先史時代アメリカ(2021年2月13日更新)

1492年以前のアメリカに関する講義ツイートをまとめています。 順次追加予定です。
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人類史以前のアメリカ自然史(2021年2月5日)

Mr. HB @USHist_English

【先史アメリカ】 Kennedy and Cohen, "American Pageant"を元に、先史時代アメリカの短い講義をしようと思います。今日のテーマは「人類史以前のアメリカ自然史」です。

2021-02-05 21:44:02
Mr. HB @USHist_English

今日の話は高校地理選択者なら周知のことかもしれません。 まず、地球はかつてパンゲア大陸という一つの陸海であったが分裂して今の大陸分布が形成された、というのは有名ですね。しかし、アメリカ大陸はどのように形成されたのでしょうか?それを軽く見ていきます。

2021-02-05 21:47:55
Mr. HB @USHist_English

北米大陸東部のアパラチア山脈は約3億5000万年前に形成されたと考えられています。これはパンゲア大陸の分裂以前だそうです。それに対して、北米大陸西部のロッキー山脈などは1億3500万年前から2500万年前にかけて形成されたと見られており、比較的新参者ですね。北米大陸は東から先に出来たのです。

2021-02-05 21:50:56
Mr. HB @USHist_English

東が古いことは北米大陸北東部に「カナダ楯状地」があることからも分かります。楯状地は定義からして極めて安定した地殻を言います。また、カナダ楯状地が北米大陸のうち最初に海面上に出た部位だと言われています。パンゲア大陸時代は海中に沈んだまま分裂したんでしょうかね。

2021-02-05 21:55:31
Mr. HB @USHist_English

次に、アパラチア山脈東部の東海岸部は"海岸低地帯"(tidewater)と言い、特にヴァジニア州の地形を指します。地理的に場所を表現する際によく使う言葉です。そして同山脈西部にはミシシッピ峡谷を底とする広大な盆地があります。この盆地帯の西部を縁取るのがロッキー山脈、通称"アメリカの屋根"です。

2021-02-05 22:01:50
Mr. HB @USHist_English

ロッキー山脈の西部にもGreat Basinという大盆地があり、その西端ではシエラネヴァダ山脈とカスケード山脈に囲まれます。ネヴァダ州を中心とするこの大盆地を西に抜けるといよいよ西海岸に到着です。ただし、海岸の目前にも険しい山々が広がってますが。シアトルはこの山々にも市街地があります。

2021-02-05 22:06:53
Mr. HB @USHist_English

北米大陸の地形生成の最後を飾るのが約200万年前に始まった氷河期とその終焉(約1万年前)です。まず、分厚い氷の重みでカナダ楯状地が凹み、窪地もあちこちに出来ました。氷河期が終わると溶けた氷や氷水が地表を暴れ回り、現在の地表を形成します。また、溶けた水が窪地に溜まって湖となりました。

2021-02-05 22:11:21
Mr. HB @USHist_English

こうして出来たのがいわゆる五大湖です。五大湖の水がセントローレンス川に流れるようになると五大湖の水位が下がり、ミズーリ川、ミシシッピ川、オハイオ川を満たしました。これらの川系がアパラチアーロッキー間の広大な盆地帯に水を流し込むことになります。このような現象は西部でも起きました。

2021-02-05 22:15:35
Mr. HB @USHist_English

西部で面白いのがボネヴィル湖の事例です。この湖も溶けた氷が流れ込み、太平洋に流していたのですが、やがて氷が縮小して雨量が減り、この湖の水位が下がります。すると太平洋に排水できなくなり、内陸湖となりました。湖がゆっくり蒸発していった中、今でも残っているのがソルトレークです。

2021-02-05 22:19:36
Mr. HB @USHist_English

氷河期はベーリング海峡に陸橋を出現させたことも非常に重要ですが、ここからはアメリカ人類史の話になります。そんなわけで、今回の講義はここまでです。次回はアメリカ人類史の曙を見ていきましょう。【終】

2021-02-05 22:22:25

アメリカ人類史の曙(2021年2月7日)

Mr. HB @USHist_English

Kennedy and Cohen "American Pageant"を元に、今日も短いアメリカ史講義をします。テーマは「アメリカ人類史の曙」です。1492年以前の先史時代を駆け足で見ていきましょう。

