チキンラーメンと安藤百福、その虚像と実像〜近代食文化研究会さんの検証(※長いシリーズの一部です)

※このツイート以前から、丁寧な検証が続いています。これはあくまでも途中から一部をまとめたものです。/NHKのドラマ「まんぷく」でも即席ラーメンが完成し、売れ始めましたが、或る意味ドラマ以上にスリリングな、即席ラーメンをめぐる本当の物語とは。
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近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

インスタントラーメンの主な特許を、安藤百福推薦の「即席めんと特許」をベースに、出願日順に解説してみます。 まず全世界のインスタントラーメンが現在もお世話になっている、非常に重要な村田良雄の屈曲麺特許。出願は製法が昭和27年、製造装置が29年。 pic.twitter.com/VAT4E56JJo

2019-02-16 03:10:46
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戦前の日本にもマルタイのような棒状の乾燥中華麺は存在しましたし、中国大陸(ユーラシア大陸、といったほうがよいか)には昔から乾麺が存在したことでしょう しかし機械で作る、波状に折り畳まれた、我々が現在もっともよく目にする形状のインスタントラーメンは、村田良雄によって発明されたのです pic.twitter.com/edc27z9jxn

2019-02-16 03:10:46
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村田良雄が興した会社は、現在も「都一」として、「中華そば」を発売しています。 世界初のインスタントラーメンを発明した、という日清食品の主張が及ぼす害悪の一つは、村田のような本当に重要な発明が、世間から忘れ去られてしまうという点にあります。 pic.twitter.com/xebfmsaJWt

2019-02-16 03:10:46
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続いて安藤百福に特許を盗まれたと主張する陳栄泰の特許。出願は昭和33年11月、張国文や安藤須磨(百福の義母)より先行しています 陳栄泰の特許のキモは「型詰油揚方式」。金網や金型に蒸した麺を入れて、油で揚げる方式です。現在も多くのインスタントラーメンが、この方式で作られています。 pic.twitter.com/pmFQ8aYNl5

2019-02-16 03:10:47
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こちらにカップヌードルの製造工程が写真入りで解説されています。 bit.ly/2Uy81wJ 麺をウェーブさせて蒸して型に入れて揚げる。村田良雄と陳栄泰の特許が使われていることがわかります。

2019-02-16 03:10:47
リンク インスタントラーメンナビ インスタントラーメン ナビ 一般社団法人 日本即席食品工業協会 一般社団法人 日本即席食品工業協会のオフィシャルサイトです。インスタントラーメンのおいしさの秘密や歴史などを紹介しています。 18
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日清食品のカップヌードルも、焼きそばUFOも、出前一丁も、村田と陳の特許にもとずいた製法で作られています。 次に述べる安藤須磨(日清食品)の特許は、これらには使われていません。

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続いて張国文と安藤須磨(百福の義母)の特許です。この2つは麺への味付けに主眼が置かれています。 張国文の出願が昭和33年12月、安藤須磨が昭和34年1月。陳、張、安藤の中では、安藤が一番遅い出願となります。 pic.twitter.com/WftFJv9NGp

2019-02-16 03:10:48
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「即席めんと特許」の説明では両方とも日清食品の特許となっていますが、これは張国文の特許を安藤百福が買収したため。 買収の経緯については、野嶋さんのこちらの記事をご覧ください bit.ly/2toC8Lx

2019-02-16 03:10:49
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張国文の「味付乾麺の製法」は、麺を調味液中に漬け込む方法。 安藤須磨(百福の義母)の「即席ラーメンの製法」は、調味液を麺に噴霧する方法。 「まんぷく」でじょうろを使って麺に調味液をかけていましたが、あれが後者の特許を表現したものと思われます。 pic.twitter.com/U2Dc8NxY0H

2019-02-16 03:10:49
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似たような味付けに関する特許ですが、昭和37年の経済誌「財界」によると、張国文の「味付乾麺の製法」のほうが優れており、当時の業界の標準的な製造法となっていました。

