東海道中膝栗毛 [初篇]

十返舎一九が1802年に発表した「東海道中膝栗毛」。ここでは「初篇」を現代語に超意訳しご紹介いたします。意訳ではありますが、ストーリーはかなり原作を忠実に再現しました。 「道中膝栗毛發端」エピソードゼロはこちら→ http://togetter.com/li/398358 【文中で使用されている表現は、時代背景や作者の意図を尊重しています。ご了承ください】
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現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

整理オヤジ「馬をひいている人は馬の口 (轡) をお取りくださーい」喜多「ウケケ、馬の口の取り外しができるのかよ」

2012-12-04 19:41:50
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

整理オヤジ「そこの人ー、背が高いですよー。お座りくださーい」弥次「おっ、俺のことか?そりゃ俺はな、愛宕の坂で身長190cmの九文龍と肩を並べた男だぜ?」喜多「石段に登りゃ誰だってあの大関より背が高くなるよ。バカ言ってないで頭さげろって」

2012-12-04 19:42:04
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「おいっ喜多、見ろよ。奴がどいつもいい男だなあー。裾をまくってカワイイ尻が並んでるぞぉ? 葭町の男娼の連中みたいだなーへへっ」喜多「なあ、弓を担いでる奴ら、頭のとこ変だぞ?笠の台が高すぎて首が伸びてるみたいだ」

2012-12-04 19:42:18
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

【中ぼん補足】今日の弥次喜多に出てきた葭町 (芳町) は、陰間茶屋 (ゲイバー) が数多くあった街だそうです。この辺りを参考にどうぞ。 http://t.co/V2AJw4T4

2012-12-04 22:24:47
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「それに羽織の長さが絶妙だな。暖簾から金○が覗いてるみたいな」喜多「殿様もいい男だなあ。毎晩女中を取っ替え引っ換えしてるんだぜきっと」弥次「ははっ、いくら殿様でもそう毎晩とはいかんだろ」

2012-12-04 19:42:34
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

喜多「だってほら、あの槍だってあの通り立ちっぱなし」弥次「このスケベが」喜多「さて、駕籠も行ったし俺たちも行こうぜ」

2012-12-04 19:42:46
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

しばらく歩くと、今度は宿はずれで馬を引く男たちに客引きされた。馬方「帰り馬です。安くしとくよ。いかがです?」帰り馬というのは、客をおろしたあと目的地から戻る馬の事だ。弥次「うん、安くしてくれるんなら頼もうかな」馬方「酒代くらいでいいっすよ。じゃあ2500円で」

2012-12-05 19:37:40
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

【中ぼん】江戸後期なので、一両を5万円として換算しています。帰り馬の料金2500円は実際は二百文です。

2012-12-05 19:38:21
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「よし、いいだろ」弥次喜多、二人で二匹並んで歩きだす。鈴の音がシャンシャンシャンと響き、時折馬がヒヒーンと鳴いた。途中、向こうから来た仲間の馬方とすれ違う。

2012-12-05 19:37:51
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

あっちの馬方「なんだてめえこの野郎、早えぇじゃねーか」こっちの馬方「へっ、クソ食らえだ」あっち「うるせえっ、ケツでもしゃぶってろや」どうやら馬方業界ではこれが正規の挨拶らしい。最後まで悪態をつきながら別れていった。

2012-12-05 19:38:05
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

馬方A「なぁ伊賀、昨日おまえ確か房州と飲んでたよな」名前でなく出身地をいうのもここの業界用語のようだ。喜多の馬方が道端で立ちションをしながら、馬方B「ああそうだよ」馬方A「あいつんとこの嫁知ってるか?」

2012-12-06 19:38:58
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

馬方B「知ってるっつーか、そうそうこないだの晩、房州の嫁が親方んとこの裏口でションベンしてた。でさ、俺たまたま近くにいたんだけど、音が聞こえてきたらなんだかムラムラしちゃってよー」馬方A「なんだ、あの嫁とヤったのか!?」

