チキンラーメンと安藤百福、その虚像と実像〜近代食文化研究会さんの検証(※長いシリーズの一部です)

※このツイート以前から、丁寧な検証が続いています。これはあくまでも途中から一部をまとめたものです。/NHKのドラマ「まんぷく」でも即席ラーメンが完成し、売れ始めましたが、或る意味ドラマ以上にスリリングな、即席ラーメンをめぐる本当の物語とは。
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近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

買収した張国文の特許を盾にインスタントラーメン業界を支配し、多額の特許料を得るという安藤百福の計画は、100%成功したわけではありませんでした。 素直に特許料を支払い日清食品の軍門に下る企業も多かったのですが、これに真っ向から立ち向かう勢力が2つあったのです。

2019-02-21 02:59:13
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そのひとつが関東の雄、当時業界2位であったエース食品(現エースコック)。 当時関西では日清食品が強かったのですが、関東はエース食品のテリトリであり、チキンラーメンの進出を阻んでいました。 エース食品は独自の製法特許を申請中だったために、日清食品の勧告を無視したのです。

2019-02-21 02:59:14
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読売新聞1962年6月23日によると、日清食品はエース食品に対し、特許を侵害しているとして製造禁止の仮処分を申請。 一方のエースも日清食品に対し営業妨害、不正競争行為禁止の仮処分を申請するなど、泥沼の闘争へと突入していきます。 pic.twitter.com/YsHK2dpXzi

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もう一つの抵抗勢力が、ご存知陳栄泰の大和通商。 もともとチキンラーメンとは、陳栄泰の鶏糸麺を改名して百福らが代理販売したもの。 その後日清食品は製造へと乗り出しますが、ここで両者に特許紛争が持ち上がります。

2019-02-21 02:59:14
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陳栄泰は、日清食品の特許は陳栄泰の特許を安藤百福が盗んで申請したものだと主張します。 bit.ly/2BHjiUA その真偽はともかく、特許出願は陳栄泰のほうが先でした。 ところが、日清食品は大和通商の特許に異議申し立てを行います。

2019-02-21 02:59:15
リンク Twitter 近代食文化研究会@「お好み焼きの物語」発売中 on Twitter “安藤百福の特許は、陳栄泰の鶏糸麺特許を盗んだものである。 安藤百福とともに日清食品の前身三倉物産を設立し、チキンラーメンの名付け親でもある許炎亭と陳栄泰はそう主張します。” 1 user 2
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実は大和通商が出願した特許には間違いがありました。150度の油脂で揚げるところを、50度で揚げると書き間違えていたのです。 日清食品はこの間違いを突き、後に出願した日清食品の特許のほうが先に成立することとなります。

2019-02-21 02:59:15
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当然のことながら大和通商はこれに反発、再審査を請求します。 そして大和通商が勝利し特許成立。画像はこれを伝える財界展望1963年4月号です。 最終的には型枠に麺を入れて揚げる特許は大和、味付け液を噴霧する特許は日清と棲み分けることで決着がつけます。 pic.twitter.com/SmVRvOdmeE

2019-02-21 02:59:15
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画像は法廷の最終決定を伝える週刊日本経済1963年10月31日号です。 このように買収した張国文の特許による業界支配および特許料の入手は、必ずしも安藤の思惑通りに運んだわけではありませんでした。 しかしながら、張国文の特許による錬金術の本命は、別のところにありました。 pic.twitter.com/vuv1e646nJ

2019-02-21 02:59:16
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実は特許が成立する前から、日清食品の金回りが異常に良くなっており、無謀とも言える大型投資を繰り返していたのです 財界1962年7月号によると ”日産五十万食の高槻工場がわずか半年で日産三百万食の工場にひろげられた。マスコミをフルに使い、一日百台のPRカーを走らせたりしたものだ。” pic.twitter.com/AZVHQ6GRKA

2019-02-21 02:59:16
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”安藤社長は「あのころ、無謀とも思えるほど工場設備やPRにカネを使ったのも 背景に特許が許可される見とおしがあったからだ」といっている。「製法特許」というスペードの女王をにぎっていたからこそカネも出た。”

2019-02-21 02:59:17
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張国文の特許は、成立前から多額の金を呼び込んでいたのです。 特許買収のための2300万円という大金、安藤自身が無謀と語る宣伝広告や工場への大型投資。 百福が持つ張国文の特許に対し金を出したのは、商社でした。

