2017-12-14のまとめ
可処分所得は,名目ベースと実質ベースともに,ほぼ同じ動きで下降推移してきたが,とりわけ2014年以降,実質可処分所得が大幅に低下している。
2017-12-14 23:19:11こうした実質可処分所得の動きを受けて,実質消費支出全体や実質食料消費支出(同図)も下降トレンドで推移しているが,とりわけ2014年以降,実質消費支出全体が実質食料消費支出より大幅に減少している
2017-12-14 23:19:12物価については,消費者物価(総合)と食料物価はともに,2000年代後半までほぼ同じ水準で推移していたが,それ以降,後者が前者より高い水準で推移し,とりわけ2014年以降,食料物価が大幅に上昇する。
2017-12-14 23:19:13消費支出については,2000年代後半まで同じく消費支出全体と食料消費支出ともに,ほぼ同じ動きで低下していたが,とりわけ2014年以降,食料消費支出が大幅に増加する一方で,消費支出全体は減少傾向で推移している
2017-12-14 23:19:14つまり,2014年以降,食料消費支出は食料物価の上昇に引きずられる形で増加する一方,消費支出全体は消費者物価の上昇の影響を受けて逆に減少している。
2017-12-14 23:19:14これが,エンゲル係数の分子(食料消費支出)の増加と分母(消費支出全体)の減少という形で,エンゲル係数を高める要因となっていることがうかがわれる。
2017-12-14 23:19:15実質家計最終消費に,可処分所得が有意な正の影響を与えるとともに,物価のうち,(2)生鮮食品を除く食料(コア食料)が有意な負の影響を与えている。とりわけ,コア食料物価の係数(0.827)はエンゲル係数(25%前後)よりも大きくなっている。
2017-12-14 23:19:16つまり,食料価格上昇は,家計に実質購買力の低下を強く意識させ,消費支出全体を抑制させる効果があることが示唆される。
2017-12-14 23:19:162008年と2014~2015年の食料価格上昇は,コア食料による寄与が大きいことが分かる。つまり,これらの時期は,変動の大きい生鮮食品ではなく,基調的な食料物価であるコア食料の上昇が大きい時期であるため,食料価格の上昇が家計消費の抑制に強い作用をもつことになる。
2017-12-14 23:19:18人口構成の変化がエンゲル係数の上昇にどの程度の影響を与えているのかを確認しておこう。高齢層になると,消費支出全体は減少するが,その減少率ほど食料消費支出を減少させないため,エンゲル係数は高くなる傾向がある。このため,マクロでみると,高齢化の進展はエンゲル係数の上昇要因となる
2017-12-14 23:19:19(。 ・ω・))フムフム 人口構成の変化による要因はプラスに寄与しているものの,その影響は相対的に小さい。近年のエンゲル係数上昇の主な要因は,人口構成の変化によるものではなく,年齢階層ごとのエンゲル係数の変化によるものであるといえる
2017-12-14 23:33:15年齢階層別(39歳以下,40歳以上59歳以下,60歳以上)のエンゲル係数の推移をみると,いずれの年齢階層でも上昇している
2017-12-14 23:33:16所得階層別(総世帯平均,高所得層,低所得層)のエンゲル係数と,エンゲル係数の分母と分子にあたる名目消費支出と名目食料消費支出のそれぞれの指数(2002年=100)の推移を示している。共通してみられるのは,名目消費支出指数と名目食料消費支出指数はともに2000年代で
2017-12-14 23:33:17はほぼ同じ動きで推移していたが,とりわけ2014年以降,後者が前者を上回って推移している。このため,各所得階層において,エンゲル係数は,2000年代ではほぼ横ばいで推移していたが,2014年以降,上昇に転じることになる。
2017-12-14 23:33:17このようにエンゲル係数は,(1)名目消費支出(分母)と名目食料消費支出(分子)の動向によって影響を受ける。
2017-12-14 23:33:17低所得層については,2015年において,総世帯平均と異なる傾向がみられる。2008年や2014年では,総世帯平均に比べて,食料以外の数量が大幅に減少し,エンゲル係数を大きく押し上げているが,エンゲル係数の上昇要因と下落要因の構成は総世帯平均と同様である。
2017-12-14 23:33:18しかし,2015年になると,総世帯平均では食料以外の数量が減少しているのに対して,低所得層ではその減少幅が抑制されており,この結果,総世帯平均よりもエンゲル係数の上昇幅が小さくなっている
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