毎日新聞の記事「アトピーにステロイド必須?」をめぐって:「論文が出た」だけでは正しさの保証にならない

毎日新聞記事(2017年4月7日付) くらしナビ・ライフスタイル:アトピーにステロイド必須? https://mainichi.jp/articles/20170408/ddm/013/040/017000c 取り上げられた論文 A prospective study of atopic dermatitis managed without topical corticosteroids for a 6-month period. 続きを読む
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io302 @io302

最近私も同様の処方したら「こんなに多くの量をこどもに!薬剤師としてオススメしません。なるべく減らして飲ませておいて」って薬剤指導したアホ薬剤師がおり、逆疑義照会をカマした所 twitter.com/naragojou/stat…

2017-04-07 12:24:29
田舎の小児科医 @naragojou

中等症の急性中耳炎児に20%AMPC細粒を60mg/kgで処方したところ、院外薬局から量多すぎなので減量してよいかと問い合わせ。90mg/kgまで保険が通るようになったのを知らなかったのか?

2017-04-06 23:34:04

(↑有効性を得るために必要な量以下の抗菌薬を漫然と使い続けることが薬剤耐性菌の出現を招きます)

くら玉 @clark_dama

最近! 数年前ならまだしも、なんて残念なこと。 そこまでの薬剤師には、免許剥奪とまでは言わないがイエローカードくらい出せてもいいのでは。 twitter.com/io302/status/8…

2017-04-07 13:31:27
KYM @HRHSKYM

@io302 医者は薬のことをなんも知らん、とうそぶく薬屋さん、いますねえ。

2017-04-08 21:42:45
io302 @io302

いや、意外といるんですよ。アトピー性皮膚炎でもステロイド外用処方で「こどもにステロイドなんて!外用しなくていいです」とか指導しちゃう薬剤師もいるし。当然勤務している薬局の上司&本社にご連絡し、厳重な指導・注意をしましたが twitter.com/clark_dama/sta…

2017-04-07 13:50:41
io302 @io302

医師の場合も同じなのだが、「抗菌薬乱用しないように!」っていう講演会には、乱用しない医師の方が多く参加し、乱用する医師はそういう会に出席すらしない。薬剤師も同様に勉強会を開いて疾患への理解を促しても、問題のある薬剤師はそうした会に参加しない。この辺りは職種に関わらず、似た傾向

2017-04-07 15:27:42
大高忠敬@3ヶ月後にバイト辞める @ikari2921

問題ある奴ほどこーゆー講演会には行かないんだよね・・・・・・医者も薬剤師も・・・。 twitter.com/io302/status/8…

2017-04-08 19:26:19
io302 @io302

あまりに非ステロイド外用乱用して、その接触皮膚炎でアトピー性皮膚炎が増悪した患児が多発したので、処方している皮膚科医(!)に注意をしたが、一向に改善しない。皮膚科医の知り合いから連絡してもらおうとしたら「あー、あいつオカシイから関わらない方がいいよ」と。馬の耳に念仏ってやつ。

2017-04-07 15:30:10
io302 @io302

問題が起きたのは重症アトピー性皮膚炎でショック状態になった時。意識消失し救急搬送。電解質異常で集中治療管理となった。それからその皮膚科にかかっている患児家族には「受診すべきでない」と言うようになった。その皮膚科は処罰もされず、いまだ存続。まあ最近受診している患児も見なくなったが

