【ある冒険者の日常93】神の恩寵とも形容すべき陽光とともに、静寂に委ねていた身を起こす。一日の始まりは身を清めるところから始まるが、神に愛された美しき我が身は川での沐浴で済ませるなどということはなく、神に祝福された聖水で不浄なる穢れを払う。髪の一本から爪の先まで手を抜くことなく丹念
2018-02-14 04:04:36【ある冒険者の日常94】ギルドの職員と言えど、決して彼等は一般人ではないことを心得よ。常識から外れた者も少なくない冒険者という人種の管理は、書物の知識だけでは務まらないのだ。それを知らない無謀な強盗団がギルドを襲撃した翌日、全員が生きたまま逆さ吊りにされていたのはつい最近の話だ。
2018-02-19 02:36:50【ある冒険者の日常95】「人生もセーブ&リセットできたらなあ」「なら僕はTASさんになりたいよ」「TAはともかくスピードランってどうなんだ。人生そんなに早くクリアしたい?」「でもカッコいいよ。乱数調整で何でも思いのままでしょ」「いくらTASさんでも0%はねえ」「あっひどい!」
2018-02-19 23:37:22【ある冒険者の日常96】『王族が冒険などと!』何度耳にしたかもわからない。でも僕は、人種や身分による差が存在しない冒険者となって自分の力を試したいんだ!「だったらまずは、そこらに潜んでる従者を帰らせろよ。あいつら俺より強いぞ」それがみんな頑固で、いくら言っても聞いてくれないんだ。
2018-02-21 02:45:15【ある冒険者の日常97】どこぞの格言に『嘘つきは泥棒の始まり』とある。お前らも沢山嘘をつけば立派な泥棒になれるんじゃないか? 「泥棒じゃねえ! シーフだ!」「おっと、トレジャーハンターと呼んでくれ」「勇者を泥棒呼ばわりとは失礼ですね」「「いや、それは正しい」」「何故!?」
2018-02-23 00:08:58【ある冒険者の日常98】冒険者の間では亜人を見かけることは珍しくない。彼等は特殊な技能や体質を活かし、過酷な環境をものともせずに探索を可能とする。その能力を目当てに亜人を雇う者も多いが、文化や風習の違いを受け入れる心構えがなければ安易に力を借りようとは思わないことだ。
2018-03-03 16:31:46【ある冒険者の日常99】「対等な関係になりたいなら、俺に一太刀でも浴びせてみることだな。お嬢ちゃん」「く、舐めるな!」――「残念だな、残像だよ」「イビキかいてたのに!」――「二十年経ってもこれじゃなあ」「まだまだ!」――「どうした、チャンスだぞ」「今際の際に言うことか……!」
2018-03-03 16:32:37【ある冒険者の日常100】「これで99人分、と。よくも、ここまで集まったな」「意外と皆さん嬉々として回答してくれましたね。脚色もあるでしょうけど」「で、99人の理由は? 『100人に聞きました』じゃダメなの?」「それは勿論」「100人目は読者のあなた、だろ」「そういうことです」
2018-03-03 16:33:32