三国志こばなし集2024年1月号(下)三国時代編

何でもありの三国志の会話劇こばなし集です 2024年度は上旬を現パロ編、下旬を三国時代編に切り替えていきます
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三国志こばなし集 @omikanboy3594

孫「…元気なくしちゃった?」 李「…おっさんの昔話を聞いてくれるかい、孫仁ちゃん」 孫「はい」 李「俺は若い頃、袁紹殿に仕えててな」 孫「そうだったんだ」 李「そこから三男坊の袁尚殿の部下になってから曹操様と戦になった」 孫「…」 李「包囲された味方に援軍を知らせる役目になったんだが」

2024-01-28 12:40:22
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孫「怖くなかった?」 李「怖えのなんの!味方も三人だけにしたからな!」 孫「ええ…」 李「もともと曹操軍の大将のふりして行くつもりだったからよ!」 孫「バレなかったんだ!」 李「だから今ここに生きてるってね!」 孫「すごい大手柄じゃない!」 李「何だがな」 孫「…うん」 李「…」 孫「…」

2024-01-28 12:40:23
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李孚「曹操様と戦が起きちまった理由ってのも、俺が援軍報せに行った審配って大将にあったらしくてな?」 孫仁「そうなの?」 李「袁紹殿の世継ぎ争いの元凶だったらしい」 孫「…」 李「あの頃の俺にゃ袁尚殿が世継ぎになったのに、なんで袁譚兄貴が文句言ってんのか分からなかったからよ」 孫「…」

2024-01-28 13:26:52
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李「俺には馮礼って兄貴がいた」 孫「馮なの?」 李「俺も元々は馮孚だったが、養子に出されてな」 孫「…」 李「兄貴は曹操に寝返ろうとして、審配に殺された」 孫「え…」 李「それを知ったのも、ずっと後の話だ」 孫「…」 李「俺は卑怯者を助けるために、てめえも卑怯者になっちまった気がしてよ」

2024-01-28 13:26:53
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孫「…」 李「あの頃は、何が正しくて何が間違ってたのかまるで分からなかった」 孫「…そうだったと思うよ」 李「あの頃の俺が間違ってたとは思わねえ。だが、未だにあの時の俺の卑怯な決断や判断のせいで、兄貴や鄴の人たちを死なせちまったんじゃねえかって気持ちが、捨てらんねえんだ!」 孫「…」

2024-01-28 13:26:53
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孫仁「すごく正直な人ですものね、李孚殿は」 李孚「こんな卑怯者が正直者かい?」 孫「本物の卑怯者は、自分が卑怯なんじゃないかって思いもしないじゃない?」 李「…ああ。覚えがあるぜ」 孫「それに、今の李孚殿はご自身をこれ以上卑怯者と思いたくないって気持ちに、とても正直だった」 李「…」

2024-01-28 13:47:13
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孫「その頃は子どもの私が、言っていいのか分からないけど…」 李「言ってくれないかい?」 孫「李孚殿は乗馬の達人でしょ?」 李「ああ。だから援軍の報せ役を買って出た」 孫「正直!」 李「…」 孫「李孚殿くらい大きな声で迫力ある人だったら、敵の大将のフリができると思った?」 李「当たりだ」

2024-01-28 13:47:14
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孫「正直!」 李「孫仁ちゃん…」 孫「それで任務をやり通したんでしょ?」 李「…ああ…そうだったよ」 孫「完璧な正直者じゃない!李孚殿!」 李「…俺は、本当にそう思っていいのかい?」 孫「私が保証する!」 李「…ありがとな」 孫「私はたくさん李孚殿に教わったもの!これでおあいこだよ!」

2024-01-28 13:47:14
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孫仁…明日は李孚殿に騎射を習おう。 李孚…昔の自分をようやく少し許すことができたかもしれない。

2024-01-28 13:47:17
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孫静「よくもつまらん事をしてくれたな、伯和」 孫暠「…」 静「私は故郷で静かに暮らせれば良いだけの人間だ。しかし時勢がそれを許さず、伯符殿の元へやむなく馳せ参じたのはお前も知っているな」 暠「…はい」 静「最も私の故郷近くの戦だ。伯符殿も王朗も知らん事はいくらでもあった、簡単な戦だ」

2024-01-28 17:53:59
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暠「…」 静「あの程度の手柄で伯符殿の元に置かれ、彼の激しさについていくことなど私には到底不可能だ。だから官を受けず故郷に帰った。分かるな?」 暠「はい…」 静「私は伯符殿が遠からず死にかねない事は危惧していた。しかし、これほどまでに早く死ぬとは思わなかったのだよ、伯和」 暠「…」

2024-01-28 17:54:00
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静「私は伯符殿にはついて行けぬと思っていたが、仲謀殿ならば上手くやれる自信はあった」 暠「…あの程度の小僧に」 静「私が密告したとはいえ、虞翻如きに静止され、謀反を諦めたお前が言うのか?」 暠「父上が!?」 静「当たり前だ。お前を除いた弟たちは出来が良い。連座させる訳にいかん」 暠「」