2012-12-06 19:39:08
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

馬方B「うん、酒の勢いで押し倒してやった。でもほら、あの図体やん? すっげー力で抵抗すんのよ」馬方A「ああ、力が強そうな体だよな」馬方B「俺、親方の子供にやろうと思って買っておいた餅を持ってたから、そいつを口に入れてやったんだ。そしたら」

2012-12-06 19:39:20
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

馬方A「そしたら?」馬方B「わぁおいしーってパクパク食べてた。だからそのスキにいただきました」馬方A「わはは」馬方B「だけどもっと餅をよこせって言うんだよ。で、その辺まさぐって掴んで口に入れたら、それが馬の糞だったんだよな」馬方A「えー」

2012-12-06 19:39:36
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

馬方B「馬の糞を口に突っ込むとは!ってめちゃくちゃおこられたよ。お詫びに高級下駄を買わされてさ、はー、ちくしょう」馬方達の会話を聞いていた弥次喜多は、目をキラッキラさせていた。

2012-12-06 19:39:50

神奈川宿
江戸から七里 (27.5 km)

現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

やがて二人を乗せた馬は神奈川宿のはずれに到着し、ここで馬を降りた。弥次「ここで昼飯にしよう。たしか向こうの丘のほうに飲食街があるはずだ」金川の丘の通りには、二階に海の見渡せる客席を備えた茶店が、ずらりと軒を連ねている。波打ち際の景色が素晴らしいロケーションだ。

2012-12-07 19:45:19
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

茶屋の店員の女の子が店先で呼びこみをやっている。店員「いらっしゃいマセー。どうぞお休みくださーい。熱々の冷やご飯はいかがですかぁー。煮たばかりの冷たいお魚もございまーす。極太蕎麦にうどんもありますよー。いらっしゃいませー」

2012-12-07 19:45:33
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

どうやらワザと反対のことを言って、客の気を引こうとする決まり文句らしい。軽く一杯やってパワーでもつけようと、二人は茶屋へ入った。喜多「今のおネェちゃんかわいかったナー」弥次「うん、おれ結構好みだ。さて、何を食おうか」

2012-12-07 19:45:47
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

喜多八が周りの客の様子を見て、おいしそうな料理を見つけたようだ。喜多「おねえさん、あれと同じやつちょうだい。あと酒をたのむね」店員「はい、おまちください」

2012-12-07 19:45:59
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

しばらくすると、アジの塩焼きとお銚子を持ってきた。店員「お待たせしましたぁ」弥次「ありがと。おねえさんが持ってきてくれるとすごくおいしそうだ」店員はふふっと軽く笑い、すぐにまた店の入り口のほうへ向かった。

2012-12-08 19:31:49
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

店員「いらっしゃいマセー。奥のほうが空いてますよー。広いですからどうぞおはいりくださーい」喜多「うんうん広いよー。安房上総まで続いてるよー♪」弥次「あれ、喜多ちょっと見ろ。この魚、腐った目をしてるぞ」喜多「そう?」

2012-12-08 19:31:59
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「あ、浮かんだ。ござったと 見ゆる目もとの お魚は さては娘が焼きくさったか』どや」喜多「俺も浮かんだ。うまそうに 見ゆる娘に 油断すな やつが焼いたる あじの悪さに』勝ったな」

2012-12-08 19:32:08
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「いや俺のほうがうまいだろ」喜多「俺のほうが」和気あいあいと昼ご飯を食べ、のんびりと時間が過ぎていった。

2012-12-08 19:32:18
@mo_whitedevil

@yajikita_douchu @degamon_walkon @osawagase 神奈川宿は江戸時代当時は大都市と言ってもよい町でしたが、街道沿いに1000軒もの家が並んでいましたので、丘とか台と呼べる場所は神奈川宿の西外れにある神奈川台くらいしかなかったと思います。

2012-12-08 09:10:44
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