い出した。時間を節約すると「いのち」も「生活」もやせほそるのだろう

2010-12-28 05:30:21
tu-ta @duruta

預金型教育は麻酔注射のようなもので、被抑圧者の創造能力を押さえ込んでしまうものだが、省察を追求してやまない問題化型の教育は、かならずや現実の皮膜を剥ぐ行為になる。《「被抑圧者の教育学」を読む》136pから孫引き

2010-12-28 05:40:57
tu-ta @duruta

@duruta SWAPOの識字教科書から:コードとはみんなに共通な問題を示す方法のこと。絵でもよいし、寸劇でもよい。みなさんで劇をやってみては?それをベースにして問題の原因だとか解決方法を議論するわけ.. http://togetter.com/li/82998

2010-12-28 05:49:47
tu-ta @duruta

フレイレたちのいう「コード表示」は…ブレヒトが〈叙事的演劇〉をとおしてめざした「状況の表示」と重なり…意識化とはひとことで言えば、間をおいてみずからの状況と向きあうこと…その「間合い」をとる技法のひとつがコード表示《「被抑圧者の教育学」を読む》162p

2010-12-28 05:54:51
tu-ta @duruta

「間合い」をとることによって、省察が可能に…。この「隔たり」のなかにこそ、識字の可能性がある…。しかしこの隔たりは、同時に言葉をその発生の現場から分断し、肉体と言葉を、行為と省察を引き離すもの…。…(この)事態をフレイレは「言葉主義」と呼ぶ《「被抑圧者の教育学」を読む》167p

2010-12-28 06:01:40
tu-ta @duruta

読み書き行為の積極的な可能性を擁護しつつ言葉主義の病を回避しようとすれば、文字の読み書き行為と生活世界、リテラシーと声の世界、もしくは場の文化との矛盾を含んだ相互浸透、両者の絶えざる往還が必要…フレイレは…両者の「対立のなかの統一」を追究《「被抑圧者の教育学」を読む》167p

2010-12-28 06:06:54
tu-ta @duruta

また追加。やっぱり読書メモには不向きかと思い始めてるが、・・・ http://togetter.com/li/82998

2010-12-29 00:34:32