#ちんじふ劇場　【17年3月分まとめ】

青葉⚓C103土曜ユ29b@鎮守府新聞ワレアオバ @_Ware_Aoba

執務机の奥でそうやって笑う司令官の姿はなかった。 それどころか…… 吹雪「机も……家具も……何でないの？」 中央には積み上げられた段ボール箱が。 この光景には覚えがある。 初めて司令官が着任した、まだ何も整っていなかった執務室だ。 吹雪は目眩を覚えた。 #ちんじふ劇場

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吹雪「何が……一体何が……」 大淀「吹雪さん」 いつの間にか、すぐ横に大淀がいた。 その表情は固く、暗い。 吹雪「大淀さん、司令官が！」 大淀「はい。そのことで艦隊運営委員会を招集しました。会議室に来ていただけますか」 吹雪「……わかりました」 #ちんじふ劇場

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艦隊運営委員会は艦娘代表者と艦隊司令が意思疎通を行うために設置された、Acnos艦隊独特の機関である。 代表者は以下の通り 秘書艦：吹雪（駆逐艦代表兼務） 司令部付き：大淀 戦艦代表：長門 空母代表：加賀（代理） 重巡代表：古鷹 軽巡代表：天龍 工廠代表：明石 #ちんじふ劇場

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吹雪と大淀が会議室に入ると、すでに重苦しい雰囲気が室内を支配していた。 長門「来たか。さっそく委員会を開催する」 全員が頷く。 長門「今朝掲示された、人事通達だが……あれは正式なものか？」 大淀「はい。海軍省、鎮守府長官、官報。すべてで確認できました」 #ちんじふ劇場

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長門「吹雪、お前は？何か聞いていなかったか？」 吹雪「なにも……聞いていません」 加賀が挙手する。 長門「なんだ？」 加賀「私は、提督は予めこのことを知っていたと思います」 長門「……根拠は？」 加賀「行動です。これまでにしてこなかった行動が幾つか」 #ちんじふ劇場

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古鷹「そういえば……」 長門「何か覚えでも？」 古鷹「はい。長いこと壊れている備品関係が急に提督の指示で修繕されました」 長門「……偶然ではないのか？」 明石「以前から修理依頼は来ていたのですが、手が回らなくて……一週間くらい前に催促されましたねえ」 #ちんじふ劇場

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天龍「そういや、霧島姐さんにも言ったけど、急に稽古に付き合うようになったりとかあったぜ」 長門「うーん……」 加賀「先日のホワイトデーの際に艦娘にお返しを配っていました。着任したてでバレンタインには居なかった艦娘も含めてです。その事を問いただした際に……」 #ちんじふ劇場

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加賀「心境の変化……と言っていました」 長門「……前日の提督の行動は」 吹雪「霞が関に行くと。支度しされている際に聞きました。その時は同行不要。遅くなるとも」 長門「帰ってきてはいるのか？」 大淀「いえ、門で確認しましたが、記録上はありませんでした」 #ちんじふ劇場

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長門「帰っていない？」 大淀「赤レンガにも問い合わせましたが、１６時に退出された以降は知らないと」 長門「……今後どうなるのだ？」 大淀「４月に新司令官が着任。艦隊の再編を行うとのことです」 長門「艦隊としては、司令官の交代のみということか」 #ちんじふ劇場

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天龍「いや、ちょっと待てよ！それでいいのかよ！」 長門「じゃあ、どうすればいいというのだ！」 思わず声を荒げた長門に、皆が呆然とする。 長門「すまん……私も混乱しているのだ」 大淀「……情報収集は継続します。皆さんは各艦に現状の事情説明をお願いします」 #ちんじふ劇場

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各代表がそれに同意したことで、会議は散会となった。 吹雪「……司令官」 吹雪はただひとり、残された会議室で呟く。 #ちんじふ劇場

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通話記録：あきつ丸 「どうも。やはり動きましたな」 「はい。いいえ。混乱はしていますが、現状は広がっていません」 「はい。情報収集に全力傾けています」 「はい。自分がでありますか？」 「はい。いいえ。可能であります」 「はい。では後ほど」 #ちんじふ劇場

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あきつ丸「まるゆ」 まるゆ「わぁ！……あきつ丸さん？」 あきつ丸「ひとりか？」 まるゆ「はい。まるゆはひとりです」 あきつ丸「まるゆ。貴様は陸と海と、どちらに忠誠を誓う？」 まるゆ「……」 あきつ丸「……」 まるゆ「はい。まるゆは陸軍です」 #ちんじふ劇場

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あきつ丸はうなづくと懐から一通の手紙を取り出す。 あきつ丸「自分はこれから陸軍の艦娘として行動する」 まるゆ「提督さんの……事ですか？」 あきつ丸「そうだ」 まるゆ「……」 あきつ丸「貴様にこれを預ける。然るべき人物に渡せ」 そう言って手紙を渡す。 #ちんじふ劇場

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まるゆ「あきつ丸さんが渡すのじゃダメなんですか？」 あきつ丸「今はその時ではないのだ。渡すのは機を見ろ」 まるゆ「はい。まるゆ、承りました」 あきつ丸「頼むぞ」 まるゆは陸軍式の挙手敬礼を向ける。 あきつ丸は口元を一瞬緩ませると、風のように消えた。 #ちんじふ劇場

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現在の執務室の様子 #ちんじふ劇場 pic.twitter.com/j7muOVnyUj

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長門「というわけだ。情報が入り次第また連絡する」 金剛「まあ、慌てることは無いデス」 長門「どうしてだ？」 金剛「私たちはテートクから特別な絆をもらっていマスからネ」 陸奥「そうね。ひどいヒトではあるけれど、それを含めてあのヒトだから」 #ちんじふ劇場

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伊勢「あたしらはドンと構えて下の動揺を防がないとさ」 扶桑「そうね。これくらい、何でもないわ」 長門「……そうだな」 #ちんじふ劇場

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加賀「翔鶴。身が入らないなら、射場を空けなさい」 翔鶴「……すみません」 瑞鶴「仕方ないでしょう！　提督さんがいなくなったんだから！」 加賀「ならば今は大人しくしていなさい」 瑞鶴が加賀を睨む。 赤城「翔鶴、瑞鶴」 視線が赤城に集まる。 #ちんじふ劇場

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赤城「動揺を抑えられないなら、かえって弓を扱うのは危険だと加賀は言っているの」 瑞鶴「え？」 加賀「赤城さん……」 赤城「ごめんね。加賀も提督の件で動揺しているのよ、これでも」 翔鶴「先輩、すみませんでした。少し下がります」 #ちんじふ劇場

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加賀「私も言葉が足りなかったわ。ごめんなさいね」 瑞鶴「……ごめんなさい」 加賀「いいえ。姉を気遣う気持ちは大切よ。これからも大事になさいね」 その様子を眺めながら赤城はつぶやく。 赤城「こんなに心配させて、帰ってきたらしっかり怒らないといけませんね」 #ちんじふ劇場

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古鷹「ということです」 衣笠「青葉は何も気が付かなかったの？」 青葉「いやぁ、個々の事象は確かに青葉も把握していましたが、それがこうなるとはさすがに……」 高雄「いきなり解任とは乱暴ですね」 妙高「でも提督の様子からすると、内示はあったかもしれませんね」 #ちんじふ劇場