@1059kanri 織豊期の研究は、あまり細かいことをやるのが好まれません。というよりも、細かいことを研究すると、大局的な視点がないから事実を見誤ると批判されます。細かいことから立ち上げるタイプの僕なんかは、それで論争している最中ですが(笑)
2012-09-16 14:15:34ヨーロッパ史だと、中世の教会関係史料が未翻刻のまま、山になっていると聞きます。日本の近世(豊臣以降)もそんな感じです。分量が何しろ多すぎる。ですので、自治体史の史料編も、中世編は全史料の活字化、近世・近代編は主要史料の部分活字化、と方針がきれいにわかれます。これは仕方のないこと。
2012-09-16 14:27:43それで昨日も二次会で話題になったのですが、いま困っているのは江戸初期、17世紀の研究です。なにしろ研究者がほとんどいない。江戸時代の研究者からみると、元禄ごろまでの文書は、中世文書にみえてしまって(まだ江戸幕府の様式が確立していない)、敬遠されてしまっている。これが痛い。
2012-09-16 14:31:03たしかに僕の目からみても、享保期くらいまでの文書は、戦国の雰囲気を漂わせていて親しみがもてるのですが…。何しろ17世紀というのは、戦国時代にはじまる中世から近世への大変革が完成する重要な時期。ここを研究する人が少ないのは大変な痛手です。だから、豊臣から江戸への移行はわかりにくい。
2012-09-16 14:35:05なので、最近は戦国の研究者が17世紀をやるしかないのではないか、という話がちらほらあがっています。なんとも不思議な光景です。
2012-09-16 14:36:13実は、東国の戦国期研究者の学説と、近世の研究者の学説が、まったく噛み合わない理由はここにあります。戦国の研究者は、近世への萌芽を戦国に見出して議論する。ところが近世史研究者が扱うのは、江戸時代でも体制が確立した元禄享保以降。その体制がどのように確立したのかへの関心は薄いのです。
2012-09-16 14:41:12念のためにいっておくと、戦国の研究者が近世の萌芽を見出す、というのは戦国を近世の前史と捉えているわけではありません。これは連続説といって、結論から歴史をさかのぼる研究手法だと批判されたものでした。あくまで、後の時代に続く仕組みが、検討して行くと結果的に見出せる、というものです。
2012-09-16 14:45:04追記:
秀吉文書については最近、FJ先生を中心とした科研?によって網羅的な文書目録が作られた。史料集の出版にも入るらしい。
2012-09-16 19:47:49あ、そうなんですか。出版の話は知りませんでした。 RT @toshiitoh: 秀吉文書については最近、FJ先生を中心とした科研?によって網羅的な文書目録が作られた。史料集の出版にも入るらしい。
2012-09-16 19:53:16中世でも、室町・戦国の古記録類は翻刻がなかなか進んでいません。また、実は室町の地方の文書も意外に未翻刻のものが多い。自治体史が頑張ってくれたところではだいぶ事情が異なりますが。これが古文書の悉皆収集・翻刻紹介主義で進んだ鎌倉・東国戦国と事情が異なる点。
2012-09-16 18:59:47僕のツイートで東国の戦国史では、というのが頻出すると思いますが、戦国は東国と西国で研究手法含め、だいぶ事情が異なります。東国は自治体史中心に、文書の悉皆収集・調査が進んでいるのですが、西国はまだまだ。これは近畿の大寺社のように、未調査のところがまだ多く残っているせいでもあります。
2012-09-16 19:04:48そんななか、史料の調査と史料集編纂が進んでいる割には、研究者人口が少ない地域があります。どこかというと、九州です。昔史料編纂所のホームページにも卒論にオススメなどと書かれていたことがありますが、かなり狙い目な地域といえます。
2012-09-16 19:07:29まあただ九州の難点は、史料集を個人で入手することが困難なことと、冊数がやたら多いこと(たとえば佐賀県史料集成なら30冊)、大名・国人の動向はわかっても村落の史料がほとんどないことでしょうか。九州で、中世村落史をやれたら物凄いことです。
2012-09-16 19:18:09大きなお世話だw @kurmacf: そんななか、史料の調査と史料集編纂が進んでいる割には、研究者人口が少ない地域があります。どこかというと、九州です。昔史料編纂所のホームページにも卒論にオススメなどと書かれていたことがありますが、かなり狙い目な地域といえます。
2012-09-16 19:20:07あ、すいません。ぼく自身が、九州の研究者でもあるんです。 RT @nakanishiya: 大きなお世話だw @kurmacf: そんななか、史料の調査と史料集編纂が進んでいる割には、研究者人口が少ない地域があります。どこかというと、九州です。…
2012-09-16 19:23:17仮目録をこしらえた方と、なかなか豊臣政権期の編纂が進まない機関の方でつばぜり合いしてますね(嘆息)。当面は近代デジタルライブラリーにある「豊公遺文」と目録をにらめっこなわけか。
2012-09-16 19:43:05ちなみにウチの業界ではM修先生が調査したからと言って遠慮せず、調査して新たな成果を出していきます。遺跡が何度でも調査できるメリットもあるけどM修先生もボクラもふらっとな土俵でやるのが我々の研究スタイルなり。
2012-09-16 19:45:27近畿でいうと、京都、奈良、滋賀、和歌山、大阪はたしかに未翻刻史料が多すぎる。京都と奈良は、ほとんど絶望的。和歌山は、K野山がたくさん史料を隠している(?)らしい。私が勉強している兵庫県は、なかなか充実。でも、研究者が少ない。
2012-09-16 19:50:08そう考えると、兵庫県の中世史研究は、超ウルトラ・スーパー・スペシャル大穴(どんな穴やねん)といえるのだが、あまりやろうとする人がいない。非常にもったいない。
2012-09-16 19:52:24