古鷹青葉を見守る衣笠さんbot #24

更新二十四回目のまとめです。 古鷹への、加古への、そして自分自身への衣笠の怒り。
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古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

青葉はというと、私の隣に座りはしたけれど、まるでそこにお茶が置いてあることに気が付かないかのように暗い目で顔を俯けていた。青葉の分のお茶を手に取り、目の前に差し出す。青葉はちらと眼を向けるけれど、力なく首を左右に振った。その痛々しい姿を見ていられず、私は加古の方に目を向ける。

2014-05-24 01:59:04
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

両手を頭の後ろで組み、あおむけで寝ている加古の能天気な顔を見ていると、さっきまでの怒りが再び込み上げてきた。立ち上がって加古の転がっているソファの横に行き、ソファから垂れ下がっている加古の髪の尻尾をぐいとひっつかむ。即座に加古が飛び起きる。 「痛った!何すんだよ、衣笠!」

2014-05-24 02:05:21
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

加古が顔をしかめて抗議してくる。私の気を知りもしないその態度に余計に腹が立つ。 「それはこっちのセリフよ!あんた、旗艦になった時なんで古鷹ねーさんに『殿は衣笠に任せて下がれ』って言わなかったの!?古鷹ねーさんが沈んでもいいの!?あんたがこんな薄情なやつだとは思わなかったわ!」

2014-05-24 02:10:15
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私の言葉に心外だと言わんばかりに加古の口が開かれようとする。私は反論などさせるものかと言葉を重ねた。 「あんたそれでも古鷹ねーさんの妹なの!?」 執務室中に響く大声で言い放ったけれど、こんな程度じゃ私の怒りは収まらない。もっと言ってやろうと加古の顔を正面から見据える。けれど。

2014-05-24 02:15:41
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

次の言葉は、出てこなかった。加古が一瞬、くしゃっと顔をしかめた。いや、その顔は今にも泣きそうな子供のそれのようにも見えた。見間違いかとも思ったけれど、加古が即座に顔を伏せてしまったためにどちらともつかない。何を言ったらいいか私が言葉に詰まっていると、加古が俯いたまま口を開いた。

2014-05-24 02:22:58
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「……あたしが何を言ったって、古鷹は聞かないよ。深海棲艦の制海域で延々言い争ったって、危険が増すだけ。だからあたしは少しでも早くあの場を脱することを優先した……」 加古のこんな消え入りそうな声、今まで聞いたことがなかった。加古だって、何も感じていなかったわけじゃなかったのだ。

2014-05-24 02:30:07
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

言うべきじゃない言葉を加古にぶつけてしまったという後悔の念が心を覆い尽くす。同時に私はショックを受けてもいた。何故だろう、加古なら古鷹ねーさんをどうにかできるのに、と無意識に信じていたのかもしれない。単に加古にその気がないだけだと。黙りこくった加古を前にして私は立ち尽くしていた。

2014-05-24 02:35:22
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「ねえ、加古……」 そう口にしてはみたものの、続けて何を言うべきかもわからない。沈黙が執務室を覆っていた。そして。 「……もう、やめてください」 青葉の、絞り出すような声が背後から聞こえてきた。

2014-05-24 02:37:57