2019-02-21 02:59:17
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”切り札を見せつけられ、日清食品の特約店である伊藤忠商事、三菱商事、東食などが、競って、日清食品への資金導入に力をつくしたといわれている。” わずか数年前に横領罪で有罪となり、無職無一文だった安藤百福に、商社が大金を出していたのです。 pic.twitter.com/wphgiUYNhp

2019-02-21 02:59:17
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百福が張国文の特許を買収することで手に入れたのは、それまで百福が持っていなかった「信用」でした。 商社は特許が持つ信用力に対して、投資を行ったのです。明日に続きます。

2019-02-21 02:59:17

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堀外記 @jemappellety

呉百福、すなわち安藤百福が業務上横領の容疑で取り調べを受けている旨を報じる新聞記事(画像は『朝日新聞』大阪本社版1958年1月9日付夕刊3面)。気になるのは記事右下の箇所。百福が泉大津でやっていたのは砂糖の密輸だったのか? pic.twitter.com/rC8aZxIEe0

2019-02-18 17:42:36
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@jemappellety これは、非常に興味深いですね。朝日新聞本社記事にはない情報が。製塩ではなく砂糖密輸。巣鴨プリズンではなく強制労働4年。

2019-02-21 03:11:46
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@jemappellety twitter.com/ksk18681912/st… 許炎亭が言っていた「いかがわしい貿易商」とは砂糖密輸のことだったのかも

2019-02-21 03:14:05
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背任横領容疑で裁判にかけられていた安藤百福は、夏に拘置所(文中には刑務所とあるが裁判中なので拘置所の間違い)から出所。 出所直後に華僑の知り合いだった許炎亭にバッタリと出合います。 画像はその時の様子を語る許炎亭の証言です(財界展望昭和58年5月号) pic.twitter.com/PJShJrt6JS

2019-02-12 03:04:17
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谷山義彦(@jemappellety)さんが、呉(安藤)百福への横領容疑での捜査を報じる昭和33年1月9日の大阪本社版朝日新聞記事を引用されています。 bit.ly/2Nhju1e 私が引用した東京版より詳しく、東京版にはない情報が載っています。

2019-02-22 03:10:31
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安藤百福の嘘の自伝ストーリーですと、昭和31年に信用組合倒産、無一文になり昭和32年から一人でインスタントラーメン開発のはずですが bit.ly/2SpkDJ4 実際には昭和33年まで信用組合は存続し、百福も理事長は辞任しましたが代表理事にとどまっています。

2019-02-22 03:10:31
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裸一貫で小屋に閉じこもりインスタントラーメン開発どころか、朝日新聞で報道されている容疑が事実だとすると、その時期は理事長もしくは代表理事として、信用組合から横領した金を香港などに蓄積していたことになります。

2019-02-22 03:10:31
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また、谷山義彦さんが指摘していますが、記事には百福が泉大津で砂糖密輸を行っていたとありますね。 ”なお呉前理事長(注 安藤百福のこと)は終戦直後、泉大津で砂糖密輸事件に引っ掛かり、米軍裁判で重労働5年の判決を受け、約4年服役して出所”

2019-02-22 03:10:32
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泉大津では若者を集めて塩づくりをしていたはずですが、泉大津で製塩ならぬ砂糖密輸?これは初耳です。 bit.ly/2EmpZgy

2019-02-22 03:10:32
リンク NIKKEI STYLE 泉大津に拠点――造兵廠跡 若者集める 餓死者見て、「食」へ転向決意|出世ナビ|NIKKEI STYLE 戦災によって、私が取り組んできた事業はすべて灰燼(かいじん)に帰した。何から再出発すればよいのか。とりあえず、久原房之助さんの勧めで土地を買った。ほかの商品と比べると、土地は安かった。窮乏の時代だったので、食べていくために土地を手放す人が… 3
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しかも”米軍裁判で重労働5年の判決を受け、約4年服役して出所” 安藤百福の自伝ストーリーでは無実の脱税で重労働4年のところ2年で出所とありますが、朝日新聞では砂糖密輸で4年重労働の服役となっています。 bit.ly/2T83rbn

2019-02-22 03:10:32
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