【表現を用いた攻撃】に、なぜ警察と司法は無力なのか?(安田浩一氏のヨーゲン記事を受けての三部作完結編)
参考:
⑦その上、警察が動いてなおも、スマイリーキクチ事件では捕まった人達は全員不起訴になりました。個人的には不起訴処分は残念ですが、それでも当時は「匿名なのに特定されて逮捕された」という事実自身が抑止力として機能し、当該事件による被害を収束させる効果はありました。
2014-11-27 01:58:51③-2「表現を用いた攻撃」に対して日本社会全体が甘いということ
⑧この事件に限らず、実際に被害届を出そうとしても不受理であるとか、結局、不起訴・起訴猶予になったみたいな話はまだまだ多いかと思います。
2014-11-27 02:19:42⑨これはひとえに「表現を用いた攻撃」に対して警察や司法が、ひいては、日本社会全体が甘いという理由もあると思います。その甘さに乗じて、匿名の攻撃者達は攻撃の手を緩めないという現実があります。
2014-11-27 02:19:56⑩その「表現を用いた攻撃に甘い」ことは、「表現の自由を守る」ことと強く相関しています。憲法に規定された自由を守るために、簡単に手がだせないという側面は確かにあるでしょう。
2014-11-27 02:20:17⑪そして、その「表現の自由を守る」ことは、報道の持つ(本来は国家権力に向けた)暴力装置としての力を守ることにもつながっています。逆に、彼らもまたその甘さにつけこんでしまうと、報道機関がその暴力装置としての力を市民に向けることができてしまうわけです。
2014-11-27 02:20:44⑫つまり、被疑者(≠有罪者)の氏名や人となりや卒業アルバムを晒すという私が少々行き過ぎだと思うプライバシーの侵害行為が報道に許されている現状と、匿名の攻撃者が表現行為を攻撃に使うことが事実上黙認されている現状は、ある意味同じ遠因によって起こっている事象だと言っていいでしょう。
2014-11-27 02:21:46⑬まとめると、「表現の自由」を"過剰に"守ることによって、匿名の攻撃者に実名から見た非対称性は確かに存在するけれども、それは、一般市民に対する報道権力の強さという非対称性を守るためにも機能してしまっているでしょう。
2014-11-27 02:22:51⑭個人的には、現状は少々「甘すぎる」のではないかと思っています。「表現の自由」は無制限の自由ではなく、「公共の福祉」によって制限されます。その自由で他者の人権を損なう場合には調整が必要であると憲法に規定されています。
2014-11-27 02:23:18⑮他者を傷つける自由は、もう少し制限されて良いはずです。私は常々、それが匿名にも報道機関にも等しく適用されるべきであると主張しています。終
2014-11-27 02:23:42参考:関連する過去まとめ
④【公益性について】
①安田氏の記事について「不法性を免れるかどうかは公益性との優越が問題だ」という意見がありましたが、それがこの問題をさらに難しくしています。もちろんその公益性は警察の不祥事を暴くみたいなところには大いに使って欲しい所です。しかしそれは、市民に向けた攻撃に使っていいのでしょうか?
2014-11-26 03:04:30②例えば、「凶悪な殺人犯が20年の刑期を追えて出所してきた。当時こんな凶悪な殺人を犯した人が、(プライバシーのため名前は伏せますが)○○市の○○区のあたりで、こんな風貌で、家族構成はこれこれで、うろついてますよ気を付けて下さい」という報道に、公益性あるんでしょうか?
2014-11-26 03:05:08③この例の公益性を口語に言い換えると、「凶悪殺人犯のような悪者は、たとえ刑期を終えたとしても、どれだけ晒してもいいんだ、だって自業自得じゃないか、それに近寄られたら怖いもん。むしろ殺せ(死刑にすれ)ばいいのに」となります。
2014-11-26 03:05:37④これはまさに2chではよく書かれているタイプの情報なのですが、今では重点的に削除され、書き込んだIPは規制を受けます。そして、デマも多いです。てか、それがまさにスマイリーキクチ問題であり、同じことを報道がおこなったケースが、福岡一家4人殺害事件ですね。
2014-11-26 03:06:08⑤この例や、三浦和義・ロス疑惑事件の例を挙げるまでもなく、凶悪な犯罪加害者のプライバシーを晒す行為に公益性は認められず、名誉毀損は成立しています。安田氏の記事にその名誉毀損が成り立つかどうかはとは別問題として、少なくともプライバシーの開示に「公益性」は認められないでしょう。
2014-11-26 03:07:48