快楽闇

殺人鬼×丸山くんのお話です #妄想なので、ご注意ください #卑猥あり
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ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story①】 ある家の前 手慣れた様子で呼び鈴を鳴らす 〈はーい〉 返事と共に、扉が開かれると 『宅配便でーす。印鑑お願い出来ますか?』 玄関に入り、後ろ手で静かに鍵を閉める 〈あ、ちょっと待って下さいね〉

2015-09-12 11:46:53
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story②】 踵を返した女性を、背後から羽交い締めにし口を塞ぐ 〈んんっ!〉 何とか逃れようと懸命にもがくが、男の力には勝てない 『…そない暴れんといて下さいよ』 耳元で囁く声が、妙に落ち着いている 『今からええ事するんですから…ね?』

2015-09-12 11:47:01
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story③】 目深に被った帽子から覗く男の表情は良く見えないが、その口元はどこか愉しそうに歪められていた… その出来事の数時間後 けたたましく鳴り響くサイレンの音が、閑静な住宅街を恐怖に陥れる 事件現場の周辺を、興味本位な野次馬達が遠巻きに埋め尽くした

2015-09-12 11:47:05
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story④】 翌日。 人が行き交う街中 〈今朝、都内のマンションで女性の遺体が見つかりました〉 店内から流れるニュースを聞き流す 〈死因は窒息死。警察は、知人の犯行の可能性もあるとみて捜査を行っています〉 自分には関係ないと、関心を示さない人々

2015-09-12 11:47:08
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑤】 〈それでは次のニュースです…〉 誰一人として足を止めることさえしない それを横目に眺めながら、雑踏の中を進む人影 彼の視線は、ただ前を見据えている 『やっと、今日や…』 呟いた声はざわめきにかき消され、聞き取る者さえ居ない

2015-09-12 11:47:12
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑥】 辿り着いた先は、1つの一軒家の前 近くに停めてある車に乗り込んだ 「ねぇ、明日はゆっくり出来るんでしょ?」 〈当たり前だろ?久しぶりに会えたのに、すぐ帰る訳ないじゃないか〉 車内に響く男女の声 全てはこの日の為にしてきたこと

2015-09-12 11:47:16
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑦】 数日前、この家の付近を通りかかると 「あ、あのっ、すいませんっ」 突然声を掛けられた 『どうしました?』 「家の中の様子がいつもと違ってて…っ、怖くて入れないんで一緒に入ってもらってもいいですか…?」 ひどく取り乱した様子の彼女

2015-09-12 19:07:12
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑧】 『分かりました、僕で良ければ』 「ありがとうございますっ!」 彼女に案内されるまま家の中へと入っていく 『普段はお一人なんですか?』 緊張を解そうと話しかけると 「はい…婚約者が居るんですが、出張で月に数回しか帰ってこなくて…」

2015-09-12 19:07:19
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑨】 不安からなのか、良く喋ってくれた 『そうなんですか…女性1人だと色々と不安でしょう?』 「そうですね、夜出歩くのも怖くて出来ませんもん」 家をくまなく調べ、異常がないことを確認する 『特に変わった物はありませんでしたね』

2015-09-12 19:07:22
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑩】 「良かった…やっと安心できます、ありがとうございました」 丁寧に頭を下げる彼女 『いえいえ、気にしないで下さい。これも仕事ですから』 「また何かあったら…お願いしてもいいですか?」 『いつでも、お声掛け下さい。それでは、これで』

2015-09-12 19:07:26
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑪】 その場を立ち去り、停めてあった車に身を隠す 着ていた警官の服を脱ぎ捨て、周波数を合わせるとさっきの女性の声がイヤホンから聞こえた これで、いつでも彼女の行動が把握出来る まだや…まだ焦ったらあかん すぐにでも行動に移したい衝動を抑え込む

2015-09-13 10:28:11
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑫】 最高の形でやり遂げな…その為には、まだせなあかん事があるやんか 瞳を閉じ、頭の中に考えを張り巡らせていく …ある程度まとまったな ハンドルを握ると、静かに車が姿を消した それから一週間の間 盗聴器で彼女の情報を集め続け、その日を待つ

2015-09-13 10:28:20
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑬】 2週間目の夜 「明日帰ってくるの?」 かかってきた婚約者からの電話 「分かった、楽しみにしてる」 名残惜しそうに携帯を切ったのを確認し、家の呼び鈴を押す 「はーい」 扉から顔を覗かせた彼女 「この前のお巡りさん…!」

