長音符の使用は、どこまで遡れるか?

片塩二朗氏の論考に端を発する、長音符「-」の発生に関する考証。17世紀末まで遡れるとは意外でした。それにしても、こうした実証がオンラインでできるとは、片塩氏などには恐ろしい時代になったのかも。
18
前へ 1 ・・ 5 6
2SC1815J @2SC1815J

吉澤義則「本邦音符考」や国語学会『国語学大辞典』では、中山忠親『山槐記』に長音符の使用例が見えると指摘している。「本邦音符考」 http://t.co/Uy6ad0Ri は同記治承二(1178)年正月十八日に「的懸 マートーカケ」とあるがこの一句のみで他の場所には見えないとする。

2012-04-18 08:05:23
2SC1815J @2SC1815J

国語学会『国語学大辞典』「長音符」の項では、『山槐記』仁安二(1167)年条に「神祇権大副ー朝臣」とあるのが長音符だとしているが、もしこれが長音符だとしてどのように発音することを示しているのだろうか。同辞典でも「古写本を求めて確かめるべきであろう」としている。

2012-04-18 08:07:09
2SC1815J @2SC1815J

『山槐記』におけるこれらが本当に長音符として使われているのか個人的には疑問であり、仮に長音符として使っていたとしても個人的工夫に留まっていた可能性が高いこと、また、自筆本もしくは書写年代が明らかな写本を見ない限り判断できないことから、昨年の調査では検討対象から除外した。

2012-04-18 08:08:53
2SC1815J @2SC1815J

その中山忠親『山槐記』がNDL古典籍資料の4月9日追加分で公開されていた。書誌情報に「治承二正月之残欠 自筆」とある。治承二年正月十六日「舎人 二音トーネーリー」 http://t.co/7aiaJZ7A 同十八日「的懸 マートーカケ」 http://t.co/A8jQfeJR

2012-04-18 08:10:20
2SC1815J @2SC1815J

やはり『山槐記』が長音符最古の使用例というのは疑問。河口良庵「寛文十庚戌歳阿蘭陀語」(1670年)の「ロサード 南蛮茨花」 http://t.co/gSx5UVzF あたりより遡る妥当な使用例は未見という認識で変わらず(図は古河歴史博物館『日本の解剖ことはじめ』p23より引用)。

2012-04-18 08:12:09
拡大
2SC1815J @2SC1815J

国語学会『国語学大辞典』が長音符の項で「ー」を用いた最古例として挙げる「神祇権大副ー朝臣」は、中山忠親『山槐記』仁安二年三月十六日 http://t.co/YK1lHQ7l に見られる。翻刻で見ても判断できないが、使われ方からしてこれを長音符とするのは無理がある気が。

2012-04-19 21:50:17
2SC1815J @2SC1815J

今のところ長音符の初期使用例ではないかと思っている河口良庵『阿蘭陀語』(1670年)について、川島恂二「河口良庵著(寛文十庚戌歳)『阿蘭陀語』本に就いて」『日本医史学雑誌』39(1)(1469)が、NDL館内限定ながら先週から閲覧可能に。 http://t.co/Z4owVGqn

2012-04-19 21:55:58
小形克宏 @ogwata

@2SC1815J たしかに、どんな長音を表わしているのか疑問ですね…。

2012-04-19 22:32:59
2SC1815J @2SC1815J

@ogwata 国立公文書館内閣文庫で所蔵している『山槐記』の諸写本は公開されているので(デジタル画像は無)、見に行けば検討を深められますが、ハズレくさくてそこまでしなくてもいいかなあという気も。(昨夜のお話、日本近代文学館の複写モノクロ一枚100円とは、確かに破産しますね!)

2012-04-19 23:02:57
2SC1815J @2SC1815J

吉永升庵『当流伝記要撮抜書』(1681年)、長音符の初期使用例と考えられる「アバアカゾーン」が国立国会図書館デジタル化資料にてカラー画像で確認できる http://t.co/ShwknzAF 。詳しくは http://t.co/lN2A56Ui の第三章参照。

2012-05-10 23:10:44
2SC1815J @2SC1815J

昨年、NDL古典籍資料室にて『当流伝記要撮抜書』を確認した際は白黒マイクロフィルムによる閲覧だったが、デジタル化資料によってカラーで閲覧できるようになり、「アバアカゾーン」など長音符の初期使用例と思われる箇所が朱書きではないことが明確になった。 @2SC1815J

2012-05-10 23:53:44
前へ 1 ・・ 5 6