2017-04-07 15:34:50

情報更新が必要なのは患者側も同じことです。
「ステロイドは怖い薬」というイメージがどのように生じたか、現場の皮膚科開業医の立場からの解説が東京の大木皮膚科のホームページの解説「ステロイド外用剤の作用と副作用」の「そもそもステロイドパッシングって?」(原文のまま)の章
http://www.oki-hifuka.jp/original29.html#a09
に出ています。
ステロイド剤は最初内服用として開発され、その後全身に生じる副作用を軽くする目的で外用剤(塗り薬)が開発されて皮膚病の治療を大きく前進させました。ところが1980年代に入ってステロイド外用剤の開発が進み、より効果の強いステロイドが登場する一方、「一部の皮膚科医もしくは皮膚科医以外の医師により保湿などのスキンケアを充分指導することなしにステロイドの強さをどんどん強くしてしまったり、患者さんの間違った使用法(引用者注:たとえば作用の強いステロイド剤を皮膚が薄く吸収されやすい顔に塗る)などが原因で」皮膚に副作用が生じる事態も起こるようになります。
この結果、ステロイド剤を使って重い副作用が出た患者が治療にあたった医師を相手取った損害賠償訴訟が相次ぎます。
京都ステロイド訴訟(1983年提訴、1988年和解)
http://www.asahi-net.or.jp/~yz1m-krok/kmeeting/051103no3.html
川崎ステロイド訴訟(1992年提訴、2001年地裁原告敗訴)
http://steroid-withdrawal.weebly.com/2130724107123953694222833123641239412367123901241812473124861252512452124893038233178301511239512399385011242712540240292382212473124861252512452124893538035359.html
そして川崎ステロイド訴訟の提訴直前にテレビ朝日の番組「ニュースステーション」がステロイドの副作用を特集でとりあげ、訴訟準備中の原告も出演していたこと
(番組音声の文字おこしはこちら、同じページに番組動画へのリンクもあります)
http://steroid-withdrawal.weebly.com/199224180123982003731859234391239812491125171254012473124731248612540124711251912531123911239812473124861252512452124892930538598.html
から「ステロイドは怖い薬」「最後の最後でしか使ってはいけない薬」というイメージが定着。
上の文字おこしをもとにこの番組の内容のどこがどのように問題なのかを検証した2012年11月のブログ記事が出ています(前編と後編あり)
https://blogs.yahoo.co.jp/cam_engl/61896414.html
https://blogs.yahoo.co.jp/cam_engl/61905369.html

検証記事前編の結びを以下に再録します。
当時のステロイドバッシングで多くの人が脱ステロイドや不適切な治療を行い悪化した反省から、今のアトピー性皮膚炎のガイドラインが整えられてきた経緯がある。
そして、今はタクロリムス軟膏(プロトピック)やシクロスポリン(ネオーラル)(引用者注:いずれも免疫抑制剤で、最初は臓器移植の拒絶反応抑制用の錠剤や注射剤として使われていたものが皮膚科用軟膏にも使われるようになった)が保険適応になり、1992年の報道当時と異なり、治療の幅が拡がっている。
1992年の報道を振り返ることも重要だが、今の医療状況と異なることを理解の上で振り返って欲しい。

上でご紹介した大木皮膚科のホームページの解説の最終章「ステロイド外用治療の問題点」
http://www.oki-hifuka.jp/original29.html?mode=pc#a11
では、ステロイド外用剤による治療が成功しない場合、問題は医師側にも患者側にもあることを具体例をあげて指摘しています。治療の成功のためにはどちらの側にも注意と努力が必要なのです。

一方で、ステロイド外用剤による標準治療(基本的には炎症を抑え込む対症療法)でうまく症状をコントロールしながら日常生活を送れるようになるのはアトピー性皮膚炎患者全体の9割程度で、標準治療を行ったものの十分な効果が得られない(のでステロイドを使うのをやめる)人が1割程度いるという患者の立場からの調査結果もまとめられています。
http://webronza.asahi.com/science/articles/2012022700009.html
この調査結果をまとめた東洋大学理工学部の安藤直子准教授の言葉です。「ガイドラインに当てはまらない例外を治療から排除してしまうのではなくて、例外に耳を傾けることで、医療もガイドラインも進歩していくんじゃないか」「今のガイドラインというのは、私たちのようにちょっと外れてしまった患者には不十分なところが多いのではないか」

