茂木健一郎@kenichiromogi氏の、『自然論』

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（１）「自然にとっては、宇宙の万有でさえ十分ではないのですが、人工的なものは、閉鎖された空間を必要とするのです。」（ゲーテ「ファウスト」）

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（２）人工物は、閉鎖された空間で機能するように設計されている。人間は、時に社会の中で人工物であるかのようにふるまう。

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（３）未だに「野良ロボット」がいないということは、人工生命、ロボットが閉鎖された人工空間の中で定義されており、宇宙の万有には開かれていないことを意味する。

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（４）ミズスマシは、水の上ですいすいすい、あっちへ行け、こっちへ行けとやっている。新幹線の指定席のように、どっしりゆったり座っている生物などいない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（５）土地を放置しておくと、あっという間に雑草が生え、やがて鳥が木の種を運んできて森林となる。自然にとって、空白は創造のための跳躍台である。

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（６）いかに、自分の中に「自然」を耕すか。その時、宇宙の万有でさえ十分でない人間ができあがる。閉鎖された空間に自分を置いていると、やがて人は自然ではなく、人工物となっていく。

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（７）組織にしろ肩書きにしろ、過剰適応してしまった人に接していて感じる息苦しさ、物足りなさは、内なる自然の欠如によるものである。

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（８）ゲーテ『ファウスト』で、誕生した人造人間ホムンクルスはずっとガラス瓶に入ったまま旅をする。人工物だからである。ガラテアの美しさに魅せられて手を伸ばそうとしたとき、ガラスは割れてホムンクルスは海に投げ出される。彼は「自然」となったのだ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

自然（９）自分を閉じ込めているガラス瓶を割れ。人工物となるな。自然となれ。偶有性の海に飛び込め！

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「自然」についての連続ツイートでした。