消えゆく学会 ~問い直される学会の役割と社会との関係性~
- sakumad2003
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大型の研究費の審査でも,専門の審査員だけではなく意図的に専門外の審査員も加えて,広い視点から評価を行うこともよく行われる.
2011-07-30 17:58:36専門外からみると,まず頼りになるのが○○学の学会である.社会的な調査で○○学会は○○学についてのきちんとした学会であるという前提が確認できると,○○学会から公表されている情報・価値判断を標準であるとして出発点に置くことはできる.
2011-07-30 18:03:03研究者たるもの,たとえ学会の発する情報であっても鵜呑みにしてはいけないのは当然であるが,比較の基準が得られるとずいぶん助かる.
2011-07-30 18:04:24たいていの学会は,○○学に関する分類表を有し,論文や発表の分類に使用しているが,その構造は,大学での教育体制,研究費の募集分類,種々の調査を行う時の基礎など,たたき台として有用であろう.
2011-07-30 18:09:42また,学会でどれだけ論文を執筆したか,賞をとったかといった情報は,種々の人物評価の基礎資料として有用である.
2011-07-30 18:10:45学会活動は,ボランティアと自己顕示の混じったものであるが,そこでどのような活動を行ったかという実績から(限られてはいるが)協調性,積極性,リーダーシップなどを評価するための資料として有用だ.
2011-07-30 18:14:17③○○学会は○○学に関わる人たちを束ねている.学会活動は査読などごく一部を除いてすべて顕名でおこなわれるので,学会の記録を見ると,誰がどのような活動をしているかすぐにわかる.
2011-07-30 18:17:19一定の秘密が存在する企業はもとより,大学においてすらもだれがどのような活動をしているかを外から見ることはあまりできないことを考えると,学会の透明性・顕名性の効果は顕著である.
2011-07-30 18:19:31学問は人間の活動である,○○学の活動の様子を知りたければ○○学会に行ってその活動に関わっている人と直に話をすればよい,という構図が成立する意義は大きい.
2011-07-30 18:29:13④学会は学術をする人たちにパブリックスペースを提供している.このことの意義は大きい.社会的な秩序を守りさえすれば,誰でも学会のイベントに出かけて行って意見を言うことができる.
2011-07-30 18:32:04学会には,意見を真摯に聞いてくれるばかりか,論文を査読して,「ここに書かれていることは,学会の信頼するメンバーが読む限り,新規かつ有用かつ妥当な情報であると言える」という太鼓判まで押して学会論文誌に掲載してくれる.
2011-07-30 18:35:00ただ一人で思索を重ねることで学術ができる人がいるかもしれないが,それは稀有の存在だろう.普通の人は,議論を戦わせることで,自分の考えのいいところを認識するとともに,限界や不足点を知り,次の活動につなげることができる.
2011-07-30 18:43:04議論がパブリックな場で行われるということの意義は大きい.理想的には科学の名のもとに,子皆の前で対等の立場で議論が行われる.
2011-07-30 18:44:57(publicでない)飲み会には飲み会の議論の楽しさがあり,良さがあるのはもちろんだが,そこでは人間関係が議論に影響するばかりか,あいつはうるさいから,あるいは,意見が違うからという理由で呼んでもらえない人がいることに注意しなければならない.
2011-07-30 18:48:22飲み会で出た話は面白い発想や視点によるものや,盛り上がって深化することも多いが,publicでないという観点での弱さもある.
2011-07-30 18:49:52学会でも交流会があり,non-publicなインタラクションの場を提供するが,主役はpublic discussionである.それゆえに,社会からの信用を得ているのだ.
2011-07-30 18:51:36もちろん,著者から見れば良質の査読者に読んでもらえること,査読者から見れば良質の論文を読めること,が望ましいのは間違いない.
2011-07-30 19:09:25たいていの査読はボランティアであり,多大な時間を要する.どれだけの熱心なボランティアを集められるかで,組織としての学会の価値が決まる.
2011-07-30 19:10:34⑤学会はけいこ場である.誰でもはじめからestablishされているわけではない.それどころか人生ずっと稽古の連続だ.「学会に行って揉まれてよかった」といわれるような学会は素晴らしい.
2011-07-30 19:12:39どれだけの人を輩出したかという観点は組織としての学会の自己診断指標になるだろう(これは,「消えゆく学会」シンポジウムでの植田先生の発言にinspireされた).
2011-07-30 19:14:03もう少し若い世代をみると,その学会をホームグラウンドとする博士課程学生がどれだけいるかが,指標になるだろう.
2011-07-30 19:16:13⑥実験の場としての学会.技術を社会で試すことは難しいし,コストもかかる.実験の意義やリスクを社会でいきなり説明するのも大変だ.まず,当該学問に対するコミュニティであり,多くの背景が共有されている学会でまずボランティアを募り,実験することができる.
2011-07-30 19:23:10一定のハードルはあるが学会の名のもとで,社会実験を行うことのできる.学会のアクティビティであれば,同志とチームを作り,ある程度の規模の活動もできる.
2011-07-30 19:25:11