月刊「概念分析」:2016年11月号

さて今月の概念分析は。日常言語の分析と人工言語の分析の統一、というお話です。 笠木さんが登壇する 2016.12.25(日)の研究会「社会学研究互助会:ウィンチ『社会科学の理念』とエスノメソドロジー」もどうぞよろしく: ・登壇者: 笠木雅史(哲学)、山田圭一(哲学)、浦野 茂(社会学・エスノメソドロジー) http://socio-logic.jp/gojo/ --- 続きを読む
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yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 今のp.669からの引用からも伺えますが、ダメット本人は「哲学とは概念分析をするもの」とかなり明確に信じていたように思います。そして概念分析の正道は意味の分析なのだが、フレーゲは日常言語を軽視していたためにその正道を徹底できなかったと。

2016-11-19 01:18:52
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft p. 683も参考にするとDummettはやはりconceptual analysisは日常言語学派のフレーズという意識があるように思う(だから、p. 667のこの語にはカッコがついている)。

2016-11-19 13:27:17
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft 日常言語学派の論文集Essays in Conceptual Analysisに再録されたStrawsonの論文が参考文献にある。Frege由来の方法として、Sinnの意味での概念=意味分析が哲学の仕事としても、それと若干区別しているように思う。

2016-11-19 13:29:52
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 ええ、日常言語学派のフレーズという意識があるという点はおっしゃる通りと思います。しかし、日常言語学派だからFregeや自分のやっていることとは違う、というより、日常言語学派が概念分析と呼んでいるものは既にFregeに先取りされてる、と言いたいのでは。

2016-11-19 13:36:54
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft 分析哲学初期から、何らかの意味での言語の分析が哲学の方法で、それがFregeに由来するという意識はある。問題はそれがより具体的にはどういうものなのかという点で、それはFrege、Dummettと日常言語学派では異なると思う。

2016-11-19 13:49:52
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft 概念分析という用語はそれ自体曖昧で、色んな人がいろんな意味を込めて使っていて、それは歴史的にもそう(分析哲学=概念分析ということに同意するのであれ、しないのであれ)。なので、そのあたりをもっと掘らないといけないなと思っているのです。

2016-11-19 13:53:07
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 ええ、問題意識は分かりますし、Frege-Dummett(この二人が本当に同じかどうかも問題ですが)と日常言語学派は客観的に見て違うだろうというのもそうだと思います。ただ、Fregeと日常言語学派の違いについてのダメットのとらえ方は注意が必要かと。

2016-11-19 14:00:04
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 つまり、ダメットは日常言語学派による「人工言語学派」への批判がまだ残っている時期に、形式論理学の手法を擁護しようとしていました。後者のパラダイムケースがフレーゲです。

2016-11-19 14:04:03
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 そこでダメットは、日常言語学派はフレーゲを自分たちとは違うものとみなしているけど、両者とも概念分析をやろうとしている点は同じで、ただその際の手法が違うだけなのだ、と言おうとした。なので、「概念分析」の意味が日常言語学派とフレーゲでずれているとまずいのです。

2016-11-19 14:06:12
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft なるほど、「分析哲学=概念分析」って、後者が曖昧なのに現代でかなり合意が形成されているようで不思議だったんだけど、やまだくんの話を聞いて、これはある種の起原本質主義的な発想で、分析哲学を歴史的に統一的に理解するという観点から出てきたのかもと思った。

2016-11-19 14:15:42
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft Dummettは91年の本ではFregeに対してconceptual analysisを頻繁に使うんだけど、93年のOriginsでは一箇所も使ってない(analysis of conceptsは一箇所)。この問題意識がどっかでなくなったのかなあ。

2016-11-19 14:20:50
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 「分析哲学を歴史的に統一的に理解するという観点から出てきた」というのは大いにありそうなことと思われます。そしてダメットはこの見方のかなり有力な唱導者だったのではないかと。(で、ダメッティアンの私は、それでいいじゃん、と思ってしまわないわけではない…。)

2016-11-19 14:24:55
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 で、Originsは全体としてみればこの見方を拡張して、分析哲学の統一だけでなく現象学との統一も成し遂げようとする本なので、概念分析という言葉がないというのは意外ですが、たしかにダメット自身は→

2016-11-19 14:26:50
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 →conceptual analysisよりもanalysis of conceptsやanalysis of thoughtsという言い方を好む気がします。

2016-11-19 14:27:24
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 なお、Originsは1987年のボローニャ講演が元になっています。そしてかさきさんが言及したFrege and Other Philosophersの中で、conceptual analysisと言っているEssay 2も1987年のボローニャ講演が初出。

2016-11-19 14:30:50
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft ありがとう。じゃあこの時期は拘る必要はないね。この時期にはもう日常言語学派も衰退して、こだわりがなくなっただけかも。70年台については、当時隆盛を誇った日常言語学派の方法論の用語を使いつつ、微妙に違う方法論を押すというのが、けっこう政治的だなと。

2016-11-19 14:36:35
Masashi Kasaki @kasa12345

OriginsにはDummettへのインタビューがついていて、Austinの哲学への影響を"noxious"と断言したりしている(しかし、Fregeに興味を持ったのはAustinの英訳をよんだからでもある)。日常言語学派にいろいろ思うところがありそう。

2016-11-19 14:49:41
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 いやー政治的というのは本当にそうだと思いますね。70年代のダメットは日常言語学派の残党狩りみたいなことをずっとやっていて、1979年にWykeham教授職に就任してそのプロセスが完成という感じ。で、90年代半ば以降は狩られる側に回ったと。

2016-11-19 14:59:53

-(a) 対象: 概念の分析
-(b) 方法: 概念能力による=アプリオリな分析

Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft 僕がconceptual analysisにこだわるのは、(a)概念の分析(b)概念能力による=アプリオリな分析という哲学の対象と方法のどちらか、あるいはどちらも表せるという便利さと曖昧さがあるからなんだよね。実際、(a)だけを否定する人は多いし

2016-11-19 14:39:27
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 (あと、これは本当に曖昧なんだろうかと思ってしまわないこともない…>(a)概念の分析、(b)概念能力による=アプリオリな分析という哲学の対象と方法のどちらか、あるいはどちらも表せるという便利さと曖昧さ)

2016-11-19 15:01:59
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft いやこれはほんとに曖昧、あるいは、最近この点が自覚されてきた。一例として、Philpapersのconceptual analysisの定義は(b)しか採用していない。philpapers.org/browse/concept…

2016-11-19 15:22:50
yyyy/mm/dd @Zahlangabeheft

@kasa12345 まあ現在そうなっているのは重々承知しているのですが、「…学の対象は何か」という問いを不用意に立てるのは問題があるから、まず「…学」の実践を見るところから始めましょう、という立場からすると、その曖昧性は哲学とは何かが完全に解明されないと除去できなそうだなと。

2016-11-19 15:41:01
Masashi Kasaki @kasa12345

@Zahlangabeheft それは、あまりに記述的に問題を捉え過ぎなんじゃないかな。方法論に関わる問いは、記述的側面もあるけど、規範的側面も持つから。なので、(a)をとるとおかしいことになるので、採用すべきでないとする人がいるということだよ。

2016-11-19 15:50:45