「戦国の軍隊」の読後感想から始まる、信長人気の分析。
- tetteikaikyou
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最終章の第八章で、著者は信長と秀吉の強さに迫ります。おそらく、読者が一番関心をもつ箇所でしょう。既に述べたとおり、長柄と鉄砲を装備した歩兵の組織的運用も、金で雇った傭兵が主力なのも、現地調達頼みの兵站も、当時では当たり前で信長や秀吉も同条件で戦っていました
2012-03-23 23:22:12軍制も武装も兵站も優越していない、信長や秀吉が勝ち残ったのはなぜなのか。作者はまず、「士官である侍の強さ」を指摘します。通説では門閥に支配されているとされる他大名も、実際は当主が有能な人材を側近に登用したり、有能な官僚や士官を排出するシステムが存在していたことを著者は指摘します
2012-03-23 23:28:38どの家でも有能な侍を登用するシステムがあるので、織田や豊臣の侍の強さは、システムの強さではないのです。それなのに強いのはなぜかといえば、「ずっと戦ってたから弱い侍はどんどん死んで、強い侍しか生き残れなかった。死んだ侍の穴埋めに、どんどん強そうな侍を新たに取り立てる必要があった」
2012-03-23 23:33:50「その結果、強くて勇敢で野心があって運が強い侍が大勢集まって、織田や豊臣はとてつもなく強い士官層を得ることができた。ずっと戦争ばかりしてたから、戦いが終わるたびに兵を解雇するということもなく、いつもたくさん兵を雇ってたから、他正面作戦に対応できた」
2012-03-23 23:40:34惚れ惚れするぐらい身も蓋もない結論でした・・・(´・ω・`) しかし、30年程度の期間でずっと戦争ばかりしてたら、システムなんか作る余裕が無いのも事実でして、既成のシステムを徹底的に使い倒して経験積んで、これ以上ないぐらい適応したのが信長や秀吉だということなのでしょうね
2012-03-23 23:45:31そして、本能寺の変とその後の織田家崩壊を招いたのは、まさに「強くて勇敢で野心があって運が強い侍ばかりいたから」としています。そういう侍の典型である光秀が「信長の身辺は手薄だから、討てばもっとのし上がれる」と謀反して、同類の秀吉が「光秀を討てばのし上がれる」と光秀を討って、
2012-03-23 23:51:14同類の信長重臣たちが、のしあがるためだけに動いた結果、織田家は崩壊したということなのですね。そして、秀吉が死んだらやはり、同類の野心的で現実的な侍たちがのし上がろうとせめぎ合って、家康の天下に。信長と秀吉の成功も失敗も、とことん戦国に適応したから起きたことなのですね
2012-03-23 23:56:55以上で感想終わり。英雄史観をまっこうから否定して、合理性の観点のみから戦国を切り取ったらこうなるのかと思いました。「長槍と銃を装備した傭兵の大軍が食べ物を食い尽くしながら移動する三十年戦争当時のドイツと同じじゃないか」と新しい地平が見えた気がします
2012-03-24 00:03:20@sweets_street 特に天正以降は、明らかに『勝ち馬に乗る』現象が起こってましたね。だからかさにかかって強くなる。
2012-03-23 23:35:26@1059kanri もともと武士ってそういう連中なんで、誰が勝ち馬なのかはっきり見えてきたら、あとは「バスに乗り遅れるな」となりますね。みんな戦国に揉まれて目端が利く連中だから、そのへんの嗅覚がとても鋭いです
2012-03-24 00:13:38@murajidash みんなが同じ条件で争ってる時に頭ひとつ抜ける理由なんて、本当に「なんだこりゃ?」みたいな理由だったりしますよね。あまりにも均衡していたら、その程度の些細な要素ですら均衡を崩す要素になります
2012-03-24 00:19:20プレイヤーが与えられた環境下で合理的に行動するほどに破滅に至る・破綻を増幅する均衡条件というのは、思われているより遥かに多いのではないかと思いますね RT @sweets_street: 信長と秀吉の成功も失敗も、とことん戦国に適応したから起きたことなのですね
2012-03-24 00:04:37@kumakiti2ch 合成の誤謬ですね。今の局面を乗り切るためなら正しい判断が、明日の破滅の種になるなんてよくあることですよね
2012-03-24 00:24:44@sweets_street 個人的にすごく腑に落ちる説明ですね。Q、どうしてあの人は強かったの?A、強かったから―という循環論が実は最も真理をつくことがあるという逆説。もっと言えばオンザジョブトレーニング、中央という性格上、年がら年中戦争する機会があったということですかね
2012-03-24 00:27:09@drkinokoru 名将だったら自分も敵も知恵も努力も極限までひねり出すのが当たり前の戦いをしてるから、「それで負けたら運だよな」というのが分かってるんです。スポーツのトッププレイヤーなんかもそうですね
2012-03-24 00:55:24@kumakiti2ch これだけ多くの要素が変化しながら複雑にからみ合っててたら、正直かっちりした正解なんて出ないですよね。かっちりした誤答はいくらでも出るんですが
2012-03-24 00:38:36@kumakiti2ch 「なぜ成功したのか」は分析してもよくわからない答えしか出ないですが、「なぜ失敗したのか」ははっきりと答え出ますよね。それなのにみんな成功した理由ばかり知りたがるのが面白いです。自己啓発詐欺し放題ですよね
2012-03-24 00:52:28@sweets_street 実は「失敗」の原因も本当はよくわかってないような気がしてたりします。「失敗の原因」を確定した気になっても、それを更にマクロな次元から見ると「ああ、でもこれ必要だったんだな、仕方ないな」みたいな感じになってしまって、運命論みたいになってしまいがちな…
2012-03-24 00:56:40@kumakiti2ch 「避けられない失敗だった」という答えがはっきりと出てるじゃないですか。「昨日生き残るために頑張ったおかげで、今日殺されることになった」って感じの失敗もあるわけですし
2012-03-24 01:04:09