2021-02-07 20:37:09
Mr. HB @USHist_English

ご存知の通り、氷河期のベーリング海峡には陸橋がありました。今から35000年前に現れたと言います。氷河期が終わるまで、人類は恐らく獲物を追いかけながらアメリカ大陸に足を踏み入れてきたと見られます。ただし、氷河期が終わるまではあまりアメリカ大陸の奥深くまで入れなかったようです。

2021-02-07 20:39:48
Mr. HB @USHist_English

氷河期が終わると氷に埋もれていた峡谷が姿を見せ、アメリカ大陸の人類は移動が容易になります。こうして南米大陸南端まで人類は広がっていきました。南北アメリカ大陸の1492年までの人口は論争が続いていますが、一説には5400万人とも言われています。

2021-02-07 20:44:07
Mr. HB @USHist_English

ペルーのインカ族、中央アメリカのマヤ族、メキシコのアステカ族は優れた文明を誇ったことで日本でも有名です。トウモロコシ(maize)栽培が盛んで、メキシコだけで2000万人を養えたとも言います。紀元前5000年頃に高地メキシコで作物化されアメリカ中に広がりましたが、その過程は緩慢で不均一でした。

2021-02-07 20:49:02
Mr. HB @USHist_English

実際、現在の合衆国南西部には紀元前2000年までにトウモロコシ農業が伝来しましたが、砂漠を超えてより北ないし東の方に伝わるのはもっと後のことです。ともあれ、南西部にはプエブロ文化が栄え、リオグランデでは綿密な灌漑システムが築かれ、数階建てのテラス付き建物に人々は住んでいました。

2021-02-07 20:53:11
Mr. HB @USHist_English

日本では有名じゃないですが、北米大陸ではオハイオ峡谷のマウンドビルダー(Mound Builder)文化、中西部の南側のミシシッピ文化、南西部のアナサジ(Anasazi)文化がよく知られています。アナサジ文化はニューメキシコなどで栄え、チャコキャニオンには数百もの部屋が繋がったプエブロ住宅がありました。

2021-02-07 20:57:05
Mr. HB @USHist_English

現在のイリノイ州イーストセントルイス近郊のカホキア(Cahokia)ではミシシッピ文化が特に栄え、一時は25000人もの人口を擁する都市がありました。しかし、紀元1000年期にトウモロコシ栽培を導入したこれらの文化はいずれも1300年までに衰退しました。旱魃のためとも言われますが、今も原因不明です。

2021-02-07 21:00:28
Mr. HB @USHist_English

ところで、アメリカのトウモロコシ農業はマメ(bean)とカボチャ(squash)も重要で、これらを三姉妹農業とも言います。トウモロコシの茎が蔓になってその上にマメが育ち、カボチャがトウモロコシの株元を覆って湿気を保つのだそうです。北米大陸南東部に三姉妹が伝来したのは1000年頃だとされています。

2021-02-07 21:04:18
Mr. HB @USHist_English

三姉妹の伝来はチョクトー、クリーク、チェロキーなど大規模な部族を生みました。16世紀の伝説的指導者ハイアワサが作ったとされるイロコイ連合はアステカやインカにも匹敵するとも言います。実際、イロコイは近隣の部族やヨーロッパ人入植者の脅威でした。それでも北東部の人口は全体的に疎らでした。

2021-02-07 21:07:53
Mr. HB @USHist_English

ネイティブ・アメリカンと自然の関係も軽く見ておきましょう。確かに北東部ではシカ狩りのため森林を焼き払うことがあり、そのため北東部森林地帯は開拓地のような光景になっていました。しかし、1492年時点でのメキシコ以北の人口は約400万人と見られ、到底自然を支配することなど出来ませんでした。

2021-02-07 21:11:35
Mr. HB @USHist_English

つまり、ネイティブ・アメリカンは自然破壊を全くしないわけではないが、人口的にその程度は知れていたのでした。最後に、彼らは女系文化であったこと、女性が畑仕事を担っており独立性が高かったことも付言します。 今回はここまでにします。次回は「コロンブス以前の航海探検」を扱いましょう。[終]

2021-02-07 21:17:31

コロンブス以前のヨーロッパ航海探検(2020年2月13日)

Mr. HB @USHist_English

Kennedy and Cohen "American Pageant"で今日もアメリカ史の短い講義を。テーマは「コロンブス以前のヨーロッパ航海探検」です。意外と知られていない分野かと思います。

2021-02-13 10:14:25