2024-01-28 17:54:00
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孫静「故郷の友を守れれば良いと思っていただけの私が、仲謀殿の元で新たな仕事ができると思っていたというのに…」 孫暠「それは?」 静「関係ない。誰かのためにとうに捨てた官だからな」 暠「」 静「伯符殿が死んで間もない中、我ら一族を処断する訳にもいくまい。私とお前の隠遁で既に手を打った」

2024-01-28 17:55:02
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暠「隠遁ですと?」 静「ああ。孫瑜以下の弟に一族はお咎めなしときたものだ。古の謀反人一族の処遇からして信じられんだろう?」 暠「…私は、そこまで一族を率いる資格がなかったのですか、父上?」 静「伯符殿に敵わなければな」 暠「あんな化け物と比べないでくだされ!」 静「だから資格がない」

2024-01-28 17:55:03
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暠「仲謀よりも?」 静「お前は李術の事を知っているか?」 暠「廬江太守の?」 静「知らぬならばいい。やはりお前には資格がない」 暠「…何なんですか、あいつら」 静「江東の虎の倅たちだからな。そもそもお前たちとは出来が違う」 暠「瑜も皎らも?」 静「奴らはお前よりも生き方を分かっている」

2024-01-28 17:55:04
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孫暠「私はどうすれば良かったのですか、父上」 孫静「もし虞翻に静止されず、会稽まで攻める事ができたらどうした?」 暠「そのまま会稽を攻めるまで」 静「あの虞翻が伯符殿の葬儀にも駆けつけず、身体を張って守ろうとしたのだ。私が密告せずともお前には到底落とせなかっただろうよ」 暠「そんな」

2024-01-28 18:20:43
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静「要するに、お前には忠臣が一人もいない」 暠「」 静「仲異のように賓客を招くわけでもない」 暠「…」 静「私の嫡男だからと自身を鍛える事を怠ったお前と伯符殿の違いではないかな」 暠「…私を自裁させてください、父上」 静「そう言うな、伯和。私も隠遁するならば、見知った身内が欲しかった」

2024-01-28 18:20:43
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暠「…二度と私は天下に関われないのですか?」 静「死ななかっただけましだと言った」 暠「では、私の子孫は?」 静「さあな。あくまで私とお前の隠遁という処罰しかされぬはずだ」 暠「承知しました、父上」 静「どうした、伯和?」 暠「なにか?」 静「今更になって、良い目になったぞ?」 暠「…」

2024-01-28 18:20:44
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孫静…孫堅の弟。彼の息子には孫暠の他、孫瑜や孫皎に孫奐といった優秀な息子が。

2024-01-28 18:20:49
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孫暠…孫静の長男。孫策や孫権といつも比べられていたであろう不憫な嫡男。孫策急死に託け、本拠の会稽を堕とそうと謀反したが、虞翻に食い止められ、なし崩しで中断した。その後は父と共に官を引いて故郷に隠遁。その恨みが募りに募った結果が…? 作者注…字の伯和はオリジナルである。

2024-01-28 18:20:49
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孫権「よくぞ集まった子ども達よ」 孫登「…」 諸葛恪「…」 顧譚「…」 張休「…」 陳表「…」 権「獅子は我が子を千尋の谷に叩き落とし、登ってきた子どもを認め育てたという」 張昭「今からお前達を谷底に」 諸葛瑾「まず我らからやりませんか?」 顧雍「賛成です」 陳武「まず親が背中を見せねば」

2024-01-29 08:52:42
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権「安全性に配慮してから始めんか!」 瑾「配慮する前に子どもたちにやらせようとさせましたな?」 雍「つべこべ言わずに這い上りなさい」 武「お先に」 昭「…力が」 表「父上速い!」 恪「軍人だからな」 譚「お爺様もすごい」 休「それに引き換え…」 登「我らの父上たちは…」 権「やいやい!」

2024-01-29 08:52:43
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昭「待たんか鼻垂れ主君が!」 権「石でも喰らえ!」 昭「くっ!」 権「ざまあない…!?」 昭「落ちとるじゃありませんか!ざまあない!」 権「黙れ!」 武「やれやれ」 瑾「さっさと登ればよいのに」 恪「帰りたいです父上」 雍「最下位の者はもう一往復ですからな」 権・昭「!?」 登「さすが顧雍殿」

2024-01-29 08:52:44
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顧雍…孫権と張昭を巧みに操る裏の権力者。 諸葛瑾…撮れ高は? 陳武…罵り合いばかりなので放映は難しいかと。 孫登…かっこいい父の姿を見てみたい。 諸葛恪…驢馬は崖登りが巧みですからね! 顧譚…お爺様って強いんだな… 張休…みっともない父の姿にため息。 陳表…父みたいな武人になりたい。

2024-01-29 08:52:47
三国志こばなし集 @omikanboy3594

孫権…結局時間いっぱいで、みんなに置いて帰られた。 張昭…登ってみたら意外と登れて拍子抜け。みっともなく騒ぎ立てるんじゃなかった。

2024-01-29 08:52:47
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