人斬りに人斬りを止めさせるには?

別のまとめから端を発して、とある僧の「人斬りに人斬りを止めさせた」逸話と、その背景にある武士の面目についての話をしたところ、若干長くなったのでまとめをば。 まあ、お題の問いについて「(そいつ(人斬り)を斬ったら)いかんのか?」というのもアリなんですが、それを言っちゃあおしまいよ、というとこで。
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まとめ 室町時代を更に遡った時代のあれこれ 前回(室町時代の行動倫理あれこれ http://togetter.com/li/476344)の話の後、 他の室町時代の資料もあれこれ読んでて、「これはひどい」と思ってたら、 上には上がいたという話。 後でまた書き足すかも(※書き足しました) 159878 pv 675 99 users 65
まとめ 室町時代の寺社関連の事件について 以前のまとめ(http://togetter.com/li/476344)以来、 室町時代の資料を続けて読んでいるのですが、 寺社勢力の力とアクの強さがどえらいことになってたので、 気が付いたら長々書いてたり。(※色々追記しました) 98594 pv 680 161 users 478

追記:阿呆腹について

神無月久音 @k_hisane

自殺というか「今度生まれてくる時は一緒に」という話の絡みで、これまた鈴木正三の話を思い出した。正三が、主君の死に際し、追腹をしようとする武士のことを「阿呆腹」と罵倒した話があるので砂。 twitter.com/rafcocc/status…

2015-11-26 02:04:54
神無月久音 @k_hisane

曰く「追い腹をし、あの世でも主君の側に仕える、などと言うが、そもそも死ねば主君であろうが家臣であろうが、それぞれの罪状に応じて行く先が決まるのである。その程度の道理も分からずに、死んで主君と同じところに行くなどと申して死ぬなど、阿呆と言わずしてなんと言う」との由。

2015-11-26 02:07:35
神無月久音 @k_hisane

「死ねば皆仏」と言いますが、裏を返せば、生前の身分がどうあれ、死ねば一人の人間として裁かれる、という話にもなる訳で、その理屈で言えば、確かに追腹したって主君と同じところに行けるとは限らないというのは道理であり、阿呆腹呼ばわりも仕方ないねと。

2015-11-26 02:11:17

追起その2:辻斬りと武芸者

ちていのき @baritsu

有村治左衛門が江戸詰めの時に辻斬りが流行る。自分もやってやろうと九段の坂で待つと徳利を提げて威張ったやつが来る。居合に切り付けるとガチャンと音がして徳利が割れた。切ってくるかと身構えたらその侍は一目散に逃げてった

2015-11-18 03:35:41
ちていのき @baritsu

次に来たのは老人で歌いながら悠然とくる。これはただ者じゃないと後から抜き打ちにすると手ごたえもなく、あっという間に組み伏せられ「居合は上手いが剣術はからきしだな」と急所を締め付けられ辻斬りなんかやめろと。後で調べると斎藤弥九郎だった。作り話だろうがお決まりパターンで味があるなw

2015-11-18 03:40:18
まさ影 @masaeiyamagata

@baritsu この話、バリエーションがあって、急所を握った時タマタマがだらんとしていたので「肝の太いヤツだ」と褒めたとか、反対につり上がっていたので「そんなことでは大事はできない」と諫めたとか、いろいろ脚色されてますね(綱淵謙錠先生の随筆で読んだ

2015-11-18 09:22:36
まさ影 @masaeiyamagata

@baritsu 登場人物も千葉周作と斎藤弥九郎といろいろあるみたいでw(画像は綱淵謙錠『史談・往く人来る人』(文春文庫)より) pic.twitter.com/tZ0fMLj1KH

2015-11-18 21:32:29
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神無月久音 @k_hisane

この辺の「不意に襲われた時の働き」の逸話は、戦国期の剣豪にもありますが、石舟斎の話(鷹を腕に止まらせてる時に後ろから襲われた)にせよ、一刀斎の話(無心に祈願してるとこに後ろから襲撃)にせよ、どっちも即殺してるのは時代の差なのかなーと twitter.com/baritsu/status…

