チキンラーメンと安藤百福、その虚像と実像〜近代食文化研究会さんの検証(※長いシリーズの一部です)

※このツイート以前から、丁寧な検証が続いています。これはあくまでも途中から一部をまとめたものです。/NHKのドラマ「まんぷく」でも即席ラーメンが完成し、売れ始めましたが、或る意味ドラマ以上にスリリングな、即席ラーメンをめぐる本当の物語とは。
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近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

それでは、インスタントラーメン史における安藤百福と日清食品の位置づけは、どのようなものになるのでしょうか? 私の見解は、「投資の成功者」です。

2019-02-19 03:25:20
近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

乾坤一擲の巨額投資=当時の標準製法だった張国文の特許を買収し、業界に特許戦争を仕掛けたことが、後の安藤百福躍進の基礎となりました。 明日に続きます。

2019-02-19 03:25:20

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近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

昭和36年1月、安藤百福は総額2300万円、一年半の分割払いで張国文の特許を購入します。 詳しくは野嶋さんの記事を参照して下さい。 bit.ly/2GybF6U この特許買収が、今日の日清食品の基礎を築く、乾坤一擲の大逆転を呼びます。

2019-02-20 03:37:00
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まず特許のおさらいです。詳しくは以前のスレッドを参照してください。 bit.ly/2GNBLlM 黎明期のインスタントラーメンを支えた特許は2つありました。 一つが陳栄泰の、金網のかごに麺を入れて油で揚げるという特許。 現在もカップヌードルを含む多くの製品がこの方法で製造されています

2019-02-20 03:37:00
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2つ目は張国文の特許。こちらは味つけが中心の特許で、麺を味付け液に浸した後に油で揚げるという製法の特許です。 昭和37年の経済誌「財界」によると、当時のメーカーのほとんどはこの製法で味付けしていました。 bit.ly/2V8SHHj

2019-02-20 03:37:00
リンク Twitter 近代食文化研究会@「お好み焼きの物語」発売中 on Twitter “張国文の「味付乾麺の製法」は、麺を調味液中に漬け込む方法。 安藤須磨(百福の義母)の「即席ラーメンの製法」は、調味液を麺に噴霧する方法。 「まんぷく」でじょうろを使って麺に調味液をかけていましたが、あれが後者の特許を表現したものと思われます。”
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この2つに比べると、「麺に調味液を噴霧して味付けする」という日清食品の特許は、出願がもっとも遅く、またあまり使われていないものでした ちなみに陳と安藤との特許紛争は1963年に特許庁が最終結論を出し、上記定義による棲み分けで決着しています(週刊日本経済1963年10月31日号)

2019-02-20 03:37:01
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そのもっともしょぼい特許の持ち主である安藤が、業界標準の張国文の特許を買収したわけです。 小が大を飲み込んだわけですね。 しかし、分割払いとはいえ、2300万円は現在で言えば数億円の大金です。

2019-02-20 03:37:01
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買収した昭和36年1月頃の安藤百福と言えば、決して金回りがいいとは言えない状態。 百福の羽振りがよかったのは、昭和32年まで務めていた信用組合理事長時代。 しかし昭和32年9月に、乱脈融資で取り付け騒ぎが起こり信用組合は破綻します。 bit.ly/2SMaJ5h pic.twitter.com/0EJypPyRNu

2019-02-20 03:37:01
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翌年の昭和33年1月9日、大阪府警は6000万円を信用組合から横領した容疑で安藤百福を捜査。 その後百福は逮捕され、一審で有罪が確定します。 pic.twitter.com/79v61CwyGE

2019-02-20 03:37:02
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夏に拘置所を出所、横領した金もなくなり無職となった百福は、許炎亭のもとを訪れます。 bit.ly/2trW9kt その年に百福は許炎亭と日清食品の前身三倉物産を設立。 陳栄泰の鶏糸麺を「チキンラーメン」に改名し代理販売を行いました。 pic.twitter.com/4bptj5cDOF

2019-02-20 03:37:02
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リンク Twitter 近代食文化研究会@「お好み焼きの物語」発売中 on Twitter “”刑務所を出た直後ですから、安藤君には定職がない。そこで鶏糸麺を売っている私の事務所に毎日顔を出し、異常な興味を示しまして、製法を教えてくれとせがむ。そこで発明者の陳君を紹介したというイキサツなんです””
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2年半前で無職無一文という状況ですから、昭和36年1月の特許買収の時点で、百福が潤沢な資金を持っていたとは思えません。 ところが、百福は資金を用意することができました。

2019-02-20 03:37:03
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なぜなら、張国文の特許は次々と金を生み出す打ち出の小槌。 そのことに気づいた百福にとって、他人から金を引っ張ってくるなど造作も無いことだったのです。

2019-02-20 03:37:03
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百福と異なり、張国文は自分の特許の本当の価値とその応用法について自覚がありませんでした。 2300万円、現在の数億円という大金で売却するのは妥当な取引と思ったのでしょう。 後に自分の特許の本当の価値に気づいた張国文は、愕然としたことでしょう。

2019-02-20 03:37:03
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張国文はこの売却契約のことを、家族に隠し通していました。 家族がその事に気づいたのは、張の死後に契約書を発見したからです。 bit.ly/2GybF6U 張国文は百福に売却したことを、家族に言えないほど強く後悔していたのでしょう。

2019-02-20 03:37:03
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しかしその事に気づいたときには、すでに判子を押していたのです。 特許を取得した安藤百福は、昭和37年の特許成立後にすばやく行動を起こします。 新日本経済昭和38年5月号によると、百福が取った行動は次のようなものでした。

2019-02-20 03:37:04
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”日清食品はこの二つを得権したことにより、今後日清食品の製法によらざれは即席ラーメンは製造出来ないとし、昨年度ラジオ・テレビを通じて一斉に全国業者に警告を行つた。” 業界標準であった張国文の特許を盾にした、日清食品の独裁を宣言したのです。 pic.twitter.com/ZruuHvMkgG

2019-02-20 03:37:04
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”さらに今後は一袋について一円の特許料を載くといった一方的な通達であつた。” pic.twitter.com/GBEw0T7lbN

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財界展望昭和38年年4月号によると、当時のインスタントラーメン製造規模は1800万袋。 1袋1円ならば、うまくすれば1800万円の年間収入がえられるわけです。 しかもこれが20年以上にわたって続く。 物価の上昇や市場拡大に比例して収入額は拡大していきます。

2019-02-20 03:37:05
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一方、特許の購入料は2300万円だけ、しかも1年半の分割払い。 皮算用通りにいかないとしても(実際にはいかなかったのですが)長い目で見ると、安い買い物だったことがわかります。 しかも業界各社に対し、特許を盾にした支配権を確立することができます。

2019-02-20 03:37:05
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しかしながら、張国文の特許の価値は、特許料にとどまるものではありませんでした。 その後の日清食品の躍進を支える、まさに錬金術の源となる特許買収だったのです。 明日に続きます。

2019-02-20 03:37:05
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きた! twitter.com/shutozennin/st…

2019-02-21 02:46:26
酒徒(しゅと)- おうちで中華 @shutozennin

極上の生ビールと共に目くるめく海鮮中華をむさぼり、海鮮餡の水餃子で〆る。想像するだけで胃が鳴るような幸福が、青島であなたを待っています。月イチ連載「中国全省食巡り(@80Cjp)」、山東省青島篇が本日公開です。異国情緒溢れる港湾都市の食の魅力をお届けします!80c.jp/report/2019022…

2019-02-20 11:21:31

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