地域系アートプロジェクトの構造的限界と日本美術界の病

インディペンデント・キュレーター渡辺真也氏の連続ツイートをまとめ(長文) 参考 http://blog.goo.ne.jp/spikyartshinya     http://www.spikyart.org/anotherexpo/shinyaresumej.htm 関連 Togetter - 「地域系アートプロジェクトの構造的限界と日本美術界の病 番外編 ドメスティックな文脈」 http://togetter.com/li/65420
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Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病P13)中銀ビル、そしてカザルス・ホールも、オブリストやコールハースを口説いて保存運動や世界遺産化運動などに協力してもらえれば、もっと面白い活用もできたのではないか。東京の地域文化は、世界に対して何を誇れるのか、アートが何をすべきなのか、私たち全員が問われている。

2010-11-04 09:11:58
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

以上、連続ツイート「地域系アートプロジェクトの構造的限界と日本美術界の病 その16」でした。

2010-11-04 09:12:35
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

連続ツイート「地域系アートプロジェクトの構造的限界と日本美術界の病 その17」

2010-11-09 11:04:29
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q1)私が行政の立場から地域系アートの仕事に関わって強く感じたのは、行政の立場からアートに関わっている人たちは、自分たちの仕事をちゃんとこなしていることである。かなりの集中力で、相当な量をこなしている姿を見れば、民間企業の方々もきっと感服すると思う。

2010-11-09 11:05:06
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q2)東京都庁の方々も基本的に優秀な人たちなので、事務処理能力はかなり高い。しかし、こなさなければならない仕事量が膨大すぎてしまい、デスクの上には書類が常に山積している。これ以上の仕事をこなすことは、物理的に困難な状況にある。

2010-11-09 11:05:54
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q3)一時、国家公務員の「接待タクシー」というのが問題になったことがある。官僚の帰りをタクシーが、ビールとおつまみを持って待ち受けていた、という事件であり、国民からは、「税金を使って仕事をしている官僚が何をしているんだ!」と随分責められたと記憶している。

2010-11-09 11:06:41
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q4)しかし、内部の関係者から伺ってみると、事態は深刻である。連日午前2時まで仕事が終わらず、相当なストレスを抱えている。帰宅にはタクシーしか移動手段がない、そんな官僚の惨状を見かねて、商売をかねて接待をするタクシーが現れた、という構図である。

2010-11-09 11:07:22
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q5)国家公務員の側からすると、東大卒のエリートの俺がここまで国民の為に仕事をしているのに、何故俺が国民に叩かれなくてはならないんだ、と憤慨する。そして国民は、官僚を叩く「正義の国民」という多数の無名性の中に、不思議な安住と存在価値を見出しているのではないか。

2010-11-09 11:08:08
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q6)この場合、社会の浄化機能としてのジャーナリズムが、メスマディアの劣化と共に上手く機能しなくなった結果、起こったすれ違いなのかもしれない。それにしても、何故、行政にこれほどの仕事量があり、これほど膨大な許認可の書類が必要になったのだろうか?

2010-11-09 11:08:37
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q7)おそらく、過去に資金的に問題のあるやりとりなどが発生した為、行政は再発防止に向けて書類主義を徹底させたのだろう。その結果、書類が膨大になり、トイレットペーパーなどの日用品のやりとりにも、書類と複数の印鑑が必要となってしまい、時間と体力が奪われることとなった。

2010-11-09 11:10:03
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q8)トイレットペーパーなどの日用品の購入に書類が必要となり、その書類を制作する、といったデスクワークに連日時間を費やして過ごしていると、アートの本質であるクリエイティブな所から、ますます遠ざかってしまう。

2010-11-09 11:10:42
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q9)この監査の基準を、行政と共催を行うアート系の民間団体にも、「公正のため」「国民の血税だから」というお題目の下、適用する。すると、共催する民間団体やアーティストからは、「官僚は頭が悪い」と思われてしまい、行政、そして団体とアーティストとの溝が深まる。