<参考>
アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインで最も新しいのは、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf
その次に新しいのは日本アレルギー学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015年版(書籍版のみ)です。
http://www.jsaweb.jp/modules/guideline/index.php?content_id=1
日本アレルギー学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015年版の医師向け要約がこちらにオンライン公開されており
https://www.maruho.co.jp/medical/pdf/protopic/guideline/02.pdf
ステロイド外用療法の図表を使った解説が2ページ目にあります。ステロイド外用薬は作用の強さにより5つのグループに分けられ、年齢と症状の強さにより副作用が生じないよう注意しながら種類と使用量を細かく使い分けます。十分な効果がなければ使用量を増やしたりより作用の強い薬に切り替えたりし(ステップアップ)、治療を続けて十分な効果が得られ、確実に症状が抑えられれば逆に注意深く使用量を減らしたり作用のおだやかな薬に切り替えたりします(ステップダウン)。

こうした説明の内容を一般の人向けにわかりやすい言葉と図で表した説明資料があればずいぶん違うだろうと思うのですが、日本アレルギー学会のホームページには一般向けの情報コーナーがありません。これに対し日本皮膚科学会のホームページには一般向けのアトピー性皮膚炎Q&Aコーナー
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/index.html
があり、ステロイド外用療法については全24問のうち7問(Q7からQ13まで)をあてて丹念に解説しています。
Q13:どうしてもステロイド外用薬をつけるのが怖いのですが?
マスコミや一部の医師による無責任なステロイド批判により、ステロイド外用薬は恐い薬という誤解が生まれてしまった時期がかつてありました。ステロイド内服薬による全身的な副作用と混同していたずらに恐がったり、急に中止したための単なる症状悪化をすべて副作用であると混同したりして、ステロイド外用薬は使いたくないとおっしゃる患者さんもまだ少数いらっしゃいます。恐がってきちんと塗らないと十分に炎症を抑えることができず、かえって使用期間、使用量が増えてしまいます。疑問点や不安が多いときには皮膚科を専門とする医師とよく話し合って、納得されてからお使い下さい。

九州大学医学部皮膚科学教室のホームページにもわかりやすい一般向けのアトピー性皮膚炎の標準治療の解説コーナー
http://www.kyudai-derm.org/atopy_care/index.html
(「入浴と保湿のスキンケア」「炎症を抑える薬物治療」「悪化因子探しと対策」が3本柱、どれ一つ欠けても治療の成功は望めません)
があり、「炎症を抑える薬物治療」の項ではステロイド外用療法について次のように述べています。

ステロイド外用薬は効き目の強さによって5段階に分けられ、症状の強さやぬる場所に合わせて使い分けます。適切に使えば高い治療効果があり、副作用も心配ありません。

ステロイド外用薬を使うことに不安をもっている患者さんがいます。ただ多くの不安は外用薬を適切に使っていないことから生まれる誤解です。例えば「皮膚が黒くなる」「厚くなる」のは症状に合わせた強さの外用薬を使っていなかったり、必要量を十分に使っていないために起こります。

使い方のコツは、最初に必要な量をたっぷりと使い、ゆっくりと減らしていくことです。塗る回数や量、期間、塗り方などについて適切に取り組むことで、ほとんどのアトピー性皮膚炎の症状をコントロールできます。

(余談2:アトピー性皮膚炎のかゆみが生じる仕組みを解明し、これを止めるための研究が今も続けられています)

こなみひでお @konamih

薬ができれば全国の何百万の人が幸せになれる。早くできてほしい→アトピーのかゆみ:脊椎細胞活性化が原因 九大が解明 - 毎日新聞 mainichi.jp/shimen/news/20…

2015-07-21 11:48:06
こなみひでお @konamih

アトピーで痒みをこらえることは大変な苦痛で,どうしても無意識に掻いて傷つけてしまう。容姿にも影響し,勉強や遊びや仕事に集中することも妨げられ,交友も恋もためらい,人生の大事な時間が失われる。「この痒みさえなければ」と嘆く親子がどれだけいることか。

2015-07-21 12:07:31
ライブドアニュース @livedoornews

1000RT:【新薬の開発へ】アトピー性皮膚炎、かゆみの仕組みを東北大が解明 news.livedoor.com/article/detail… タンパク質「アルテミン」が増えることでかゆみを感じる神経が発達すると判明。英科学誌に発表した。 pic.twitter.com/BOIlblfzrE