2015-09-13 10:28:52
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑭】 一瞬驚いた表情だったが 『今晩は…あれから大丈夫ですか?何もありません?ずっと気になってたんで、寄らせてもらいました』 瞳を一気に輝かせた 「はいっ、大丈夫ですよ。ずっとお礼がしたかったんです。もし良かったら…お茶でも飲んで行きません?」

2015-09-13 10:29:19
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑮】 『いいんですか…?じゃあ、お言葉に甘えて』 家の中へと招かれ、お茶とケーキが出される 「実は明日、彼が帰ってくることになったんです」 顔を綻ばせ、嬉しそうに話し始めた 『それは良かったですね。1人で不安になることもなくなるやないですか』

2015-09-13 10:29:35
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑯】 「また出張に行くまでの間ですけどね。でも本当に嬉しくて…」 幸せそうな空気が部屋を満たす 「あ、彼にもお巡りさんのこと話してあるんですよ。ちゃんとお礼しないとって言ってたんで、今日来て下さって良かったです」

2015-09-13 10:29:44
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑰】 カップの中身を喉へと流し込みながら、柔らかく微笑む彼女を見つめていた …ホンマに見た目だけやなくて、纏う雰囲気も同んなじやわ 遠い昔に、僕の隣に居た大切な君 彼女に目ぇ付けた理由は、そこやねんけどな 大切だからこそ壊してしまった

2015-09-13 10:29:57
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑱】 あと少しや…あと少しで、お前にまた会える 薄らいだ記憶の中の君に、想いを馳せた 「…さん、お巡りさん?」 『あ、すいません…そんなに想われて相手の方が羨ましいなって…』 「え?」 『それじゃあ、僕はこの辺で失礼します。ご馳走様でした』

2015-09-13 10:30:11
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑲】 席を立ち、玄関へと向かう 「あのっ!また…来て下さいね?」 『…ありがとうございます。ぜひ、また…』 彼女に一礼し、家を後にする 準備は整った 決行は明日の夜 高鳴る鼓動に酔いしれながら、深い闇へと溶け込んでいく

2015-09-13 10:30:38
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story⑳】 そして今日 イヤホンの奥から聴こえる声に、耳を澄ます 「じゃあ、先にお風呂入ってくるね」 〈ん…〉 彼女が浴室に入り、彼が1人になった所を狙って鳴らした呼び鈴 〈はい〉 開かれた扉の奥に向かい、やんわりと微笑む 『今晩は』

2015-09-14 17:14:40
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story 21】 〈あ、もしかして彼女が話していた警察の方ですか?〉 たったそれだけで緩む警戒 〈彼女から話は聞いています。中へどうぞ〉 『…お邪魔します』 いとも簡単に家の中へと招く これから、自分が何をされるかも知らずに…

2015-09-14 17:14:49
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story 22】 〈この前は彼女が困ってる時に、助けて下さったそうで…本当にありがとうございました〉 申し訳なさそうに頭を下げる 『いえ、気にしないで下さい』 〈いやいや、そういう訳には…っ!きちんと私からもお礼をさせて頂きたいんです〉

2015-09-14 17:14:57
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story 23】 ポケットに手を忍ばせ 『お礼、ですか…』 指に触れた布を掴むと 『じゃあ遠慮なく頂きますね』 そのまま彼の口元を覆った 〈!?…っ〉 意識を手放したのを確認し、リビングの椅子へと縛り付ける あとは彼女が出てくるのを待つだけ

2015-09-14 17:15:06
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story 24】 「さっきの、誰が来てたのー?」 浴室を出た彼女が、こちらに向かいながら声をかけた 「ねぇ、聞いてる?」 物陰に身を潜め様子を伺う 「もう…寝ちゃったの…?」 リビングに入ってくると 「きゃっ…!?」 椅子に固定された彼に驚く

2015-09-14 20:52:11
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【ryuuhei story 25】 「な、に…これ、なんで…!?」 パニックになる彼女の後ろから 『…どうしました?』 声をかける 「っ!?」 身体を震わせ、振り向いた彼女に 『そんな驚かないで下さいよ』 優しく笑いかけた 「お巡りさん…っ、彼がっ…」

2015-09-14 20:52:16