2010-11-09 11:11:32
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q10)一円単位の会計のずれに、大人数人が数時間つかって修正することも、果たして必要なのだろうか?公正のため、という目的ではなく、問題の責任を負いたくない、というエクスキューズが書類作成のモチベーションとなっており、いつの間にか、それが目的化してしまう。

2010-11-09 11:12:19
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q11)一円単位の会計のずれを正す為に生まれた機会費用(すなわち官僚の給料)は、もちろん市民の税金から補填される。税金の使い方とそのアカウンタビリティは、1円単位の使い先を明記することではなく、何に使い、それにどう説明責任を持つか、ということではないか。

2010-11-09 11:13:08
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q12)すると本来、地域市民のため、と謳っていた、市民の税金で運営されていた官僚組織は自己目的化し、仲間の面子と利益を守るための自閉的共同体となってしまう。さらに、その自覚が無いまま、地域市民ために役立っていると思い込み、思考が停止してしまう。

2010-11-09 11:13:37
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q13)官僚組織は、その組織のメンバーとなれば、とても心優しく人情深い傾向があるが、その組織や関係者以外の人たちに対しては基本的に無関心、または冷酷でさえある。つまり、ものごとの判断基準が、善し悪しではなく、グループの内外関係で決定する。

2010-11-09 11:14:18
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病Q14)また、プロジェクトを進行していく中で内部で問題が発生した際、問題に対峙し、責任者を明らかにしようとしない。結果、責任者は処罰されず、問題の原因は追及されない為、同じような問題が繰り返される。しかも、それが制度的な問題であっても、制度を変えることができない。

2010-11-09 11:16:47
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

連続ツイート「地域系アートプロジェクトの構造的限界と日本美術界の病 その18」

2010-11-10 10:39:10
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病R1)日本特有の問題の一つとして、東京への一極集中が上げられる。明治期に入り近代化を達成する為、江戸期から繋がる東京の中央集権をさらに強化させた結果、東京への一極集中が完全に過多となり、結果、地方都市は縮小した。

2010-11-10 10:39:38
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病R2)80年代から90年代ころ、筑波などの東京の周辺都市に都市機能を分散する計画があった。しかしバブル崩壊後、東京の地価が下がることで、それらサテライト都市に拠点を移した企業が再度東京に流入することで、東京がさらに拡大する結果となってしまった。

2010-11-10 10:40:06
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病R3)拡大しすぎた東京は、完全に自らの制度疲労を起こしている。日米安全保障条約締結後、自らの意志を持つことができず、垂直的な資本発展のみが許された「悪い場所」としての東京が、あたかも自らの意志を失ったゴジラの如く、徘徊している。

2010-11-10 10:40:31
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病R4)例えばドイツには、地方という概念が無い。社民党政権のときに、都市計画がきちんとした法律の形をとったからである。しかし日本は、先ほど述べたケースを筆頭に、東京も、そして地方も、しっかりとした都市計画を打ち出すことができなかった。

2010-11-10 10:41:01
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病R5)日本国は、江戸期の様な謀反や分裂の可能性が想定されない限り、現在の韓国の様に、政府機関を速やかに地方へと分散すべきだった。しかし、日本は自らで意思決定を行うことができず、Status Quoのまま、現在に至っている。

2010-11-10 10:41:41
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病R6)この結果引き起こされた地方の縮小に対するカンフル剤として、さらに東京などの大都市の行政機関の補完機能として、「道具」としてのアートプロジェクトが引っ張り出される、というちぐはぐな構造が生まれる。

2010-11-10 10:42:13
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(構造的限界と病R7)また、地域系アートプロジェクトに関わる行政の役人も、例えば水道局など、アートと関係の無い部署からの配属となる。しかし、水道局から配属された役人が文化事業を行う、というのは、専門的な意味でやはり相当な無理があると言わざるを得ない。

2010-11-10 10:43:06
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