2016-11-17 00:40:03
拡大
俺のソース (論文紹介) @OrenoSource

東京新聞:大気汚染でかゆみ神経成長 アトピー誘発の仕組みを解明 tokyo-np.co.jp/article/nation… 大気汚染物質がAhRを活性化し痒みの感覚神経を伸ばすアルテミンが増加しアトピーを引き起こす (Nat immun)→ goo.gl/Fj30Fr

2016-11-24 07:49:01

こちらの論文の掲載雑誌はNature Immunology。2015年のインパクトファクター=直前2年間にその雑誌に掲載された論文がその年に引用された回数/直前2年間にその雑誌に掲載された論文の総数
19.381とあります(ベージの下の方に出ていますのでスクロールしてご覧ください)
http://www.nature.com/ni/authors/index.html#aims-scope

かゆみを感じる神経を成長させることによりかゆみの感覚を増強するタンパク質「アルテミン」の働きを抑える物質が医薬品として利用できるようになれば、現在行われている免疫抑制剤による対症療法がうまく効かないアトピー性皮膚炎の人たちにも使える治療の選択肢となる可能性も出てきます。実現を願ってやみません。

nao @parasite2006

痒みの科学 nikkei-science.com/201609_078.html @NikkeiScienceさんから「痒みの分子メカニズムについて多くのことがわかってきた。ヒスタミン以外の様々な痒み物質が特定され,それらをとらえる特定の受容体,その受容体が存在する神経細胞の種別が判明した」

2017-04-23 14:45:49
リンク 日経サイエンス一般読者向けの月刊科学雑誌「日経サイエンス」のサイトです。 痒みの科学 急性の痒みには,虫や有毒植物を避けるよう警告する役割がある。虫刺されなどお馴染みのケースでは,皮膚で免疫細胞が作動してヒスタミンという化学物質を放出している。しかし慢性的な痒みは,なぜかはっきりした原因なしに生じることが … 続きを読む → 1 user 2

ヒスタミン以外にも痒み物質が存在するという研究結果は、免疫抑制剤による炎症止めと抗ヒスタミン薬による痒み止め以外にもアトピー性皮膚炎の痒みを抑える治療法を開発できる可能性を示すものです。

@io302 先生から続報をいただきました

io302 @io302

まぁ毎日新聞はインフルエンザワクチンの「乳児に効果なし」デマや、子宮頸がんワクチンの「副作用」煽りでも分かるように、医学情報に関してはチンピラみたいな情報を流すからな~(あ、医学に限らないか)。

2017-04-13 22:10:52
K.Soraku @k_soraku

大淀病院事件も忘れられないよなぁ…。 twitter.com/io302/status/8…

2017-04-13 23:31:48

「大淀病院」でGoogleを検索すると、Wikipediaの解説
https://ja.wikipedia.org/wiki/大淀町立大淀病院事件
がヒットします。
2006年8月7日、奈良県大淀町の大淀町立病院で出産中だった女性が出産中に脳出血を起こし、担当医師が高次医療機関への搬送が必要と判断したものの合計19カ所の病院に受け入れを断られ、最終的には大阪府吹田市の国立循環器病センターで帝王切開により出産したものの患者は8月16日に死亡しました。毎日新聞はこのできごとを2006年10月17日にスクープし、「妊婦のたらい回し」とセンセーショナルに報道しました。
医療関係者の間では、この事件は福島県立大野病院産科医逮捕事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/福島県立大野病院産科医逮捕事件
と並んで日本の産科医療に甚大な悪影響を与えた事件と受け止められています。


毎日新聞は、大野病院事件で業務上過失致死と医師法違反で逮捕起訴された医師に福島地裁で無罪判決が出て確定した時も、主要マスコミで唯一医師の起訴を擁護していました。
http://www.j-cast.com/2008/08/21025512.html?p=all

io302 @io302

さて、今のところ毎日新聞から訂正の報告はありません。Twitterしてる割りに、リプライは無関心(無視?)なのですな~。素晴らしい「弱者の味方」ですな~。

2017-04-13 22:21:09