言語・数学と科学・物理について

名古屋大学の谷村省吾教授による言語・数学と科学・物理についてのツイートをまとめました。 ※続編の「科学と身体性について」 http://togetter.com/li/437687 もあわせてご覧ください。
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ghsobo(5.11a) @8bu790tu1356ri

@tani6s ファインマンやっていますが、その点はある程度端折ってやらないと前に進まないです。運動量や位置ならそれほど他の知識は少ないけど連続固有値扱うので数学的取り扱いが大変。最初は離散スペクトルで慣れた方がいいとの草野球的アマチュアからの意見ですが。

2012-12-27 21:29:33
TANIMURA Shogo @tani6s

@8bu790tu1356ri コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、シュテルン-ゲルラッハの実験は、数学的に扱いやすい離散スペクトルを持つスピンを対象にするので、量子力学の導入部分で取り上げやすいテーマです。

2012-12-27 23:30:04
TANIMURA Shogo @tani6s

@8bu790tu1356ri 私が言おうとしていたことは、シュテルン-ゲルラッハの実験の原理をちゃんと理解しようとすると量子力学の知識だけでは済まないし、その部分に関しては、たいていの量子力学の教科書は説明をかなり省いていて、読者は納得いかないだろうということです。

2012-12-27 23:32:44
TANIMURA Shogo @tani6s

@8bu790tu1356ri あと私が強調したかった点は、なぜ量子力学の本だけでは納得できない羽目になるかというと、実験というものは自然現象を扱うため、どうしても、仕切られた一つの分野に収まらない話になる、という点です。

2012-12-27 23:39:03
TANIMURA Shogo @tani6s

@8bu790tu1356ri 実験の話となると、数学的に易しい例を引き合いに出そうとしても、物理の知識がやたら動員されるはめになる、ということです。

2012-12-27 23:42:08
ghsobo(5.11a) @8bu790tu1356ri

@tani6s もうひとつのやり方として昔の教科書にあるような、古典的にみると原子内で電子が安定しないとか、黒体輻射からはじめるあたり、SGよりもっと物理知識が要求されて大変です。制動放射は電磁気学の最後にやっと出てきます。量子力学の取っつき部分から大きな壁があります。

2012-12-28 08:33:25
TANIMURA Shogo @tani6s

@8bu790tu1356ri そうですね、原子の安定性(原子の光スペクトルの問題も含めて)や黒体輻射は、問題を理解するだけでも古典力学・電磁気学・熱力学・統計力学の知識が必要ですから、初学者向きの話題ではないですよね。

2012-12-28 10:02:45
TANIMURA Shogo @tani6s

@8bu790tu1356ri それらの問題は、当時の物理学者たちが当時の物理学の知識を総動員しても解けなかったパズルなのですから、たくさんの予備知識が要求されるのは当然ですね。

2012-12-28 10:03:08
ghsobo(5.11a) @8bu790tu1356ri

@tani6s ここまでおつきあいいただきありがとうございます。もうひとつ初心者を躓かせる例が光電効果すなわち光の粒子性です。量子力学を学ぶ前は粒子とはたぶん質点のようなものをイメージします。そのイメージが光には結びつきにくいモノがあります。そもそも粒子とは位置や運動量、その他

2012-12-29 06:56:50
ghsobo(5.11a) @8bu790tu1356ri

物理量の局在性に特徴づけられると思います。光の粒子性と聞いたら単色光なら運動量やエネルギーは局在性ありますが光の位置??になってしまいます。自分も不明でしたがファインマン読んでようやく了解できました。

2012-12-29 07:05:45
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

言語による論理思考の優秀な人間ほどしばしば、「かたち」を見ていない。「なるほど、つまりこういうことだ」と言語化したとたんに、そのものを見なくなる。これは人の認知の構造と関わると思われる。(工学部でスケッチの授業をしていて気がついたこと。)

2012-12-28 11:24:39
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

先日、言語(自然言語+物理を記述する言語としての数学)によって思考がどう影響されるかについて色々ツイートしたけど、こういうこともあるわけだね。 http://t.co/h4HnO6po (リンクはった)

2012-12-30 14:21:25
kyo@math @kyon_math

@ayafuruta 私の言いたかったのも似たようなことですね.式は式,それを解釈するのは物理学.

2012-12-30 14:24:18
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

@kyon_math はい。ただ、物理は本来は式を解釈するのではなく、自然を解釈する学問ですから、式にしたことによって生じる情報の欠落や自然との齟齬には十分に意識する必要がある、ということだと思います。

2012-12-30 14:55:05
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

@kyon_math すみません。「自然との齟齬は十分に意識する」でした。

2012-12-30 14:58:02
kyo@math @kyon_math

@ayafuruta そうですね,式(あるいはモデル)を立ててそれを解く,それを解釈して実験し,自然という巨大なシステムの振る舞いと照らしあわせる.そこまでいって物理ですね.

2012-12-30 14:59:36
kyo@math @kyon_math

鶴亀算を連立方程式をたてて解く.すると「形式的操作」で解ける.そこが代数の強み.さて,この形式的操作にはすべて(後付けの)意味がつけられる.鶴亀算くらいなら「はは〜ん」とわかる.しかし,微分方程式を解いたり積分したり,無限和を取って係数を取り出すようになるとそれは難しい.

2012-12-30 14:27:26
kyo@math @kyon_math

それで特殊な積分には名前がついたりする(「仕事量」とか「エネルギー」とか)が,エネルギーと解釈するか仕事と解釈するか,はたまた無限遠点からの積分を考えてポテンシャルとするかは「どう意味をつけるか」という問題.それこそ物理の問題だろうと思う.#けど物理素人・信用しないように

2012-12-30 14:30:24
kyo@math @kyon_math

そうそう,ε-δ論法でさえ,「極限操作の論理的表現」と見るか,「誤差評価の問題」と見るか,見方は分かれるだろう.私は常々ε-δ論法というのは極めて工学的な発想だと思っている.

2012-12-30 14:33:37
kyo@math @kyon_math

強力な数学の道具を使うと答が簡単に出る.しかし,道具が強力であればあるほどその「間」の過程をつぶさに追うことは難しくなる.それは「数学」というものの本質を表しているように思う.

2012-12-30 15:01:25
kyo@math @kyon_math

数学とはある意味であの世とこの世をつなぐものである.まるで異なる2つのモノを同じと見ることが数学の本質的な一部分を占める.たとえば無限和と無限積が「等しい」というように.一方が極端に難しく,一方が極端に簡単である場合がもっとも強力だと思う.

2012-12-30 15:07:26
kyo@math @kyon_math

「あの世とこの世にかかっている橋のようなもの」というのは加藤和也さんの言葉かな? さだかじゃない.ま,ときどき,あの世とあの世に架かる橋のような等式もあって,それはそれで楽しい.

2012-12-30 15:08:57