2019-02-16 03:10:49
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”「味付乾麺製法」というのは、実は、日清食品が特許出願したものではない。東明商行(大阪市阿倍野区阿倍野筋一、張国文社長) が考案した製法だ。めんを蒸気に通し、スープにひたして着味。このあと、乾燥ー油揚げー包装という工程をとる。” pic.twitter.com/loo7Hn7SwV

2019-02-16 03:10:50
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”一方、日清食品が独自で考案した「即席ラーメン製造法」はスープにひたすかわり、スプレーでスープを吹きつけるという違いがあるだけ。” ”しかも着昧効果、経済性の点からみても、東明商行の「味付乾製法」の方が「即席ラーメン製造法」よりすぐれていた。” pic.twitter.com/V8TpoxtaVC

2019-02-16 03:10:50
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”いま、全国で百十三社と推定される即席ラーメン・メーカーは、ほとんどこの「味付乾麺製法」をとっているようだ。” 業界で使われていた味付法は張国文の特許に基づくものであり、日清食品オリジナルの安藤須磨(百福の義母)の特許は、ほとんど使われていなかったようです。 pic.twitter.com/UOG025Tcfy

2019-02-16 03:10:50
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その後、インスタントラーメンの主流は明星食品が開発したスープ別添方式が主流となり、張国文の特許も使われなくなっていきますが、一時期は張国文の特許が業界標準となっていたのです。

2019-02-16 03:10:51
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こうして特許の面からみてみると、「インスタントラーメンを発明した」という日清食品の主張は、その根拠が非常に怪しい主張であることがわかります。 明日に続きます。

2019-02-16 03:10:51

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平針赤池 @zxt00b10001

関係ないしご存知でしょうけど カップヌードルよりも先に明星がカップ式を開発してはいた、らしいですね twitter.com/ksk18681912/st…

2019-02-16 22:58:37
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@zxt00b10001 詳しくは知らないのですが、高杉良の小説「燃ゆるとき」の題材になっているようですね。日清食品は悪役として登場するそうです。

2019-02-18 02:56:31
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@zxt00b10001 このころはフリーズドライ技術が未熟で、生の具材を使っていたため、保存性に難があったそうです。 そこらへんも、試験販売で終わった理由の一つだそうです。

2019-02-18 02:57:58
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@promax225 twitter.com/ksk18681912/st… 偶然にびっくり!その方、私の質問に答えていただいた三代目社長の方と思われます。

2019-02-18 02:59:31
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これはラーメン史において非常に重要な情報ですので、村田良雄が設立した都一に事実関係を問い合わせました。 お答えいただいたのは、当時社長であった、村田良雄の孫にあたる方でした。 お忙しいところありがとうございました。

2019-02-05 03:01:33
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安藤百福のインスタントラーメン発明話が、時間がたつにつれどのように変化していったかを、雑誌、新聞記事、安藤自身の著書からまとめました。 スプレッドシートにまとめていますので、スマホでは見にくいと思います。パソコンで開いてください。 bit.ly/2DM4qV1

2019-02-18 03:02:34
リンク Google Docs 安藤百福インスタントラーメン発明話の時系列変化 シート1 1.年,2.資料,3.開発のきっかけ,4.開発開始時期,5.開発期間,6.開発体制,7.開発場所,8.安藤の発明内容,9.備考 1962,実業往来1962年12月号,・昭和26,27年に米が不作で農林省と厚生省が粉食を推奨したので、ラーメンを工業化,1951年,日清食品営業部長有元氏へのインタビュー 1966,50人の経営者,・国民科学研究所時代に夜鳴きそばを食べて発想,1950年,8年 1969,週刊読売1969年2月7日,・当時厚生省or農林省(注 どちらか不明)の事務官であり、現在国立栄養 9

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解説は明日以降行いますが、時間がたつにつれ大きく変わっていったのはまず「8.安藤の発明内容」 昭和40年代(1970年代半ば)までは安藤自身、自分が何かを発明したとは主張していなかったことがわかります。

2019-02-18 03:02:34
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