ビル・ミッチェル(MMTer)翻訳紹介part4

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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『クーの研究は、新自由主義者のロビー活動が牽引力を獲得し始め、政府純支出が減らされたときに日本経済が再び後退したということをきっちりと示している。しかし面白いことに、こうした緊縮の試みは、――自動安定化装置を通じて――ただ財政赤字を増やしただけだったのである!』

2018-09-09 11:06:26
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『クーとケインジアンの違いは、それぞれが不況をどう理解しているかにある。一般理論でケインズは事業の期待収益に対する悲観が起こす投資の減退によって不況が発生すると論じた。......

2018-09-09 11:08:06
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

......しかしながら、クーは、民間部門の緩んだ信用(借入)が支出拡張を裏打ちし、その結果として民間バランスシートの危険性が亢進したと見ている。こうした信用(借入)過剰への反応として、民間部門はさらに貯蓄し始め、金利が低いにも関わらず借入しないようになった。』

2018-09-09 11:08:48
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『アメリカ人経済学者のポール・クルーグマンは(不幸にも)遅れて財政赤字の教祖になった。......問題は、クルーグマンもずっと財政政策論者だったわけではないということだ。......日本の ”失われた10年” の間、クルーグマンは問題の本質を完全に見誤っており、金融政策への依存を推奨していた。』

2018-09-09 11:38:41
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『クルーグマンは.....「日本に支出ギャップがあったこと」、「低い名目金利は経済を刺激していなかったこと」を認識していたということは確かである。しかし彼はまた、財政政策は有効になり得ると示しつつも、 ”政府には財政的制約がある”、 ”日本政府は無駄遣いばかりしている” とも主張していた。』

2018-09-09 11:39:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『クルーグマンの次の論述から、1990年の日本の状況について彼が誤っていたことを暗に認めていることが分かる。......「今経済に必要なのは、節約する消費者に代わる何かだ。それは大規模財政刺激である。...税の払い戻しよりも、実体的な政府支出の形で財政刺激を実行するべきだ。」』

2018-09-10 00:36:39
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『クーは以下のように答えを出している:「量的緩和が日本で機能しなかった理由は極めて単純で......日本の民間部門に資金需要がないからだ。中央銀行によって提供された資金がインフレーションを起こすには、借入され、支出されなくてはならない。」』

2018-09-10 00:41:56
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『クーはまた、IMFも論難している。...クーが言うには:「IMF――日本がバランスシート不況に嵌っていることに気づいていない数ある集団の一つ――は、量的緩和をやめるという日本銀行の決断に反対した。しかし日本銀行がそれを実行しても、何も起こらなかった。...』

2018-09-10 00:43:09
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『...量的緩和政策が中断されたら長期金利がロケットのように跳ね上がると多くの人々が心配していた。決定の直後には長期金利が20-30bp上昇したが、その後は以前の1.5-1.6%の水準という人類史に残る水準にまで再び低下した。そして多くの人々が恐れた日本国債価格暴落は全く起こらなかった。」』

2018-09-10 00:43:33
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『財政赤字は名目金利を引き上げるわけではないし、適切な規模であればインフレーションも起こさない。「中央銀行の国債マネタイゼーションが、大規模財政赤字によるインフレ着火の十分条件ではない。......経済の生産キャパシティを十分に超過していなければならないのである。」』

2018-09-11 00:16:46
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『「ゼロ金利にも関わらず、民間部門の需要は急減し、貯蓄率は劇的に上昇した...民間部門の貯蓄余剰...が、借手の不足のせいで経済の所得循環における漏出を齎し、デフレーションギャップを生み出している。......もし政府の借入支出が民間の純貯蓄の超過に及ばないなら、インフレは生じないのだ。」』

2018-09-11 00:48:18
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『彼(引用註:クー)は財政ハト派なのであり、世界金融危機を通じて、彼は政府が貯蓄から資金を借入し、支出することで所得発生循環に貨幣を戻し維持すべきだと考えている......これは転倒した論理だ。民間部門が用い、債券を購入するための貨幣は、政府の純支出(財政赤字)によって生まれてくる。』

2018-09-11 00:50:26
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『進歩的経済学者を含む様々な経済学者によって提起された関連する論点として、「バランスシート不況において、問題は過剰債務である」というものがある。曰く、かの論理で行けば、政府が公的債務を増やすのは可能な限り控えるべきだとされる。』

2018-09-11 00:50:55
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『......通貨(currency)の利用者である家計が持つ債務は、家計が何らかの形で資金調達しなければならないため、家計の将来の消費余力への負担となる。政府の持つ債務は、政府の将来の支出余力には制約されない。統治政府の債務に不履行の問題は一切無いのだ。』

2018-09-11 00:51:35
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『とはいえ私は公的債務水準の引き上げを提唱しているわけではない。実際には、私はあまり公的債務を発行せず、短期のイールドカーブにおける金利を永続的にゼロ近傍に維持すべきと考えている。そして財政政策を通じ、名目需要を実質キャパシティ上に維持するのに必要な全ての支出調整を行うべきだ。』

2018-09-11 00:52:07
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『クーは以下のように述べている:「日本、アメリカ、欧州に見るように、平時において政府が大規模の支出を行うことは難しい。...民主主義においては、財政赤字のサイズに関する不安と財政再建論者のせいで、政府が必要な期間に必要なだけ財政刺激を提供することが出来なくなるリスクが非常に高い」』

2018-09-11 00:53:07
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『メディアと公の議論がその元凶だ。彼らは来る日も来る日も新自由主義的論調を繰り出し、万人に向かって、「あなたがたの子孫はすさまじい借金によって破滅に至り、今日の財政赤字による何らかの牽引力を通じて貧困に陥るだろう」と吹き込んでいる。』

2018-09-11 00:54:18
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『問題は民主主義ではない――そんなことを認めるのは実に恥ずべきことだ――むしろ民主主義の欠如が問題なのだ。それは、保守的な反政府バイアスを大いに反映している高度集中型メディア産業の結果なのである。』

2018-09-11 00:55:16
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

『クーの分析には同意できない点が数多くある。そうした争点のほとんどは、彼の誤った想定、即ち、政府がその支出資金を調達する必要があるという想定から発生している。政府が通貨の独占的発行者である限り、資金調達が必要にはならないことは明らかだ。......

2018-09-11 00:55:54
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

......しかし彼の支出ギャップ、及び深刻な低迷において財政政策の果たす役割についての理解に対しては、はっきりと同意する。』

2018-09-11 00:56:06