2015-11-18 22:11:32
神無月久音 @k_hisane

不意に襲われた時、幕末だと「手玉にとって諭す/懲らしめる」なのに、戦国期だと「即返り討ち」ってのは、殺人に対する忌避感の強弱を伺わせるものがあります喃。しかも、後者はノータイム通り越してノーシンキングでぶっ殺して、これぞ極意とか言ったりしてますし、実にサツバツナイトフィーバー。

2015-11-18 22:18:19
神無月久音 @k_hisane

石舟斎も伝書では割と穏当な事言ってますが、この辺の逸話の殺伐っぷりを見てると、やっぱ戦国期の剣豪なのだなあと感じま砂。倅の宗矩に小姓の殺気を悟る逸話がありますが、そっちは周りを確認してるので、逸話にも時代の空気というか、倫理観というのは表われるのだなと。

2015-11-18 22:23:14

石舟斎の言については以下参考
【やる夫で学ぶ柳生一族:外伝その3・後編3「活人剣・治国平天下の剣、その礎1(「剣」新陰流-伊勢守と石舟斎)」】

http://tagenmatome.blogspot.jp/2009/11/blog-post_22.html

追起その3:家康と辻斬り

神無月久音 @k_hisane

昨日の辻斬りに辻斬りを止めさせる話ですが、これは鈴木正三だけでなく、家康にも似たような逸話がありま砂。「家康が駿府に隠居してた頃、江戸で旗本たちが辻斬りをするので民草が嘆き苦しんでいるという話を聞き、家臣を呼ぶと、こう告げた」(続く→

2015-11-26 21:49:29
神無月久音 @k_hisane

続き→)『江戸で辻斬りが横行しているそうだが、我が家臣たちは、そのような者どもも捕らえられないほど惰弱になってしまったのか。各々、よく心得て、辻斬りどもを捕らえるように』。このように家康が申し付けると、その後、江戸での辻斬りは止んだという」

2015-11-26 21:53:58
神無月久音 @k_hisane

まあ、「甲子夜話」記載の話なので、あくまで逸話というところですが、直接「辻斬りすんな」と言うのではなく、「辻斬りに好き放題させるなど、うちの家臣はいつからこんな腰抜けになったのか」と面目に訴えかけるやり方で諌めたところは、鈴木正三のそれに近いで砂。

2015-11-26 21:57:03
神無月久音 @k_hisane

一応、補足しておくと、慶長三年(1603)の時点で、家康は江戸の旗本たちに対し、辻斬り盗賊に関する法度を出しているので、それをちゃんと守れ、という話ではあるのですが、まあ、こんな逸話がずっと後世になっても出るくらいなので、何をいわんや、という感じで砂。

2015-11-26 22:01:17
神無月久音 @k_hisane

繰り返しになりますが、この辻斬りを諌める逸話に共通してるのは、「辻斬りそのものを責めてない」という点で砂。実際には「辻斬りすんな(無闇に殺すな)」という意図がある訳ですが、あくまで話の中で責めるのは「相手の面目」であって、「罪なき人間を殺すこと」ではないというのがポイントですよ。

2015-11-26 22:27:10
まとめ管理人 @1059kanri

中世の日本人というのがどれだけ厄介な猛獣だったかは、清水克行先生の『喧嘩両成敗の誕生』を読んでもらえればよく理解できると思います。もこの本、読むと本当に日本史の見方がガラっとかわりますよw amazon.co.jp/%E5%96%A7%E5%9…

2015-11-26 22:04:06
リンク www.amazon.co.jp Amazon.co.jp: 喧嘩両成敗の誕生 (講談社選書メチエ): 清水 克行: 本 Amazon.co.jp: 喧嘩両成敗の誕生 (講談社選書メチエ): 清水 克行: 本
神無月久音 @k_hisane

.@1059kanri ちょっと前にも、室町時代と現代のソマリアの近似についての対談本も出てますしね。これも面白かったです喃。 【【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 第1回:かぶりすぎている室町社会とソマリ社会】honz.jp/articles/-/416…

2015-11-26 22:07:47
リンク HONZ - 読みたい本が、きっと見つかる! 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第1回:かぶりすぎている室町社会とソマリ社会 - HONZ 8月26日発売の『世界の辺境とハードボイルド室町時代』は、人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集である。「世界の辺境」と「昔の日本」は、こんなにも似ていた! まさ...