タタ村備忘録:おすすめの一冊シリーズ
- tatamullina
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自分の備忘録のためでもあるのだけれど、TLには研究関心が近い人も多いと思うので、最近読んで面白かった一冊、改めて読んでお勧めしたい一冊など、主に私の研究関心(タタール、ディアスポラ、中央アジア、言語継承、移動、移民など)と独断に基づいて不定期にご紹介することにし始めた今日この頃。
2021-08-20 15:19:01ところで毎回の本紹介に登場するのは、いつものふわふわのオオサンショウウオではなく、こちらのSサイズオオサンショウウオ。ふわふわの皆さんは全員に名があるのに、この子にはまだ明確な名がないので、まだ名を持たないあの方、とмедведьのような状態で早1年……(私は無類のオオサンショウウオ好き) pic.twitter.com/RDV5KiivTm
2021-08-20 15:33:27猿橋順子(2021)『国フェスの社会言語学:多言語公共空間の談話と相互作用』三元社.
猿橋順子(2021)『国フェスの 社会言語学:多言語公共空間の談話と相互作用』三元社。最近ようやく読めた本の中でもとびきりに楽しい1冊だった。談話だけでなく言語景観や記号論、日本に暮らす移住者たちのコミュニティの話だけでなく、コロナ禍以降の話まであり、まさに"いま・ここ"の研究という感じ。 pic.twitter.com/xsfhbfXSmP
2021-10-14 22:52:46長谷川瑞穂(2019)『先住・少数民族の言語保持と教育―カナダ・イヌイットの現実と未来』明石書店.
長谷川瑞穂(2019)『先住・少数民族の言語保持と教育』明石書店。私は中央アジアのタタールを対象に、著者と近い関心を持っていることもありとても楽しい1冊だった。カナダの多文化主義&マイノリティの言語教育に関して、豊富な事例から学ぶことができる。事例を読むのが好きな人にはたまらないかも。 pic.twitter.com/aVH2cIkJL2
2021-09-01 16:03:59アナトラ・グリジャナティ(2016)『中国の少数民族教育政策とその実態―新疆ウイグル自治区における双語教育』三元社.
アナトラ・グリジャナティ(2016)『中国の少数民族教育政策とその実態』三元社。中国もタタールの居住国の1つなので、中国の少数言語教育について学ぼうと手に取ったが・・漢語教育による利益を指摘しながらも、その現状はあまり上手くいっていないことを現地調査から淡々と描き出す点に圧倒された。 pic.twitter.com/V023ugRPPr
2021-08-28 12:36:27著者は今も新疆で働く方なのだろう。漢語教育そのものや、民族語の使用範囲の狭まりに関する前提を問うといったことはしていない(恐らく避けている)のだが、現地調査の知見を淡々と述し、特に教員の素質が追いついていないこと、民族語でなければ難しい道徳教育があることを指摘するのは見事だった。
2021-08-28 12:36:28寺尾智史(2021)『ミランダ語が生まれたとき―ポルトガル・スペイン辺境における言語復興史』三重大学出版会.
寺尾智史(2021)『ミランダ語が生まれたとき』三重大学出版会 遂に読了。98年に"方言"ではなく"言語"として認定されたミランダ語について。 日本にも多くの"方言"とされることばがあり、その多様性は損なわれつつある。"方言"と"言語"の境目はどこにあるのか。このあたりの難しさにも丁寧に触れた1冊。 pic.twitter.com/JQ4kGvVLQd
2021-08-26 10:42:00少数言語がどう生き延び、これからどのように守っていくのか、というメインテーマはさることながら、個人的にはよく分かっていなかったポルトガルという国の近代から現代までの流れが、言語という話題をかませることでよく理解できた。ポルトガルの興隆と凋落は、何となくこの国にもかぶって見える……
2021-08-26 10:47:31ジム・カミンズ &マルセル・ダネシ(著)、中島和子&高垣俊之(訳)(2020)『新装版 カナダの継承語教育―多文化・多言語主義をめざして』明石書店.
改めてJ.カミンズ&M.ダネシ著、中島和子&高垣俊之訳(2020)『新装版カナダの継承語教育』明石書店 再読。 州による違いも大きいが、カナダの継承語教育のカリキュラムは興味深い。ケベックには数年前にタタール語幼稚園と日曜学校が開校したのでこの夏調査訪問する予定だったのになあ、と思いつつ。 pic.twitter.com/BgKg6mGex4
2021-08-23 23:45:33パトリック・ハインリッヒ&松尾慎(2010)『東アジアにおける言語復興―中国・台湾・沖縄を焦点に』三元社.
修士時代に購入した パトリック・ハインリヒ&松尾慎(2010)『東アジアにおける言語復興』三元社 を再読。いつか沿ヴォルガ諸言語をテーマにこうした本が出せたらと夢見ている。社会言語学者はとかく言語にばかり目が行きがちだが、言語だけが救われるべきなのか、という視点を思い出させてくれる一冊。 pic.twitter.com/sp3eqBNYyT
2021-08-20 15:11:39カリド・コーザー(著)、是川夕(監訳)、平井和也(訳)(2021)『移民をどう考えるかーグローバルに学ぶ入門書』勁草書房.
K.Koserの"International Migration"の邦訳版である是川夕監訳、平井和也訳(2021)『移民をどう考えるか』勁草書房 も入手して嬉しい1冊だった。移民や移動に興味を持ち始めた修士時代に勧められて原書を手に取ったけれど、やはり第1言語で読めるのは大きい。同じく移民や移動に関心のある方はぜひ。 pic.twitter.com/Wndq1w1H31
2021-08-19 12:54:30